

目にすることができる鳥といいますと、
公園で日向ぼっこをしていれば
気がつくとあちらの方から
近づいてきてくれることもある
すずめではないでしょうか。
すずめの仕草は
本当に可愛らしいですね。
明るい日差しの中で佇むすずめ達の姿を
透明感あふれる水彩画で
描きたいと思っています。
【水彩画・鳥】すずめがやってきた?

『 Harmony 』<透明水彩画(作品の一部)> by NORi
この作品は
我が家にやってきた
すずめ達を描いた作品です。
この時のことを少し
お話してみようと思います。
■ ある夏の日のことでした。
ある夏の日
私は実家に帰省をしていました。
『 暑くなってきたから
そろそろ庭先に水を置いておくと
鳥が水浴びをしにやって来るよ 』
そう笑って母が言いました。
実家の庭先には
ささやかな鳥の水浴び場があり、
確かに
鳥が遊びにやってくるのです。
私は自分の家に戻ると早速、
植木鉢の下に敷くお皿を一枚使って
水を入れて
庭先に出しておくことにしました。
来る日も来る日も
鳥が遊びに来てくれるのを
じっと待っていましたが、
なかなか遊びには来てはくれません。
■ 作戦変更。
反応が全く見えない中で
わたしは考えました。
『水が足りないのかな?
それとも気がついていないのかな?』
もっと鳥たちに
水があることをアピールしてみようと思い、
植木鉢に敷くお皿を片っ端から集め
庭先にずらりと並べてみました。
そして
遠くからも分かるように
水をたっぷり入れてみました。
すると、
チュンチュンと鳥の鳴き声が
上の方から聞こえてきました。
興味を持ち始めたようです!
しかし、警戒心が先に立つようで
なかなか降りてきてはくれません。
安全・安心を確認しているのでしょう。
しばらく庭には出ずに
このまま静かに待つことにしました。
その日も結局、やってきませんでした。
■ この世の天国
それからの私の夏の日課は
早朝に庭先の水まきをしながら
お皿の水を新鮮なものに変えること。
来る日も来る日も
そんな風にしてお庭に水を置いていたのです。
そんなある日、
部屋からふと庭の方を見ると
鳥の姿が!!!
わたしは慎重に
カーテン越しに窓へ近づきました。
よく見ると
すずめが 10 羽ほど
植木の葉っぱを突っついたり
水浴びをして遊んでいました。
わたしは
嬉しくて嬉しくて
カーテン越しに
時間を忘れて眺めていました。
大袈裟なようですが、
その景色はまるで
この世の天国を見ているようでした。
【水彩画・鳥】すずめと透明水彩

『 Harmony 』<透明水彩画 (67cm×47cm framed)> by NORi
ここからは
透明水彩という技法のことを
少しご紹介してみようと思います。
わたくしが専門としております
透明水彩というのは
水彩画の中でも
透明度の高い絵の具の特徴を活かした
繊細な色の重なりが得意な技法です。
透明度が高いというのは
紙の白さまでもが透ける
という特徴があります。
そのため
紙の白さや質感が作品の一部として
絶妙なニュアンスを生み出します。
作品の一番下の層にある紙の白さが
暗く覆い隠されることのないように
鮮やかな色を薄く塗り重ねることで
内側から柔らかな明るい光が
放たれるかのような
立体的で色彩豊かな
透明感あふれる水彩画を
生み出すことができます。
■ すずめの色を使わない?
すずめの色というと
一般的に茶色、黒、白の3色が
思いつくのではないでしょうか。
このような
一見シンプルな色に見えるすずめも
よく見ると
ふんわりとした羽が光を反射して
美しい色を幾重にもまとっています。
陽だまりで遊ぶすずめ達の姿には
そんなキラキラとした
優しい色彩があふれています。
そんなすずめ達の姿、動きを
私は描きたいと思っています。
そこで今回の作品では
鮮やかな色を薄く何度も塗り重ね、
また
水の流れに乗せた色の濃淡によって、
この茶色、黒、白の3色を
色のハーモニーとして表現するといった
透明水彩ならではの技法で試みました。
これからも
すずめの観察を続けながら
軽やかな色彩ですずめの愛らしさを
表現できたらと思います。
【水彩画・鳥】-おわりに。

わたしは
何度もすずめのデッサンをしました。
デッサンを繰り返している時に
ふと
それまで動物を描いてこなかったことに
気が付きました。
すずめ達が見せてくれた
天国のような景色が
私を水彩画の新しい世界に誘ってくれました。
今回はわたくしの
『鳥の作品』をご紹介します。