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描きたい絵がない?楽しさ再発見!《透明水彩との出会い》

    
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描きたい絵がない?楽しさ再発見!《透明水彩との出会い》

こんにちは、NORi です。
今回のテーマは「描きたい絵がない?」です。

私が絵を描き始めたきっかけは、本屋さんで素敵なイラストが沢山載っている色鉛筆の本を見つけたことでした。その本をまねしながら絵を描いているうちに、絵を描くのがとても楽しくなり、絵を描く喜びを一気に実感できるような気持ちになりました。

今回は、そんな「絵を描いてみたい!」という気持ちを楽しく育んでいけるような方法をお伝えできたらと思います。

NORi

描きたい絵がない?|はじめてのお絵描きは本屋さんへGO!

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大人になってから
絵を描きたいなと思うというのは
なにかきっかけがあるのではないでしょうか。


例えば、

自分もこんな絵を描いてみたい!
と思うような素敵な絵と出会った
というような。





自分の琴線に触れる絵が
どのようなものかを知っておくことは
とても良いことです。


例えば
絵の教室に通いたいなと思った時、

自分が本当に学びたい絵を知っていれば
迷子になりにくいからです。




自分が本当に描きたいと思う
素晴らしい絵を学べる教室に通うには

先生の作品やクラス展などの作品を
事前に見る機会を持つことがポイントです。



先生の作品が素晴らしくて
あ〜、こんな絵が描きたい!
と感動している自分がいたら

その先生のお教室へ見学に行くのが
一番の近道ですね。


🔻関連記事

初心者さんが絵を習うための「大人の水彩画教室」の選び方





そんな自分にとっての描きたい絵
を知るためにおすすめなのが、

本屋さんへ行って
こんな絵が描きたいと思う絵が載った本を
探すことです。



そして
最初は小さな本で

絵の描き方が載った簡単なものを選んで
真似して描いてみるというのが
楽しい最初の一歩になるかなと思っています。




本屋さんに良い本が無ければ

美術館や展覧会などで
素晴らしいなと思う作品のポストカードや
図録などを購入しておくのも良い方法です。


それは
自分の感性に響いた感動を忘れないためです。






私は水彩画をはじめる前に
色鉛筆で絵を描く楽しみを知りました


本屋さんで
素敵なイラストが沢山載っている
色鉛筆の本を見つけたのです


こんな絵が描いてみたいな〜と思った私は
すぐにその本を買いました。



本には
素敵なイラストが沢山載っていて、

ページをめくってしまうのが
もったいないくらいでした。






その本には
色々なメーカーの色鉛筆の説明や
簡単に綺麗に色が塗れる描き方が
丁寧に紹介されていて、

それを繰り返し読んでいるうちに
スケッチブックや色鉛筆を
買い揃えてみたくなりました。



それまで絵画などに
ほとんど関心が無かった私でしたが、

その色鉛筆の本は
まさに
新しい世界への入り口になりました。






■ 好みの色鉛筆を選ぶ




そんなワクワクした気持ちに押されて、

なんといきなり 72 色セットの
水彩色鉛筆を買ってしまいました。


色鉛筆には
24 色セット、36 色セット、60 色セット、
72 色セット、100 色セット、120 色セット
などなど

メーカーによっても様々なボリュームで
色鉛筆のセットが用意されていました。




私が購入した例のお気に入りの本には、

手に入りやすい日本のメーカーの
24 本セットが初心者にはおすすめ

と紹介されていたのですが、


インターネットで
紹介されているメーカーを辿って
他のメーカーの色鉛筆にも目を通していると

72 色の色鉛筆が
美しいグラデーションで綺麗に並んだ画像に
