水彩紙の種類|おすすめの紙の条件とは?~有名メーカー比較~


こんにちは、NORi です。

今回のテーマは
『有名メーカー5選を試し塗り!』です。

水彩紙も種類が豊富で
どれから試したらいいか

なかなか難しい問題ですね。
 

表紙のデザインで決めてしまって
良いものなのでしょうか。

そもそも紙の違いに
どのような意味があるのでしょう?

そこで今回は
実際に有名メーカーの水彩紙を
5種類選んで

透明水彩の技法を
試し塗りしてみました。

紙選びのポイントとともに
ご紹介したいと思います。

透明水彩の技法にぴったりの紙で
素敵な絵が描けますように!

【透明水彩の塗り方動画】絵の具の塗り方・技法・スケッチ

【絵を習うには?】水彩絵画教室を選ぶための5つのポイント

 

【水彩紙の種類】透明水彩で紙選びが大切な理由


気軽に水彩画に挑戦してみたい
と思えば、

例えば
水彩色鉛筆も楽しいです。
 

鉛筆を色鉛筆に持ち変えて
字を書くこともできますし、

そこにイラストを添えることも
できます。
 

水筆を使って
色鉛筆で描いた絵に水を落とせば

ふんわりとした水彩画ような
味のある雰囲気も
出すことができます。
 

水筆をメインにして
簡単な水彩スケッチを描くことも
できます。

水彩色鉛筆を直接水で溶かせば
水彩絵の具のようにも使えます。

水彩色鉛筆の芯のところを
水筆で溶かしながら

水筆についた色を
スケッチブックに塗るのです。
 

筆と絵の具を使って描いているような
そんな雰囲気を手軽に楽しむことが
できます。

このような方法は
私が実際に水彩色鉛筆を買って

スケッチブックに旅の絵日記などを
記録して楽しんでいた頃に
よく使っていた描き方です。
 

時には
鉛筆だけで絵を描いたり
絵日記をつけたりしていました。

このとき使っていた紙は
横長の小さなスケッチブックです。

 

この頃は
画材屋さんで新しいスケッチブックを
買うのがとっても楽しみでした。

特に
ひもが付いているスケッチブックが
お気に入りでした。
 

旅先に持っていくので
しっかりとひもで閉じておきたい
と思ったことと、

ひもで結んだスケッチブックは
とっても可愛くて
おしゃれに見えました。
 

このように
密かに自分だけで楽しむ
絵日記のような気持ちで
水彩画を描いてみたいと思ったら
紙はなんでもいい
のかもしれません。

 

実際に
スケッチブックによって紙質が
違っていたと思いますが、

あまり気になりませんでした。
 

しかし
透明水彩の技法を活かした絵を描く
となると話は変わってきます。

鉛筆やパステル
水彩色鉛筆などと

透明水彩とでは
大きく異なる点があるのです。
 

それは水の量です。

絵の具を十分に溶かし
たっぷり水を使う透明水彩では、

水彩色鉛筆のように
筆で線を描くというよりは

場合によっては
色のついた水溶液を紙に垂らす
という表現がより現実的かなと
思います。
 

紙に垂れた水溜りのような絵の具が
紙に徐々に浸透すると
紙は大きく波打ってきます。

このように
絵を描く際に使う水分量が
水彩色鉛筆で楽しんでいた時とは
かなり違うため、

やはり
透明水彩をはじめるには
透明水彩に適した紙を選ぶ必要が出てくる
というわけです。

 

透明水彩での基本の紙の準備としては、

  1. 適切な素材と厚みの水彩紙を用意し
  2. さらにその紙を【水張り】して木製パネルに
    固定して
  3. その紙を一度完全に乾かしてから、絵を描く。

というステップを踏むことになります。
 

【水彩紙の種類】透明水彩に合う基本の紙とは?


