水張り板で気をつけること|透明水彩におすすめの木製パネル


NORi
こんにちは、NORi です。

今回のテーマは
『水張り板』です。

NORi
絵を描くための板というと
いわゆる画板
を思い浮かべる方も
いらっしゃると思いますが、

水張りのための板というと
良くわかりませんね。
 

画板と同じでは
いけないのでしょうか。

NORi
そこで今回は、
特に透明水彩におすすめの
水張り板
について
ご紹介してみようと思います。
 

透明水彩ならではの
水張りのコツを押さえて

綺麗な水張りが出来ますように。

 

【透明水彩のための水張り板】なぜ板に紙を張り付けるの?


小学校の美術の時間に

校庭に出て
水彩画を描いた方も
いるかもしれません。
 

その時は
肩ひもの付いた画板の上に

画用紙を置いてクリップで留めて
絵を描いたのではないでしょうか。

このときの画板は
画用紙の下敷きとしての
役割です。
 

画板には主に

  • 紙製のもの
  • プラスチック製のもの
  • 木製のもの

があります。

描きやすさで選ぶなら
ダントツで紙製がおすすめです。

適度に筆圧を吸収して
柔らかい線も自然なタッチで
描くことができます。
 

軽さで選ぶなら
プラスチック製が一番です。

ただ軽過ぎて
下敷きとしては
多少不安定さを感じます。
 

適度な重みと安定感があるのは
木製の画板です。

ある程度の厚みがあって
吸水性もあるベニヤ板で作られた
しっかりした画板は

これからご紹介する
【水張り】にも
使うことができます。
 

【水張り】とは
下敷き用の板に
水彩紙を張り込む方法
なのですが、

画板の上に画用紙を置くだけでは
なぜいけないのでしょうか。
 

クレヨンや色鉛筆

あるいは
小学校で用いられる
マット水彩(あるいは不透明水彩)

といった画材で絵を描く場合と

透明水彩で絵を描く場合とでは
紙に対して決定的な違いがあります。

それは
絵を描く際に使う水の量です。
 

クレヨンや色鉛筆などでは
もちろん水を使いませんが、

マット水彩や不透明水彩では
少量の水を使うものの

絵の具は
クリーム状に近い状態です。
 

それに対して
透明水彩はほとんどが水です。

言ってみれば
色がうっすらと着いた水溶液を

紙に垂らすのが
透明水彩の技法なのです。

【透明水彩の塗り方動画】絵の具の塗り方・技法・スケッチ

これでは
紙はすぐにびちゃびちゃになり

紙も大きく波打ったり
丸まったりしてしまいます。

そこで、

水をたっぷり使っても
紙が波打ったり
丸まったりしないように

板にしっかりと紙を張り付ける
というのが【水張り】なのです。

 

【透明水彩のための水張り板】水張りってどうやるの?


水をたっぷり使っても

紙が波打ったり
丸まったりしないように

板にしっかりと紙を張り付ける
とは

一体どのようにするのでしょうか。
 

ここからは
実際の【水張り】の方法を
お伝えしながら

透明水彩のための水張りのコツ
を解説してみたいと思います。
 

①あらかじめ紙に水をたっぷり吸収させる

浴槽を使って大きな紙を水に浸しているところ by NORi

まずは
あらかじめ
紙に水をたっぷり吸収させます。
 

たっぷり
とは

これ以上
紙が吸収出来なくなるまでです。

 

このとき
紙はどのような状態になっているか
というと・・・
 

紙の繊維には隙間があります。

紙の親水性のために
紙の繊維の隙間に水が入り込み
紙全体が膨張していきます。
 

膨張することで
乾いていた状態よりも
紙は伸びて広がっていきます。

紙の繊維に水が十分に入り込むと
紙の膨張は止まります。
 

例えば
ARCHES という水彩紙の場合
片面15分、両面30分程度
水に浸すことでほぼ完全に伸び切ります。

 

②伸び切った紙を板に固定する

水彩紙を板に固定しているところ by NORi

紙が完全に伸び切ったところで
板に貼り付けます。

 

