デッサン初心者|絵の描き方が変わる3ステップの練習方法
こんにちは、NORi です。
今回のテーマは『デッサンのはじめ方』です。私は絵の描き方をきちんと習ったことも無く、ずっとシャープペンで絵を描いていました。そんなある日、日本画を描かれている画家の先生にシャープペンで描いた絵を見ていただける機会がありました。その時、鉛筆デッサンを学ぶともっと絵が良くなるよと教えていただきました。
今回はそんな超初心者だった私が、まずは簡単に始められた鉛筆デッサンの方法をご紹介してみようと思います。
NORi
目次
デッサン初心者|デッサンで絵を描く力を鍛える
デッサンに取り組んだことがなくても、
気に入ったスケッチブックを買ってきて
自分の好きなように
自由に絵を描くことはできますね。
ただ形だけを書き留める
スケッチやイラストのようなものから
落書きやメモといったものまで
表現は自由です。
たまには立体感が出るまで
陰影をしっかり書き留める
写実的なデッサンのようなものに
挑戦することだってできます。
自分の興味に沿って
自由に幅を広げていけるものだと思います。
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スケッチであれ
デッサンであれ
目的に合ったスタイルで
絵を描けば良いわけですが、
今回ご紹介するのは
絵を描く力を鍛えることができる
有効な手段としてのデッサン
です。
自分の手を描いてみるにしても
机の上のりんごを描くにしても、
はたまた
目の前に広がる景色を描くにしても
とにかく難しいですよね。
右目で見る時と
左目で見る時で
見てるものの位置がズレますし、
とんでもない奥行きのある
この3次元空間にある立体感を
2次元の紙の上で表現するわけですから
とてつもなく
凄いことだと思います。
有難いことに
歴史のある技術や巨匠の名画が
見本としてありますから
私達はそれらを学びながら
感動を味わいつつ
絵を描く力を鍛えることができます。
今回は、
そんなデッサンの世界を
少しだけ身近に感じられるようなお話を
書いてみたいと思います。
デッサン初心者|デッサンは「何で」描く?
本格的にデッサンの勉強をする場合は
木炭や鉛筆を使うのが一般的で、
それぞれに合った紙を使う
必要があるようです。
また、
見たままに描けるようになるには
イーゼルを使って
目線と紙が垂直になるように
目線と紙の高さを合わせる必要も
出てきます。
さらには
直線が描けるような手の動かし方や
鉛筆や木炭の持ち方、
目線が変わらないように
姿勢を良くして描くなど、
様々なコツがあるようです。
このような本格的なデッサンに
取り組むためには
訓練が必要なわけですが、
一方で、
とりあえずは
鉛筆と消しゴム・画用紙さえあれば
デッサンは始めることができる
というものでもあります。
上で少しお話ししましたが、
私はずっとシャープペンで
落書きを描くようにして
絵を描いていました。
小さなスケッチブックに細かい線で
絵を描くのが好きだったこともあり、
同じ濃さ、同じ太さで絵が描ける
シャープペンやポールペンが
好きだったのです。
そんな私にとっては、
まずは鉛筆で絵を描くことに慣れる
というところからのスタートでした。
デッサン初心者|デッサンで「何を」描く?
絵を描く力を鍛えるためには
どのような絵を描けば良いでしょうか。
最初はシンプルな形のものから
始めるのが王道かと思います。
最初に丸いりんごのデッサンに
取り組むことが多いのは
このような理由があるようです。
そこから
徐々に複数のモチーフに増やしたり
質感の異なるモチーフを組み合わせたり、
数をこなしかながら
様々な描き方に徐々に慣れていくのが
描く力をしっかりと鍛える
デッサンの練習かと思います。
一方で、
また違ったアプローチもあると思います。
それは
自分の興味のあるものを描く
という方法です。
興味のあるものは
上手く描ける可能性が高いため
効率的に能力を鍛えることが
期待できます。
なぜならば、
興味のあるものは
日頃から注目して眺めていることが
多いため、
普段あまり見ないようなものを
描くよりも
あらかじめ情報が頭に入っている分
筆が進むからです。
同じ時間をかけて描くならば
興味のあるものの方が
きっと上手く描けるでしょう。
その上で、
興味のあるものでも
やっぱりしっかり見ないと
描けないものだなと感じることが
最初の学びになります。
興味があるものだからこそ
より深く観察し、
もっと上手く絵にしたいと
夢中になって
絵に取り組むことにもつながります。
この気持ちが
絵を描く力を鍛える上で
大きな推進力になります。
ここでは
オールマイティに様々なモチーフを
描き分けることのできる技術を
手に入れるデッサンの練習ではなく、
自分の描きたいと思う絵を
自分なりに深めていくための
デッサンの練習方法をご紹介します。
デッサン初心者|デッサンは「どのように」描く?
