【基本の水張り】簡単な水張りのやり方 ~霧吹き・刷毛不要~


NORi
こんにちは、NORi です。

今回のテーマは
『基本の水張り』です。

NORi
わたしは普段
ARCHES紙(300g/m2
を使っていますが、

水をたっぷり使う水彩画では
どうしても紙が波打ってしまいます。
 

すぐに紙が凸凹してきて
そのまま絵を描こうとすると

凹んだところに水溜りのように
絵の具が溜まってしまい

 

制作どころではなくなってしまいます。

NORi
そこで今回は、

簡単にできる基本の水張りの方法
をまとめてみました。
 

ぴーんと貼った綺麗な紙が
スムーズに準備できますように。

 

【水張りのやり方】必要なもの《解説》


上の写真が今回用意したものですが、

今回ご紹介する【基本の水張り】は
洗面台で行う手軽な方法です。
 

準備するものは全部で7点です。

  1. 水彩紙(ARCHES紙 300g/m2
  2. 木製パネル
  3. 水張りテープ(緑色)
  4. はさみ
  5. タイマー
  6. キッチンペーパー(or いらないタオル)
  7. メラミンスポンジ(洗面台の掃除用)

 

これだけあれば
失敗しない水張りができます。
 

失敗しない水張りのポイントと合わせて
ひとつずつ説明していきたいと思います。
 

■ 水彩紙


まず用意するのが水彩紙です。
 

これから絵を描くための紙ですが、

今回は
ARCHES紙(300g/m2を使います。
 

ARCHES紙は絵の具の発色も美しく、

様々な技法に耐える事ができる
素晴らしい紙です。
 

また、

透明水彩では
水をたっぷり使って絵の具を溶くことで

様々な濃淡の技術を楽しむことができます。

【透明水彩の塗り方動画】絵の具の塗り方・技法・スケッチ

このような技法の場合、

紙の厚さは
300g/m2はあると安心です。

 

私はまったくの初心者だった頃、

幸いにも紙の大切さを
教えて頂くことができ、

早い時期から ARCHES紙 を使って
美しい色で丁寧に色を塗り重ねる技法を
実践的に学ぶことが出来ました。
 

水彩画では使う紙の種類によって
絵の具の発色が変わったり、

にじみやぼかしの技術が
うまくいかなかったりします。
 

水をたっぷり使った綺麗な色で
水彩画を描くためには

紙選びはとても重要です。

《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

 

用意する紙のサイズは、

制作する大きさよりも少し大きめに
裁断したものを用意します。
 

水張りは
紙の端っこ5mm~1cmにテープを貼って

木製パネルに固定するため、
 

紙の上下左右にテープで留める
“のりしろ”分をあらかじめ考慮して

1cm~2cm程度大きめに
紙を裁断しておくことが必要になります。
 

紙選びや裁断方法は
↓こちらに載せています。

《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

(洗面台では水張りするのが難しい
大きなサイズの水張り方法についても
画像をつけて解説しております。)
 

このページでは、

ARCHES紙(300g/m2)を使った
洗面台でできる水張り方法をご紹介します。

 

今回はブロックタイプ(下の写真)の紙を
二つに切って、

2枚の紙を同時に水張りしました。
 

 

ブロックタイプの場合は
上の面が紙の表側です。
 

シートで紙を購入された場合は
より滑らかな方が裏側です。
 

ARCHES紙のシートには
角に『ARCHES』という透かしの文字が
入っていますので、

文字が読める側が表側です。
 

紙の表側は紙の目ははっきりしています。
 

ですが、

裏の肌目の方が画風に合う場合は
制作に合わせて裏面を使うこともできます。
 

裏と表では肌目が違う以外には
紙の質などにはほとんど違いはなく、

技法も同じように使うことができます。
 

好きなほうを使って大丈夫です。
 

水張りをする前に
自分がどちらの面に絵を描きたいかを決めて、
 

裏側にうっすら鉛筆で〇などを描いて
あらかじめ印をつけておくと
木製パネルの上に水張りする際に便利です。

(初めての方は表側に描くつもりで
裏側にうっすら印をつけると良いと思います)
 

また、
紙の表面には
汚れや傷がつかないように

丁寧に扱うことが大切です。
 

透明水彩は

紙の汚れや傷が隠しにくいほどの
透明感の高い絵の具を使う技法です。

 