釘付けになってしまいました。





色鉛筆にはこんなにも沢山の美しい色がある
ということを知って、

私はものすごく感動しました。


72 色の美しさを知ってしまった私は
もう 24 色に引き返すことはできませんでした。



だいぶ躊躇しましたが、

36 色セット、60 色セットでも
満足できなくなってしまい


逆に
100 色を超えるようなセットは
さすがにやりすぎかと思われ(笑)、

わたしの気持ちは
72 色に落ち着いたのでした。






色鉛筆という手軽さもまた、

はじめて絵を描くわたしには
ぴったりだったのかもしれません。


どのメーカーの色鉛筆にするのか?
ということについても少し悩みました。



イングリッシュガーデンが好きな私は
植物の色合いを豊富に揃えていると書かれた
イギリスメーカーの 72 色の水彩色鉛筆

を買うことに決めました。


色鉛筆が届くとすぐに
本に載っていたイラストを
まねして描いてみました





植物の葉っぱも
少し違う緑色で塗り分けたりして
沢山の色鉛筆から好きな色を選ぶのが
とても楽しかったです。

ピンク色にも
沢山のグラデーションがあって

色々な花を
可愛い色合いで描くことが出来ました。



本の真似をしながら
沢山絵を描けるのが本当に楽しかったです。

絵を描く、
という喜びを心から感じる時間でした





そんなふうにして
どんどんまねして描いているうちに、

こんな絵を描きたかった!
という思いがどんどん溢れていきました。


その頃に買った本は
直感だけで選んでいましたが、

今でも気に入っていて
いつまでも捨てられません。



お気に入りの本をお手本に
まねして描くということを繰り返していたら、

だんだんと少し難しそうなものにも
挑戦できるようになっていることに
気が付きました。




わくわくしながら夢中で絵を描く。

そんな体験から
次の新しい扉が
自然と開いていくようでした。






描きたい絵がない?|ということはない?絵日記のすゝめ




手あたり次第に小さな本を買って
まねしているうちに、

だんだんと
身の回りのものを描くようになりました。


ある日、
旅行にスケッチブックと色鉛筆を
持っていくことにしました。

せっかくスケッチブックを持っていても
最初はなかなか絵が描けず
文字ばかりのただの日記帳
になってしまいました。



それでも
スケッチブックに字を書いているだけでも
なんだか気分は上々でした。

そこから時々
文字に色鉛筆で線を引いてみたりして
少しずつ色がついていきました。



そして次第に
絵日記を描くようになりました。





旅先が海外だったりすると、

購入した商品にかわいいラベルが
ついていたりするので

それを描き写して楽しんだりしていました。

ホテルで過ごす寝る前の時間や
飛行機の中で描いていました。


そんな旅先で絵を描くという時間が
とても気に入って
いつしか欠かせないイベントになりました。




旅先での絵日記は旅の記録にもなりますし、

日々の振り返りの中で
ちょっとした絵を添えることもできるので
とてもおすすめです。






描きたい絵がない?|画材を変えてみる




旅先から戻った後も
時々絵日記を描いたり
新しいスケッチブックを買って
自分なりに絵を描き続けたのですが、

それができたのは素晴らしいお手本を
沢山用意したからでした。



そう、
頼りになるのはやっぱり本屋さんでした。


気が付くと本屋さんの絵のコーナーで
色々な本を眺めては、

挑戦してみたい本があれば数冊買ってくる
ということを繰り返していました。


すぐにまねして描けそうなくらい
簡単そうに見える本

を選んで買いました。


もちろん 描いてみたい!
と思う素敵な絵やイラストが
沢山載っている本です。




色鉛筆で絵日記を描くことで
大満足していた私でしたが、

ある日
旅先のアメリカで
新しい絵との出会いがありました。


それが新しい画材に挑戦する
きっかけとなりました。






■ 透明水彩との出会い