紙の四辺を全て
テープなどで板に固定します。
 

最も伸び切った紙の状態で
固定出来れば

これ以上
紙が伸びることはありません。
 

このとき使うのが
水張り専用の強力な【水張りテープ】
というものです。
 

水張りテープの内側の面には
水に濡れるとすぐに溶け出す
強力な糊が塗られています。

一度乾くと
剥がせなくなるくらい強力です。
 

使い方は
紙を板に固定する直前に
水張りテープの糊のついた面に
水をつけて

糊が溶け出したらすぐに
テープで
紙を板に貼り付けます。
 

紙の四辺を全て
水張りテープで
板に固定します。
 

③一旦、乾かす

水張りが終わって乾燥させているところ by NORi

平らなところで
一旦、乾かします。
 

水張りテープの糊が
乾きながらしっかりと
紙と板に密着していきます。

そして遅れて
紙も徐々に乾いていきます。
 

このときの紙の変化は

紙の繊維の隙間に入り込んでいた水が
自然に蒸発して抜けていきます。
 

すると
膨張していた紙は

徐々に元のサイズへと戻ろうと
縮んでいきます。

しかし
強力な水張りテープで
紙はばっちり板に固定されているため

紙のサイズは膨張したサイズのままで
水だけが抜けていきます。
 

④この状態で絵を描く

水張りテープで固定したまま絵を描いているところ by NORi

水張りをして
紙を板に固定した状態で
完全に乾かすことで

紙のサイズはこれ以上
伸びたり広がったりしない

魔法のキャンバスの出来上がりです。
 

そのまま
板に固定されている以上は

水をたっぷり使う
透明水彩などの技法でも

制作中に
紙が膨張したり
波打って凸凹になることはありません。

 

板で固定されていますから
下敷き付きとして
そのまま絵を描くことができます。

素晴らしいですね!
 

⑤板から紙を外す

額装風景 by NORi

水張りをした紙を
板から外すタイミングは
いつでしょうか?
 

水張りしてある紙は
板に固定されている限り

湿気を帯びても
紙が波打ったりせず

ぴーんと張った綺麗な紙の状態です。
 

綺麗な紙の状態であれば
作品も当然
最も美しく映えるでしょう。

水張りをした紙を
板から外すタイミングは
額装の直前がベストです。
 

画材屋さんや額縁屋さんで
額装を頼む直前(前日など)に

作品を板から外すのが
最も良いタイミングだと思います。
 

ここでの注意点は

板から外したら
できるだけ作品に手を加えないことです。

 

一旦
板から紙を外してしまったら

紙はとても無防備な状態になります。
 

紙を固定するものが無くなれば
紙の伸縮は自由になります。

当然
水分のある絵の具を乗せれば
紙は水を吸収して

繊維の間に水が入り込み
紙は膨張し始めます。
 

たとえば
フィキサチーフなどの
コーティング剤を吹きかけるのも

板から紙を外す前に済ませるのが
ポイントです。
 

そういう意味では

本当は
水張りしたままの状態が
一番良いのです。
 

そのため
水張りしたまま飾ることができる
『パネル張り』も人気です。
 

【透明水彩のための水張り板】水張りに使える板とは?