特に水に濡れた状態の紙は
とてもデリケートです。
 

水張り中の紙を触るときは
汚れや傷がつかないように

慌てずに丁寧に扱います。
 
中には刷毛を使って
紙の表面に水を張っていく水張り方法

がありますが、

紙の表面をこすらないように
特に注意が必要です。
 

ARCHES紙は浸水時間が長くても
大丈夫ですので、

時間をかけて自然に吸水させる方法を
選んでいます。
 

■ 木製パネル・キッチンペーパー


1作品(1枚の紙)につき
木製パネルも1枚ずつ用意した方が

制作の際に便利です。
 

制作中は
絵の向きを変えて描いたり、
一旦乾かしたり、

ひと制作ごとに
進行状況が変わりますので、
 

ひと作品ごと
個別の木製パネルに水張りをするのが
おすすめです。

ちなみに今回は
2枚の紙を同時に木製パネルに
貼り付けますが、

ひとつが本番用の紙で
横に試し塗り用の紙を用意しました。

 
木製パネルは軽くて丈夫で、

作品に応じたサイズのものを
いくつか用意しておくと便利です。

 

木製パネルのサイズは、
紙よりも大きいものを用意します。
 

購入した木製パネルは

水張りをする前に
軽く洗うと良いです。
 

木製パネルの表面には

小さな木のカスが付いていたり
ささくれがあったりして、

水にぬれると色が出る場合があります。
 

水張りは

木製パネルの上に
塗れた紙を張り付けることになるのですが、
 

水張りしていたら、

木製パネルの色が滲んできて
真っ白な紙がうっすら茶色になる

ということがあります。
 

その茶色は消えず、

紙にはシミのような跡が
残ってしまいます。
 

そこで、

水張りする前に
キッチンペーパーを水でぬらして

木製パネルの表面を拭き
茶色にならないかどうかを確認すると
安心です。
 

茶色になる場合は
よくふき取ります。


 

お風呂場のシャワーなどを使って
一旦たわしなどで軽く洗うと

より安心です。
 

お店で売っている木製パネルには
表面の木の質が違うものがありますので、

これから購入される場合は
シナベニアという
表面が滑らかで色が薄い
木製パネルを選ぶと良いです。

【水張り手順】パネル張りの作り方|美しい透明水彩のために

 

■ 水張りテープ・はさみ


水張りをするには

専用の『水張りテープ』というものを
使います。
 

水に強く、
糊が強力です。
 

水張りに使える強力なホチキスで
紙を留める方法もありますが、

《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

今回は水張りテープを使った
基本の水張りのやり方をお伝えします。
 

水張りテープには
色々な色がありますが、

茶色・緑色が粘着力が高く
おすすめです。
 

水張りテープの太さ(幅)は

小さい紙を水張りする場合には
細いもので大丈夫です。
 

大きな作品では

紙の伸び縮みの力が
大きくなるので
 

幅の広い、太い水張りテープで
しっかり固定すると安心です。

 

水張りテープは
内側に大変強力な糊が塗ってあります。
 

水が付くことで
その強力な糊が溶けて

すぐにテープがふやけます。
 

水をつけたら
すぐに張り付けることがポイントです。
 

また、
水だけでなく、

空気中の湿気でも糊が溶け出してしまい、
テープがくっついて
使えなくなることがあります。
 

そのため、

水張りテープは必ず
購入した際に入れてあるビニール袋に
入れたまま保管することが大切です。


 

■ タイマー


失敗しない水張りのポイントの一つは
水に浸す時間を知っておくことです。
 

その前に、
水張りをなぜするのか?

ということですが、
 

それは、
水張りをしないと

水彩絵の具の水分で
制作中に水彩紙がふやけてしまうからです。
 

紙がふやけて凸凹になってしまうと

絵の具が水たまりのように
紙の上で溜まってしまいます。
 

これでは
綺麗に色が塗れません。
 

そこで、

制作する前にあらかじめ
紙を水で十分にふやけさせておき、

 

これ以上ふやけないところまで
完全に紙をふやけさせたところで

しっかりした板の上に
紙を固定してしまいます。
 

これが水張りの目的です。
 

水張りをした紙(+板)は
一旦、完全に乾かします。
 

水にぬれた紙というのは
ふやけて少しだけ伸びている状態です。
 

その紙を乾かそうとすれば
紙は元の大きさへと少し縮もうとしますが、
 

そこは強力な水張りテープでしっかり
板に留めてあるため

縮むことが出来ず
紙はぴーんと張った状態で乾きます。
 

これが、
水張りが完成した後の紙の状態です。

 

乾燥させた紙は、

普通の紙と同じように
絵を描くことができます。
 

ただし、

たっぷりの水を使って溶いた
絵の具を乗せても

ほとんどふやけることなく
思い通りの色を
何度でも重ねることができます。
 

このように事前に
水張りをきちんとしておくことで、

展覧会などで出品されている作品のように
紙がぴーんと張った
綺麗な作品に仕上げることができます。
 

たっぷりの水で溶いた絵の具で描いても
紙はほとんど波打ったりせずに
平らのままです。

 

そこで問題なのが、

どのくらい水に浸せば
紙は完全にふやけるのか?