本格的なデッサンの方法では
最初は細かいところは気にせずに、
まずは大まかに全体の構図を捉える
という描き方がよく紹介されています。
全体のバランスを重視しながら
徐々に質感や陰影など
細かい表現を高めていくというのが
基本的な描き方となるようです。
また、
時間配分をしっかり頭に入れながら
描く訓練を繰り返すことで
集中して観察力と描写力を
鍛えていくことが出来るとのことです。
このような訓練は先生の元で
行わないとなかなか難しそうですね。
やみくもに描いても
なかなか上達しないという
レベルがありそうです。
今回は
デッサンのとっかかりとして
まずは自分なりの目標をもって
無理のない範囲で進めていく方法
をご紹介します。
先生(本)にもご指導いただきながら
緊張したり萎縮したりせずに
自分の描きやすい方法で
自分の観察力・描写力を高めていく
ことに集中するデッサンの練習です。
デッサン初心者|絵を描く力を鍛える3ステップ
ここからは、
いよいよ実際にどのようにして
鉛筆デッサンで絵を描く力を
鍛えることができるのか、
具体的な方法をご紹介していきます。
STEP 1|まずは好きに描いてみる
デッサンの勉強をする前に
デッサンのあれこれを抜きにして、
まずは自分の好きなスタイルで
絵を描いてみます。
これは、
自分の得意・不得意を知ることと
自分の好きなもの・描きたいもの
を知るためです。
例えば、
身近な鉛筆や消しゴムを描くところから
始める人もいれば、
もう少し大きな
コップやりんごから描き始める人も
いるでしょう。
近所の公園の風景や
家族の顔を描くのがいい人も
いるかもしれません。
一気に何枚も描いてもいいですし、
描きたい時に少しずつ手を入れながら
ゆっくり時間をかけて描いてもいいです。
何も制限なく絵を描くとすると
自分はどうやって
どんなペースで
何を描くんだろう?
ということが分かります。
描いていてつまらないものや
うまく描けないものは
途中でやめて(消さずに)、
どんどん次のページに
新しい絵を描いていきます。
すでにスケッチブックなどに
色々と絵を描いてこられた方ならば
それを眺めてみてください。
色々描いてみると、
自分が描きやすい絵や
良く描くモチーフの特徴が
見えてきます。
そうやって絞れたモチーフを
デッサンに取り組むための
自分なりのテーマとします。
ここで私の話をしますと、
小さなスケッチブックに
落書きのような小さな絵を
シャープペンで描いていたわけです。
良く描くモチーフは
花・子供・女性・木・本・文房具でした。
描いていて楽しく
上手くなりたいと思うものは
花と人物でした。
花と人物を
より上手く描ける力を鍛えることを
デッサンに取り組む自分なりの目標
としました。
STEP 2|デッサンに取り組む
ここで、
先生(本)から指導を受けます。
本屋さんへ行って
自分の目標に近い学びができそうな
デッサンの本を買ってきます。
簡単にとりかかれそうな入門書など
出来れば2冊あると
学びに幅が出来て良いです。
逆に2冊以上は
まだ買う必要はないと思います。
2冊も学べば
自分も成長して、
学びたいと思う本が
変わってくるからです。
最初に取り組む本を元に
画材屋さんでデッサンの道具を
揃えます。
そして、
その本を頼りに真似して描くことで
デッサンの学びを始めることができます。
【STEP 1】で見つけた自分のテーマを
深めていく気持ちで
自分なりにひととおり2冊の本を
学び終えたら、
その学びを生かしてもう一度
自分が鍛えたいモチーフに
挑戦するつもりで
新しい絵を描いてみます(【STEP 1】)。
デッサンを学ぶ前と比べて
デッサンを学んだ後で
自分なりに僅かでも何か深められることが
見つけられるといいですね。
STEP 3|模写に取り組む
ここまで本(先生)を頼りに
おおまかにデッサンの基本を学び、
実際に絵を描く体験を通して
自分の絵が少し変わったことを
実感できたら、
集中してデッサンに取り組むための
準備が整います。
ここからが本番です。
デッサン力をグッと高めるために
素晴らしいと思う芸術作品の
模写に挑戦します。
ここでも
【STEP 1】分かった自分のテーマに沿った
模写ができるように、
まずは