旅先のアメリカでたまたま目にした絵に
わたしは釘付けになりました。

そしてそれが
透明水彩というもので描かれていることを
知りました。


そのあまりの美しさに感激した私は、

そのまま旅先で
その絵が描かれた水彩画教室に
飛び入り参加をすることにしました。





水彩画なんて
中学校の美術の授業以来でしたが、

どうしてもやってみたかったのです。


もちろん先方も
数回だけしか通えないことは分かっていて

visitorとして
受け入れてくださいました。



お教室に行くと
初心者用に絵柄が沢山用意されていて、

何を描けばいいかわからない人は
その中から好きな下絵を
選べるようになっていました。





そのお蔭で
すぐに色を塗るところから
教えてもらうことができました。


つまりは塗り絵のような感じです。

これがまた、
本当に楽しかったです。



この時のはわたしはまだ
絵が描きたいというよりは、

色が塗りたかったんだと思います。





初心者の私としては、

いきなり
何を描きたいかと聞かれても

よくわからないというのが
正直なところでした。


描くものなんて何でも良かったのかも
しれません。



ただ綺麗な色を使って
なにか素敵な絵を描いてみたい、

そんな気持ちでした。





水をたっぷり使い
真っ白い紙にぱーっと広がる美しい色に

わたしは心底
感激してしまいました。


今思うと、

敷居の低そうな「水彩」でなければ
大人になっていきなり絵をはじめることは
なかったかもしれません。


ですが
絵を描きたいと思うきっかけというのは
本当に深い意味があるのだなと感じています。





絵を描きたいというのは
とても純粋な力で、

力強い生命力が宿っているように思います。



だからこそ
絵を描く達成感というのはとても大きくて、

人生を変えるほどの感動が待っていると
私は思っています。


新しい手法に挑戦したいと思ったら
それも内なる心の大切なメッセージかもしれません。





感動的な絵との出会いが
新しい画材へのお誘いになることも
あるのですね。





描きたい絵がない?|テーマを変えてみる




これまで書いてきたように
描きたい絵がすぐに思い付かない時は、

すぐに描けそうな絵柄を見つけて
まねして描いていくことから始めてみる
というのがおすすめです。



絵には描く楽しみがあります。

描くこと自体に喜びがあるのです。





そんなささやかな楽しみを感じながら
繰り返し絵を描いていくと、

日常の風景や自分の体験などから
描いてみたい
と思うものが

自然と目に飛び込んでくるようになります。


それは
美の感性が高まっていくからだと思います。






美しいと感じるモチーフや色合い

自分の感性に響く
エッセンスが凝縮されたもの

がきっとあります。

  • 気が付いたらお花ばかり描いている。

  • 旅行先の風景を眺めるのが一番心地いい。

  • いつか猫の絵が描けるようになりたい。


そして
絵が増えてくるうちに、

自分が描きたいものがなんであるか
その核心的な、本質的な
深い意味にも後から気がつく、

そんなこともあるように思います。





なぜそれを描きたいのかという
自分の根底に流れる主題のようなものが
テーマといわれるものです。


そんな
自分だけのテーマがあることに気づけるのも
ちょっと嬉しいことではないでしょうか。



「好きなものを好きなように描いてみる」

そんな経験の積み重ねが
自らの美の感性を高め、

また新しいテーマを
運んできてくれるかもしれません。


🔻関連記事

水彩画初心者だけじゃない!絵の題材(モチーフ)の「壁」






描きたい絵がない?|一番大切なこと




「絵が上手くなりたい!」と思うことと
「絵が描きたい!」と思うことは

少し別のことのように感じます。


「絵が描きたい!」
「絵を描くって楽しい!」
「もっと沢山絵を描きたい!」

そんな気持ちが何より大切だと思います。




絵を描くって本当に楽しい!

