NORiの水彩画|透明水彩で描く美しい葉っぱの世界と観察スケッチ


NORi
こんにちは、NORi です。

私は良く植物を描くのですが、
葉っぱだけ』を描いた作品も
いくつかあります。

NORi
今回はそんな
『葉っぱだけ』の作品
をご紹介してみようと思います。

また、
葉っぱの【スケッチ動画】
沖縄スケッチ旅行の思い出なども
綴ってみようと思います。

 

《水彩画・葉っぱ》描き方【スケッチ動画】

亀戸天神社の藤まつりの様子。 by NORi

 
限られた季節にしか咲かない花
というのは、

見に行く楽しみを作ってくれますね。
 
私は藤が好きで
亀戸天神社の藤棚を見に行ってきました。

花を眺めながら
印象的な風景を写真におさめてきました。
 

足元を見ると、

まだ散ったばかりの
美しい花や葉っぱが落ちていました。

 

それらを家に持ち帰り、
スケッチブックに貼りつけ、

「美しい色だなぁ。素晴らしい形なぁ」
と眺めています。
 

■ スクラッチブックとスケッチ

スクラッチブックとスケッチ。 by NORi

 
このスクラッチブックは
細かい観察をしたり
デッサンをするときにも参考になります。
 

花もいいのですが、
葉っぱもいいですね。
 

藤の葉っぱの形を観察してみると、

小さな葉っぱが、
ほぼ左右対称に並んでいます。
 

そんな、
少しずつ形を変えて

綺麗に葉っぱが並んでいる様子が
美しく、

スケッチブックに描き留めてみました。
 
(動画再生時間:1分46秒)
※音楽が鳴りますので、
音量の調整をしてご覧ください。

藤の葉っぱ観察スケッチ by Nori

  • 鉛筆:H (MITSU-BISHI Hi-Uni)
  • 紙: スケッチブックA6サイズ(DRAPAS DRスケッチブック)

 

■ 藤の葉っぱ観察メモ

一つ一つの葉っぱの形は

先っぽが尖っていて、
葉のふちは滑らかに波打っています。

 

葉脈は、
葉の中心から左右対称に出ているように
見える部分と

そうでない部分がありました。
 

一連に並んだ葉っぱの形を比べてみると、
隣同士でも少しずつ違っていました。
 

スケッチブックの左側に位置する
根元の方についた葉っぱは、

三角形△の角を
まるくしたような形
をしています。
 

スケッチブックの右側へいくほど、
(茎の先端側に向かうにつれて)

葉っぱの形は菱形◇を
縦に長く伸ばしたような形

少しずつ変化していくように見えました。
 

《水彩画・葉っぱ》描き方【実践編:藤棚の作品紹介】

藤棚の下書き(鉛筆) by NORi

 
これは
藤の葉っぱが生い茂る
藤棚を描いているところです。
 

観察ノートの記録や
デッサンを参考にして

藤の葉っぱをひたすら
描いています。
 

藤(フジ:Wisteria floribunda)は
マメ科フジ属
の植物で

蔓(ツル)が伸びます。

その流れるように
光を求めて伸びていく姿は
美しさにあふれているように
私の目には映ります。

この藤棚の下書きをもとに
透明水彩画を描きました。
 

《水彩画・葉っぱ》色の選び方

『 啓示 』<透明水彩(作品の一部)> by NORi

 
藤の葉っぱの美しさを表現するために
色えらびには時間がかかりました。

シンプルな構図なので
多様な色を使って表現するように
工夫しました。
 

もう一つ、

わたしが魅かれている
蔓が伸びていく美しい植物が

ブーゲンビリアです。
 

ブーゲンビリア(Bougainvillea)は
オシロイバナ科ブーゲンビリア属
の植物で

熱帯性の低木で
蔓(ツル)が伸びます。
 

眩しいほどの明るい沖縄の太陽の下
イキイキと輝くブーゲンビリアを見たとき、

その姿にわたしは一目惚れしました。
 

南国の明るく伸びやかな景色と重なり、
なんて美しい花なんだろう
と感激しました。
 

繊細な花びらと、
ツルが逞しく伸びていく姿が
生命力の素晴らしさや
生きていくということの本質を
思い出させてくれているように見えました。

その美しさに
心が躍るような喜びを感じて、

なんとしても絵にしたいと思いました。
 

■ 葉っぱの色は何が決める?

沖縄県の竹富島で撮影したブーゲンビリア by Nori

 
鮮やかな色で咲き誇る
ブーゲンビリアですが、

色づいている花びらのように見える部分は、
実は『葉っぱ』が変化したものだそうです。

 

中心にある
シベのように伸びた筒状の部分が花で、

この筒の先端に小さな白い花が咲きます。
 

ブーゲンビリアの花のように見える
赤い葉っぱの色は
単調に見えるでしょうか?