取り組むための絵を決めます。
巨匠の芸術作品の解説本や
美術展の図録、画集などを
お持ちならば、
その中で自分のテーマに沿った
描いてみたい絵を選ぶのが良いです。
印刷されていることで
すでに二次元になっている
完成度の高い芸術作品を描き写すことは、
デッサン初心者にとっても
絵を描く力を鍛えることに集中できる
とても有効な訓練方法になります。
多くの有名な画家さん達も
先人の芸術作品を模写して
絵を描く力を鍛えています。
本が無ければ
本屋さんの芸術コーナーあたりで
描いてみたい絵が沢山載った
素敵な本を探してみてくださいね。
絵が決まったら
自分のテーマに沿った部分に集中して
模写をしていきます。
いきなり凄い絵を全て完璧に
模写しようと思わずに、
最初は絵の一部だけ
模写出来そうな範囲を絞って
取り組んでいきます。
また、
取り組む時間は特に決めずに
まずは描けるところまで描いてみます。
そしてまた、
描ける時に加筆していきます。
何日かかっても気にせずに
少しずつ
そっくりにしていきます。
自分のテーマに沿った部分
(描いてみたい部分)に絞って
大丈夫です。
このように時間をかけて少しずつ
デッサンの完成度を上げていく
という感じで取り組んでいきます。
模写の目的は
巨匠の芸術作品のクオリティを
知ることです。
部分的な模写ですら
こんなに時間をかけないと
描けないんだ〜と
巨匠の芸術作品の凄さに
感動してくることと思います。
デッサンの完成度を上げるコツは
「まだ描ける」
「まだ描き込める」
「もう少し描き込んでみよう」
「完成かな?
いや、もう少し粘ってみよう」
と、
自問自答を何度も繰り返しながら
できるだけ一枚の模写に時間をかけて
自分の力を出し切る経験をすることです。
模写が終わったら・・・
これまで
絵を鍛えるための3つの方法として
以下の3つをご紹介しました。
- STEP 1|まずは好きに描いてみる
- STEP 2|デッサンに取り組む
- STEP 3|模写に取り組む
実際には、
【STEP 1】▶︎【STEP 2】▶︎【STEP 3】
が終わったら
今度はその学びを生かして
自分の描きたいモチーフでまた新しく
何かスケッチブックに描く【STEP 1】と
【STEP 3】の同じテーマの異なる模写を
交互に繰り返していきます。
実践と学びを繰り返すことができるので
少しずつ自分の描きたい絵のクオリティが
上がっていきます。
スケッチブックに絵が少しずつ
溜まっていくのも嬉しいです。
また、
画力が上がれば
描きたい絵も変わって
自分なりのテーマも広がっていく
ことと思います。
その時はまた
新しいテーマに沿った本を探して
【STEP 2】の学びを深めれば良いのです。
そしてまた
新しい学びを生かして
新しいテーマで【STEP 1】と【STEP 3】を
繰り返していくことで、
自分が描いてみたいと思う絵の幅や
自分の絵のクオリティを上げていく
ことができます。
デッサン初心者|透明水彩とデッサンの相性
デッサンで絵を描く力を鍛える
と書きましたが、
もっと言うと
透明水彩の表現力を鍛える上でも
デッサンはとても有効です。
デッサンは白い紙に
鉛筆で絵を描いていくわけですが、
絵の明るい部分は
消しゴムなども使いながら
紙の白さを生かし
それ以外の部分に
鉛筆の濃淡だけで
陰影を深めていくことで
全体の立体感やモチーフの存在感を
浮かび上がらせていきます。
それはちょうど
紙の白さを生かしながら
絵の具で色を塗り重ねていく
透明水彩の制作過程と同じです。
透明水彩で描かれた作品を
白黒にしたものと
鉛筆で描かれた白黒のデッサンが
等価になるわけです。
完成度の高い鉛筆デッサンを
仕上げることができると、
そのクオリティに
引き上げられるようにして
透明水彩の作品に力強さや
説得力のある立体感を意図的に
生み出しやすくなります。
透明水彩の本番作品に色を塗る前に
デッサンで絵全体の明暗の強さを
しっかり意識することができていれば、
迷いのない少ない手数で
美しい色彩をキープしたまま
絵を仕上げることができます。
慣れてくると
デッサンをしなくても
しっかり明暗を意識した
色塗りができるようになります。
デッサン初心者|透明水彩画の下書きは何で描く?