そう思えたら
それだけで本当に素晴らしい体験だと
わたしは思います。


自分ひとりで絵を描くにしても
教室に通って絵を描くにしても

絵を描く喜びを味わえる
そんな素敵な時間が過ごせることが
一番大切なことだと思います。



なぜならは
その時間が感性を磨くからです。

出来上がった作品よりも
美に触れている時間そのものが
自分の品格をも高めていくからです。





好きな本をみつけて
まねして描いてみて、

少し自信がついてきて
もっと上手になりたいな
と思ったときにはじめて

「先生」に習うことを検討する
という順番でも遅くはありません。


もし
ひとりで絵を描いていたならば、

例えば
上達のために展覧会に出してみたりするのも
いい経験になると思います。


そこで、
先生に講評して頂くのです。






わたしもこれまで
全国公募の展覧会などに出品して

会場で審査員の先生に
積極的に声をかけていました。


周りに美術の専門家の先生が
いなかったからです。


お教室に通っている場合でも、

先生が制作過程で
丁寧に講評してくれる教室は
勉強になっていいですね。





そのアドバイスを
次の作品にいかして制作することで、

また、その先生からアドバイスを
頂くことができます。

相性の良い先生や本との
出会いの機会を作ることも

成長するために
とても大切な事だと思います。




振り返ってみると、

はじめての体験教室
絵の喜びを教えてくれた
アメリカの先生をはじめ、


展覧会の会場
アドバイスをしてくださった先生、

地域の芸術祭
優しい声をかけて下さった先生など


丁寧なアドバイスをくださる
素晴らしい先生に会えたお蔭で
ここまで楽しく絵を続けられたと
感じます。






自分が描いてみたいと思うような
絵の描き方が載った本や
素敵な画風の先生の教室に見学に行ったりして

楽しく絵を描いていける環境を
作っていけるといいですね。






描きたい絵がない?|自分の感性を頼りに描き続けてみる




描きたい絵がなくても、
絵が上達しなくても、

感動的なものに触れる
という体験は
大切な時間になると思います。


私は散策中に
感動的な藤棚を発見して

一目惚れしたことがあります。


その藤棚が見たくて
同じ場所に何度も行きました。





私は風景画や
木を描いたことはなく、

当初、
その藤棚の感動は
絵とは結びつきませんでした。


ところが、
ある時期から
突然描こうと思い立ちました


本屋さんで風景画の本を探すでもなく、

ただひたすら
自分の心に焼きついた感動を形にしたくて
自分の感性だけを頼りに
藤棚を描き続けました。



気がついたら
藤棚の絵を
私は 15 枚も描くことになったのです。


最初は
A5サイズほどの小さなスケッチブックに
鉛筆で藤棚を描きました。

へんてこになってしまい
もう一度挑戦しました。



もう一度、もう一度、
と繰り返しているうちに


藤棚の鉛筆画は 4 枚になっていました





すると今度は
藤棚に色をつけてみたくなり、

好きな水彩絵の具を組み合わせて
小さな水彩画を描いてみました。


これもまた
いまいちで、

少し色を変えて
もう一度水彩絵の具で描きました。



夢中で色々な色の組み合わせで試し、

小さな水彩画の藤棚は 7 枚になりました



するとやはり、

藤棚は木なので
もう少し迫力があった方がいいかなと思い
少し大きな水彩画に挑戦したくなりました。


A4サイズくらいの水彩画で
藤棚を描きました。

何度も色を試していたので
うまくいきました。



さらに大きくして10号サイズで

色や雰囲気を工夫して
もう一度描いてみました。


こんなふうにして、 中くらいの水彩画も
気が付けば 3 枚になりました。






これで満足すると思ったのですが、

しばらく時間をあけると
また、


やはり本物の藤棚は
もっと大きいわけですので、

もっと大きな藤棚の絵を描きたいと
思うようになりました。



そこで気がつきました。

私はどうやら
わたしがちょうど本物の藤棚を
見上げたときに感じたものを

絵に描けたらどんなに素敵だろうと思い
せっせと絵を描いていたのです。



このことにようやく気がついた私は、

これまで描いたことのない大きさでしたが
60 号(横幅 130 cm)のサイズで
藤棚を描くことに決めました。





それまで
描きたい絵として藤棚を考えたことはなく

1mを超える絵は
初めて挑戦するサイズでしたが、


何気ない散策中に
感動的な藤棚と出会ったことで

その感動が小さなスケッチとなり
だんだん大きな水彩画になり、


ようやく
自分が何が描きたかったのか

自分が描きたい絵が見つかった
という体験でした。





まさか自分が
1 m 超えの水彩画を描くことになるとは
全く想像もしていませんでした。


感動が絵を描く原動力だとは
よく聞く話でしたが、

本当にそうだなと思いました。



藤棚を描いた時のお話は
↓こちらで少しご紹介しています。

🔻関連記事

葉っぱの水彩画|植物の葉の描き方と透明水彩絵の具の色選び






描きたい絵がない?|まとめ

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『 藤棚 』〈透明水彩〉by NORi


  • 本屋さんで描いてみたい絵が載った素敵な本を何冊か買い込んで、ちょっとずつ真似してみることで絵を描く楽しみを感じられるかもしれません。
  • 描くのが楽しい!を存分に味わう日常を、絵日記や塗り絵からスタートしてみるのもおすすめです
  • 感動とともに出会ったモチーフに一生懸命取り組んでみることで、自分が本当に描きたいものが分かるかもしれません


美しい色に惹かれたり、素晴らしい形に惹かれたり、描きたくなる理由は色々あると思いますが、「絵にしてみたい!」「この絵を描いてみたい!」という気持ちが自分の求めているものを教えてくれるのかもしれません。

自分のペースで、自分の好きな方法で、絵を心から楽しんで学んでいけたらいいですね。

NORi