ということです。
 

中途半端にふやけた状態で
水張りをしてしまうと、

その紙が乾いてから
絵の具で塗ると

やはり紙は波打ってしまいます。
 

つまり、

これ以上ふやけないところまで
水を吸収させる必要があります。
 

具体的には、

完全に紙が伸び切る時間を知っていることが
成功のポイントです。
 

今回使う ARCHES紙(300g/m2)の場合、

15分程で完全に伸び切ることが分かっています。
 

片面15分ずつ両面で30分
水に浸すことで

水張りで失敗することはなくなりました。
 

今回はタイマーで
片面15分ずつ

時間を計りながら水張りをしました。
 

■ メラミンスポンジ


メラミンスポンジというのは、

上の写真の左にちょこっと置いてある
水だけで
あっという間にぴかぴかにお掃除できる
アレです。
 

今回は洗面台のお掃除用に準備しました。
 

メラミンスポンジを使うポイントは
洗剤を使わないでお掃除ができることです。
 

水張りの大前提として、

綺麗な水で水張りをする

ということがあります。
 

制作に影響を与えない
綺麗な紙を用意するためですが、

そのためには当然
水張りに使う道具や

水張りをする場所も
綺麗にしておく必要があるわけです。
 

洗面台で水張りをする際に

綺麗にしようと思い
洗剤でお掃除をするのは
気を付けないといけません。
 

洗剤の界面活性剤が残っていると
水張り中に
それが紙についてしまい

絵の具を乗せると
水墨画のように
どこまでも絵の具が広がってしまいます。
 

こうなると
水彩紙ではなくなってしまいますので

水張りをする場所は
水で完全に汚れを落として
スタートするのがお勧めです。

 

【水張りのやり方】失敗しない3つのポイント


失敗しない水張りのポイントは

必要な道具と一緒に
上で説明をして参りましたが、
 

失敗しない水張りのポイントをまとめますと
以下の3つです。

  • 綺麗な水と場所、道具を準備する
  • 紙は完全にふやけるまで吸水させる
  • 紙は汚さない、傷つけないように丁寧に扱う

※ 水張りの失敗談は↓こちらにまとめてあります。

《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

 

以上をふまえまして、

いよいよ実際の方法を
ご紹介していきたいと思います。
 

【水張りのやり方】Step①-紙を水に浸す(15分間)


まず
洗面台を綺麗に掃除します。
 

洗剤などが残っていないように
水でしっかり汚れを落とします。
 

洗面台に水を張って
紙を浮かべます。
 

今回は2枚同時に
水張りをしようと思います。
 

タイマーを使って
このまま15分放置します。

 

【水張りのやり方】Step②-待ち時間に水張り準備をする



15分間の待ち時間に
水張りテープの準備をします。

このような完成イメージを頭に描いて
必要な長さのテープを
必要な本数、切って用意します。

 

 
※ 木製パネルの表面は
塗れたキッチンペーパーで拭いておきます。
(水張りテープは水に濡れない場所へ避難)


木製パネルの表面の汚れが
気になるようでしたら

一度たわしで綺麗に洗っておくと
安心です。
 

【水張りのやり方】Step③-15分浸したら、ひっくり返す


ARCHES紙は撥水性が高く、

ここまで15分間も浸水していたにも関わず
水に濡れていなかった上の面はほとんど

吸水されていないことが分かると思います。
 

15分経ったところで
紙をひっくり返します。
 

ここでの注意点は

指の圧力や爪などで紙の表面に
汚れや傷などのダメージを与えないように
気を付けることです。
 

透明度の高い透明水彩絵の具では
傷や汚れをごまかすことも
難しいことがあります。
 

紙をひっくり返す作業は
慌てなくて大丈夫です。
 

ARCHES紙は比較的丈夫な紙なので、

万が一、
手間取ったりハプニングが起こって
1時間水の中に放置しても問題ありません。
 

【水張りのやり方】Step④-ふたたび浸す(15分間)