透明水彩で
絵の制作を始める場合には

あらかじめ
全体のイメージを把握してから
塗り始める必要があります。
 

透明水彩では
一度塗ってしまうと
色の修正が難しいためです。

 

そこで
どのようにして色を選ぶのか?
ということですが、

その絵を描こうと思った
自分の感動をもう一度思い出す

ということが
とても大切だと感じる出来事がありました。
 

ここからは
私が実際に
ブーゲンビリアを描くまでに

そんな色の奥深さを実感したエピソードを
ご紹介してみようと思います。
 

《水彩画・葉っぱ》色の選び方【実践編:沖縄スケッチ旅行の思い出】

沖縄県の竹富島で撮影したブーゲンビリア by Nori

 
沖縄は
スケッチ旅行のために出かけた地でした。
 

水彩グッズを持参していたので、

まさに、上の写真のような
石垣に咲くブーゲンビリアの絵を
まずは描き始めました。
 

ブーゲンビリアの美しさに圧倒されながら
鮮やかな色を描き留めたつもり
でしたが。。。

ホテルに帰って絵を眺めてみると、

なんだか『 つづじ 』のようにも見えました。
 

色はあっていても
形が違うのです。

全く、ブーゲンビリアの花の特徴を
観察できていませんでした。
 

もっと、もっと観察が必要だと感じ、

わたしは次の日
もう一度、同じ場所へ
ブーゲンビリアを見に行きました。
 

■ まずは形から。

沖縄で描いた観察スケッチ (鉛筆) by Nori

 
ブーゲンビリアを観察しながら
小さなスケッチを描きました。

少しずつ
『つつじ』とは違う
ブーゲンビリア独特の形が
分かり始めてきました。
 

沖縄から帰った後も、
ブーゲンビリアの美しさに魅せられたまま、

なんとか素敵な絵にしたい
とずっと思いながら、
絵の構想を温めて続けました。
 

透明水彩の美しい色調を
存分に発揮して

最大限にブーゲンビリアの
美しさや逞しさを表現できたら、
 

きっと絵の前に立った時、
その存在感に、心が躍るような、

晴れやかな喜びが溢れる気持ちに、
きっと包まれる、

そう思いました。
 

■ そして色へ。

沖縄で描いた観察スケッチ (水彩) by Nori

 
沖縄で感じたものを忘れないようにと、
わたしは現地で沢山の写真も撮りました。

帰宅してしばらく経って、

温め続けたブーゲンビリアの絵を
いよいよ描こうと思い、

制作に入りました。
 

ところが、色を重ねていっても、
絵から伝わる何かが
足りないような気がしました。

沢山の写真を参考にして、
色の調和を丁寧に調整しているはずなのに

なぜだろう?
 

そこで、ふと、
沖縄で描いた水彩スケッチがあったことを
思い出したのです。

 

上の写真は
ブーゲンビリアの色を描き留めるために

現地で絵の具を使って
スケッチしているところです。

このスケッチを自宅で見て、
ようやく記憶が蘇ってきました。

 

自宅で写真を見ながらでは
どうしても再現できなかった

色の鮮やかさを知りました。

 
白い画用紙からの照り返しが眩しい
沖縄の光の中で
食い入るように観ながら描いたスケッチが

振り切れるような鮮やかな色で
透き通るように咲き誇る

美しいブーゲンビリアの姿を
思い出させてくれました。
 

■ 光の補正のための現地スケッチ

『 Bougainvillea 』<透明水彩画> by Nori

 
自宅の電気の下では
どうしても現地の色が出せません。

現地でわたしが描いたスケッチには、
沖縄の強く眩しい光ごと
描き留められているかのように

どこまでも明るい色で塗られていました。
 

同じものでも、
昼間と夜では見える印象も

色の鮮やかさや影の濃さも
変わって見えます。

現地で描いた水彩スケッチの色をもとに
描き進めていくことで、
現地で見た色へと補正することが
できました。

 

現地スケッチの威力を
目の当たりにした出来事でした。

【感動した色があったら
その色だけでも
スケッチブックに描きとめておく】

そんなことを学んだエピソードでした。
 

《水彩画・葉っぱ》塗り方

『ひまわり』の制作風景。by Nori

 
明るい陽射しの中の風景や
明るく爽やかな雰囲気には

透明水彩の技法がぴったり
ではないでしょうか。

 

上の作品は
ひまわりを描いたものですが、
葉っぱも沢山描きました。

ちょうど写真にあるように
線のように細い植物の葉っぱを

水をたっぷり使って溶いた
明るい色の絵の具を使って、

塗っている絵の具が乾かないうちに
途中で色を変えながら続きを描くことで

紙の上で自然に混ざりあう効果が
生まれます。
 

これはパレットの上で
直接色を混ぜるわけではありませんが、

紙の上で『混色』されています。
 

そんな
紙の上で大胆に色が混ざり合う
【にじみ】の効果も

葉っぱの表現にはよく合います。

パンジーの水彩画|花と葉っぱの塗り方動画《下絵と試し塗り》

 