愛用の水張り板 by NORi

ここまで
水張りの方法を簡単に
お伝えして参りましたが、

失敗しない水張りには
いくつかのポイントがありました。

  • 水張りに耐える強い紙
  • 紙をしっかり固定できる道具
  • 水張りに耐える板

これらの組み合わせ
ということになります。
 

ここからは
【水張りに耐える板】について
具体的に考えていきたいと思います。

水張りの工程をひととおり眺めると
水張りにおすすめの板としては
次のような特徴を挙げることが
できそうです。

  • 反ったり歪んだりしない
  • アクが出ない材質の板
  • 重過ぎない

この3点を踏まえると

ある程度の厚みのある
木製の画板や

板の裏面に角材で補強されている
木製パネルが候補に上がります。
 

そして
アクの出ない素材の板というのは
透明水彩では特に気をつけないと
いけない部分です。

水浸しの水彩紙を
板に長時間貼り付けている間

板のアクが溶け出して
紙に茶色いシミのようなものが
滲んでくる場合があるからです。
 

透明水彩は
紙の質感(白さや肌目)を最大限に
活用する技法なので、

水張り板で紙を汚すのは
避けたいポイントです。
 

アクが出ない材質の板
という条件は

そのまま作品のクオリティにも
直接影響を与える部分です。
 

アクの出にくい素材は
「シナ合板(シナベニヤ)」
と呼ばれる木材だそうです。
 

画材屋に行くと
白っぽいシナベニヤの木製パネル
というのがありますので

それを選べば
以下の3点のポイント

  • 反ったり歪んだりしない
  • アクが出ない材質の板
  • 重過ぎない

というのを
全てクリアします。
 

ただ、
通常は
水張りは制作期間だけのことで

絵が完成したら作品は板から外すので、

板の表面をタワシで良く洗い流し
綺麗な状態で水張りすれば
心配する必要はないかもしれません。
 

透明水彩は
絵の具の透明度の高さと
紙の白さや質感を大切にする
特にデリケートな技法なので

制作前の水張りも
丁寧に進めたいところです。
 

【透明水彩のための水張り板】シナベニヤで美しく水張りする-『パネル張り編』

パネル張りの様子 by NORi

水張りの方法には
実は
2種類の張り方があります。
 

上の画像のように

水張り板の上に
塗れた紙を置いて

水張りテープで固定するという
方法を『平張り』といいます。
 

ここまでは
そんな一般的な『平張り』の方法で
水張りをご紹介してきましたが、

ここからは
もう一つの方法である
『パネル張り』についても

すこしご紹介してみようと思います。
 

一般的な『平張り』の詳しい手順は
↓こちらで紹介しております。

【基本の水張り】簡単な水張りのやり方 ~霧吹き・刷毛不要~

 

①あらかじめ紙に水をたっぷり吸収させる

洗面台を使って水彩紙を水に浸しているところ by NORi

先の『平張り』の方法と
基本は同じです。

あらかじめ
紙に水をたっぷり吸収させます。
 

今回は
ARCHES紙(300g/m2)Cold Press
を使っています。

ARCHES の場合は
片面15分、両面30分程度
水に浸すことでほぼ完全に伸び切ることが
分かっています。

 

②伸び切った紙を板に固定する

水彩紙を板に固定しているところ by NORi

紙が完全に伸び切ったところで
板に貼り付けます。

 

紙の四辺を全て板に固定します。
 

最も伸び切った紙の状態で
固定出来れば

これ以上
紙が伸びることはありません。
 

このとき使っているのは
【ガンタッカー】という
建築用のホッチキスです。

防水シートなどを板に打ち付けたり
家具のレザーの張り替えなどに
使う道具で、

絵のキャンバスの貼り付けの際にも
使われています。
 

通常の文房具のホチキスと
仕組みは同じで、

手で握る力によって
ステイプル(金属の針)が
押し出されます。
 

水彩紙のような紙でも
かなり強力に木製パネルに
張り付けることができます。

紙の四辺を全て板に固定します。
 

③一旦、乾かす

ガンタッカー固定して乾燥させているところ by NORi

『パネル張り』は
裏面まで水彩紙を覆って
固定してあるので、

最初は水浸しです。
 

タオルを平らに敷いて
その上で乾燥させると
良いでしょう。
 

乾燥するにつれて
紙が徐々に縮んでいきます。

水張りの際に折り込んだ
側面のふくらみも

徐々に
ぴちっと板に馴染んで
綺麗に仕上がります。
 

④この状態で絵を描く

『パネル張り』した状態で絵を描いているところ by NORi

水張りをして
紙を板に固定した状態で
完全に乾かすことで

紙のサイズはこれ以上
伸びたり広がったりしない

魔法のキャンバスの出来上がりです。
 

そのまま
板に固定されている以上は

水をたっぷり使う
透明水彩などの技法でも

制作中に
紙が膨張したり
波打って凸凹になることはありません。

 

板で固定されていますから
下敷き付きとして
そのまま絵を描くことができます。

素晴らしいですね!
 

⑤そのまま飾る

作品が完成した状態 by NORi

『パネル張り』の最大の特徴は

水張りをした紙を
板から外さなくて良い

という点ではないでしょうか。
 

水張りしてある紙は
板に固定されている限り

湿気を帯びても
紙が波打ったりせず

ぴーんと張った綺麗な紙の状態です。
 

綺麗な紙の状態であれば
作品も当然
最も美しく映えます。
 

⑥額装して飾る

額装した状態 by NORi

油彩画などでは

板に張り付けたキャンバスに
絵を描いて

そのまま額装できるように
木製パネルに合わせた額が
沢山用意されています。

 

『パネル張り』した作品に
油彩用の額を合わせるのも

重厚感があって
とても素敵です。
 

今回は
BOXフレームという額に
合わせてみました。

水に浮かぶ花を描いたので

絵と額の間に
透明な空気感を挟み込むことで

水や光の揺らめきを
活かした額装にできればと思いました。

《透明水彩》水張りテープの剥がし方 ~平張りの作品例~

 

【透明水彩のための水張り板】まとめ

  • 水張りをすることで、透明水彩の美しい色の重なりやにじみが綺麗に仕上がります。
  • 透明水彩のための失敗しない水張りのコツは、完全に伸びきるまで紙に吸水させることです。
  • 透明水彩には白っぽいシナベニヤの木製パネルがおすすめです。

 

NORi
今回は
水張り板について
ご紹介してみました。

道具について深く知る
というのは

何か失敗をしたときに初めて
得られる体験かもしれませんね。

お蔭様で
沢山の失敗がありました(^_^)