紙をひっくり返したら
そこから再び

タイマーを使って
このまま15分放置します。

 

ARCHES紙を水張りする場合は

裏表の両面を
しっかり吸水させることで

完璧な水張りができます。
 

【水張りのやり方】Step⑤-紙を固定する


裏面も15分間浸水し終えると、

紙全体が水面の下に
沈んでいることが分かります。
 

今回は
紙の裏面の角に薄く〇印を
鉛筆でつけてあります。

(上の写真の紙の上の部分)
 

あらかじめこのようにしておくと
便利です。
 

15分間浸水し終えたところで

紙の表側が上になるように
ゆっくりと

綺麗な木製パネルの上に
紙をそっと乗せます。

今回のように
複数枚の紙を同時に木製パネルに
貼り付けたい場合は、

完成イメージを頭に描いて

水張りテープで止めるための
スペースを空けて紙を配置します。


水から引き上げた紙は
乾燥して縮んでいきますので、

木製パネルの上に紙を乗せたら
すぐにテープで貼っていきます。

 

水張りテープは、

対面を留めていく
という順番で貼ると
ヨレが出にくく上手くいきます。
 

紙の右側をテープで貼ったら
次は左側、

紙の上側をテープで貼ったら
次は下側、

といった具合です。
 

テープは貼り付ける直前に
水をつけます。

特に道具は使いません。
 

洗面台に残った水に
テープの糊面全体をしっかりつけて

すぐに木製パネルの上で
紙を貼り付けていきます。
 

この時、

水に濡れた水張りテープから
糊(水)が紙の上に垂れないように
気を付けます。


今回は紙の左側から
水張りテープを貼っていきます。
 

テープが長ければ

木製パネルの側面や裏面で
留めれば大丈夫です。
 

テープが水浸しのままだと
接着不良を起こします。

乾いたキッチンペーパーで
余分な水分を取り除くように
軽く押さえます。

余分な水分が取れて

木製パネルと紙に
テープがしっかり密着している
のを確かめます。
 

同様にして、
対面をテープで貼っていきます。
 

一本、一本貼り終えたら
乾いたキッチンペーパーで
余分な水分を取り除くように
軽く押さえながら

木製パネルと紙に
テープがしっかり密着している
のを確かめながら進めます。
 

今回は2枚とも
左右両側を先に留めました。
 

上と下も同様にして
留めて完成です。

水張りテープに余分な水分がなく

木製パネルと紙に
テープがしっかり密着している
のが分かります。

これで水張り完成です。
 

【水張りのやり方】Step⑥-日影に干す


水張りが終わったら
日影に置いて乾燥させます。
 

水が垂れてくる場合がありますので
下にいらないタオルを敷いたり、

タイルなどの上で乾燥させると
安心です。
 

完全に乾くまで放置します。

私はいつも1日置いて
完全に乾いてから制作に入るようにしています。
 

完全に乾くまでの時間は
季節や天候によっても変わりますが、
 

直射日光に長時間当てたり
ドライヤーなどで急速に乾燥させると

部分的に紙が縮んで
水張りテープと紙の間が裂けて

破れてしまうことがありますので
注意が必要です。
 

また、
乾燥するときは
平らなところに置きます。

 

立てて置くと
重力で水が下の方にたまっていき

上の方の紙が先に乾燥してしまい
紙にヨレが出来て

均質な紙に仕上がらない場合があります。
 

【水張りのやり方】Step⑦-後片付け


水張りテープの強力な糊が
洗面台の水に溶けているので、

最後にメラミンスポンジでお掃除します。
 

実は今回、
洗面台で水張りをすることで
後片付けが大変楽になっています。
 

洗面台を使うことで

水張りするための場所の後片付けや
刷毛などの道具も使わなくて済みます。
 

強力な糊がついてしまった後の
後片付けも必要ありません。
 

洗面台をメラミンスポンジで
掃除すれば片付けは完了です。

《透明水彩》水張りテープの剥がし方 ~平張りの作品例~

 

【水張りのやり方】まとめ

  • 【基本の水張り】は綺麗な洗面台で、綺麗な木製パネルを使います。
  • 紙は完全にふやけるまで片面15 分ずつ充分吸水させるのがポイントです。
  • 紙の表面は汚さず、傷つけないよう丁寧に取り扱うことが必要です。

 

NORi
新しい作品に取り掛かる前に
必ず行うこの水張りのお蔭で

洗面台がいつもきれいです(*^_^*)