また、
絵の具をたっぷりの水で溶いて
薄く塗り重ねる『重色』という方法も

透明水彩ならではの
美しい表現が可能です。
 

■ 重色による葉っぱの塗り方

『Harmony』<透明水彩画(作品の一部)> by Nori

上の作品の中央にある
シクラメンの葉っぱは
重色』の方法で描きました。

シクラメンの葉っぱは
複雑な模様がついていて
とても特徴的です。

 

透明水彩は一度塗ったら
修正が難しいので、

あらかじめ
シクラメンの葉っぱの塗り方を
マスターしておかないといけない
と思いました。
 

試し塗りを重ね、

この作品のイメージに合う
シクラメンの葉っぱの塗り方を
見つけてから制作に入りました。

 

次の章では
そんな
シクラメンの塗り方を
ご紹介してみようと思います。
 

《水彩画・葉っぱ》塗り方【実践編:5ステップでシクラメンを描く】

シクラメンの葉っぱの描き方の練習の様子。by Nori

 
上の写真は
水彩紙に試し塗りを重ねた
シクラメンの色塗りの練習の様子です。

これらを基にして
作品のイメージに合う
シクラメンの葉っぱの塗り方を
ようやく見つけました
 

最終的に見つけた
シクラメンの塗り方は
簡単なメモで記録してありましたので、

それに沿って
ご紹介してみようと思います。
 

『重色』のコツは
完全に乾いてから次の色を重ねることです。

 

■ ステップ1: 赤味の色で輪郭を塗る

シクラメンの葉っぱの描き方の記録メモ。by Nori

 
まず最初に
葉っぱの外側の輪郭と
中央の筋を

赤味のある色で
薄く塗る。
 

色は
・Alizarin Crimson(赤味)
単色です。
※ ホルベイン絵の具では
Permanent Alizarin Crimson

【ホルベイン透明水彩】色見本30色・色選び ~ARCHES紙採用~

 

■ ステップ2: 乾かないうちに明るい緑を塗ってぼかす

シクラメンの葉っぱの描き方の記録メモ。by Nori

 
ひと塗り目の絵の具が
乾かないうちに

空いたスペースに
明るい緑色を薄く塗り

自然に混ざり合う様子を
表現する。

これは『ぼかし』の技術です。
 

色は
・Phthalo Green(明るい緑色)
単色です。
※ ホルベイン絵の具では
Viridian
 

■ ステップ3: 葉柄を描く

シクラメンの葉っぱの描き方の記録メモ。by Nori

 
完全に乾いてから
葉柄側に葉っぱの色を重ねます。

これは『重色』の技術です。
 

斑の模様を意識しながら
塗っていきます。
 

葉っぱの色は
・Permanent Green No.3(暗めの緑色)
単色です。

※ 現在はこの色は廃番色。
↓こちらで色の作り方をご紹介しています。

【ホルベイン透明水彩】色見本30色・色選び ~ARCHES紙採用~

 

■ ステップ4: 斑の模様を描く

シクラメンの葉っぱの描き方の記録メモ。by Nori

 
完全に乾いてから

今度は葉っぱの外側にも
葉っぱの色を重ねます。

これは『重色』の技術です。
 

斑の模様を作るように塗ります。

このとき、
ひと塗り目で
すでに赤い絵の具で輪郭を取った

葉っぱの一番外側の際(キワ)の部分は
少しだけ赤味を塗り残すと

葉っぱの厚みを表現することができます。
 

葉っぱの色は同じく
・Permanent Green No.3(暗めの緑色)
単色です。

※ 現在はこの色は廃番色。
↓こちらで色の作り方をご紹介しています。

【ホルベイン透明水彩】色見本30色・色選び ~ARCHES紙採用~

 

■ ステップ5: 仕上げ

本番の仕上がりの様子(作品一部拡大)by Nori

 
完全に乾いてから

色味が足りないなと感じたら
赤味と黄色味とで
葉っぱのニュアンスを整えるように
色を重ねます。

これは『重色』の技術です。
 

色は
・Alizarin Crimson(赤味)
・Olive Green(黄色味)
の2色を使いました。

【ホルベイン透明水彩】色見本30色・色選び ~ARCHES紙採用~

 

《水彩画・葉っぱ》まとめ

『fabrics-of-nature』<透明水彩画 (作品の一部)> by Nori

 

  • 葉っぱの形を捉えるためにまずは観察スケッチがお勧めです。
  • 色の選び方は写真では難しく、現地での観察スケッチの色が感動を呼び起こします。
  • 透明水彩の透明感を活かした『重色』『混色』の塗り方で、絵のトーン全体を明るく保ちながら色彩のハーモニーが美しい作品を目指すことができます。

 

NORi
『葉っぱ』は本当にいいですね。

その形といい
色といい、
なんとも神秘的で美しいです。