透明水彩で絵を描く場合、
一般には(or 上級者の方は)
下絵を直接水彩紙に書く
という方法をとることが多いかと思います。
絵の具の透明感を大切にする
透明水彩の技法では、
絵の具を水で薄く溶かしてから
淡い色を塗り重ねていく場面が
多くなります。
そうすると
下絵の線も作品の一部として
画面に残ることになります。
一般に(上級者の方が)
水彩紙に直接鉛筆で下絵を書く時は、
このようなことを念頭に置いて
あらかじめ薄い線で下絵を書くか
重要な部分だけ下絵を書く
というくらいに留めている場合が
多いようです。
ですが、
この方法には大前提があります。
それは、
一度水彩紙に書いた鉛筆の線は
何度も消しゴムで消したりしない
ということです。
これはどういうことでしょうか。
水彩紙の表面は意外とデリケートで
摩擦に強くありません。
何度も消しゴムで下絵の線を消したり
を繰り返していると
水彩紙の表面は
そこだけ摩耗してしまいます。
一見わずかな変化に見えるかもしれませんが、
透明水彩においてはこれが
致命的なダメージになりかねないからです。
例えば、
消しゴムで丸く消した部分が
わずかに水彩紙の表面を
毛羽だたせてしまった場合、
本来そこは均一に色を塗る部分であっても
紙の表面に丸く毛羽だった部分があると
そこだけ丸く
「にじみ」や「しみ」のようなものが
出来てしまったりします。
うまく誤魔化せる部分であれば良いですが、
色を重ねれば重ねるほど
かえって目立ってしまうこともあります。
せっかく何度も書き直して
力を入れて下書きを書いた大切な見せどころに
綺麗に色が塗れないとなると
本当にがっかりしてしまいます。
このようなことが起こらないために
水彩紙の表面は極力
擦ったりしないようが良いのです。
消しゴムを使わずに
一発で水彩紙にさらりと下絵を書ければ
素晴らしいのですが、
私はスケッチブックなどで
一度下絵を完成させてから
それをゆっくり水彩紙に書き写す
という安心な方法を選んでいます。
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デッサン初心者|まとめ
- デッサンに興味を持ち始めたばかりの超初心者だった私は、描いていて楽しいと思える自分にとっての最適なモチーフを大事にして、デッサンの勉強をはじめることができました。
- 一度に学ぶデッサンの本は2冊あると学びの幅が広がって良いです。
- 自分の描きたいモチーフと模写を交互に繰り返し取り組んでいくと、超初心者でもデッサンの学びを生かしながら自分のペースでスキルアップを目指せます。
巨匠の芸術作品の模写は本当に感動的な体験です。素晴らしい作品とはどのような状態を完成としているのか、といった一つの判断基準のようなものを巨匠から学ぶことができるからです。ぜひ、自分が描いてみたいと思うような素晴らしい作品にまずは一枚、挑戦してみてはいかがでしょうか。
NORi