さて、
透明水彩に適した紙とは
どのような紙でしょうか。
 

ここからは視点を少し変えて

まずは
美しい透明水彩とはどのような技法なのか
考えてみたいと思います。
 

わたしは
透明水彩の絵をはじめて見たとき
あまりの美しさに本当に感動しました。

その感動を言葉にするのは
難しいのですが、

いくつか特徴を挙げることは
できそうです。
 

それは
透明水彩の絵の具の
透明度の高さに由来するものです。

例えば、

  • 透明感あふれる色の重なり
  • 透明な水の動きを感じる自然な色の広がりや複雑な濃淡
  • 透けて見える紙質と一体となった繊細さと柔らかさ

というような感じです。
 

繊細な色が複雑に重なった様子や
グラデーションの美しさといったものは

たっぷりの水で十分に解いた絵の具を
薄く塗り重ねるという技法が
基本となっています。

 

透明水彩にも
様々な表現方法がありますが、

まずは
水をたっぷり使った
基本の表現ができなければ

透明感あふれる色の美しさは
なかなか出せないのではないでしょうか。
 

ここから
美しい透明水彩のための紙の条件も
見えてきます。

  • 水をたっぷり使える紙
  • 絵の具のノリが良い紙
  • 水を操りやすい紙
  • 重ね塗りできる紙
  • 質感の美しい紙

基本的に
【水彩紙】というジャンルの紙は

保水性を高め
水を操りやすいように作られています。
 

それでも
素材や製造方法、紙の厚みなどの違いから
メーカーやブランドごとに
独特の特徴を有していて

私達のニーズに
幅広く応えてくれています。
 

紙の上に乗せた絵の具と水分が
紙に吸収されていくスピードが違えば

紙の表面に乗った絵の具を
筆で操るスピードも
変えなければなりません。
 

色を乗せた瞬間にすぐに
紙に絵の具が定着してしまうのか、

ゆっくりとにじみやぼかし、
綺麗なグラデーションを作ることが
できる時間がある吸水性のある紙なのか、

そういったことが
紙の保水性
あるいは紙の厚み素材などで
変わってきます。
 

ここからはより具体的に
透明水彩に適した紙の特徴ついて
考えていこうと思います。
 

【水彩紙の種類】紙の色は『白』


『紙の色』は白
と決まっているわけではありません。

ですが、
多くの水彩紙が白いことからも
わかるように

やはり基本は白い紙を使う
と言ってもよいでしょう。
 

透明水彩の絵の具の特徴は
その透明感の高さにあります。

それは
下の紙の白さが透けて見えるほどの
絵の具の透明度の高さです。

 

白というのは一番明るい色
(最高明度の色)です。

【色彩科学】有彩色とは|色の種類と三属性-色相・明度・彩度

ここから色を塗り重ねることで
彩り豊かな絵が生まれると同時に
徐々に明度は下がっていきます。
 

この明度差が立体感を生み出し
写実的な表現にもつながります。

絵の具は
塗り重ねれば明度は下がりますが、

紙の白さを活かす透明水彩では
一度下がった明度は上げられません。

 

そのため、
紙の白さが明度の上限を決めるのです。

透明水彩の紙の白さは
絵全体の明るさに影響します。
 

明るく鮮やかな色調を作るために
紙の白さが大切といえるわけです。
 

不透明水彩の技法や
ガッシュの白い絵の具を活かして

意図的に色付きの水彩紙を使う場合
でない限りは

通常の
ナチュラルホワイトあたりの
自然な白さを選んでおくことが
透明水彩の基本と言えると思います。

 

同じメーカーの紙で
色の選択で迷った場合は

出来るだけ白い方を選ぶほうが
透明水彩の美しい発色が
期待できると思います。
 

【水彩紙の種類】紙の素材は『コットン』


私達が手にする紙は
素材の違いだけでなく
紙の製造方法にも違いがあり

それぞれ独特の風合いや強度が
紙の特徴として現れてきます。
 

その中でも
水彩画に適した保水性をもった紙
といった観点からみると、

やはり
吸水性・保水性にすぐれた素材
という条件が挙げられるかと思います。
 

一般的には
天然素材であるコットンは

吸水性・保水性が高く丈夫で
肌目の美しさも加わり
水彩紙に最適だと考えられています。
 

透明水彩の技法では
絵の具の透明度を活かして

たっぷり水を使い
水を操るようにして
色を塗っていくため

保水性はとても大切です。
 

上質な高級水彩紙はほとんど
コットン100% で作られています。

 

コットンは
吸水性・保水性の他にも
通気性や肌触りの良さで
私達の下着や洋服にも使われていますね。

保水性の高さは
逆に言えば
乾くまでに時間がかかる
ということでもあります。
 

透明水彩では
紙が乾燥する時間を考慮に入れながら
絵を描き進めていく必要があります。

ドライヤーを併用することも
場合によっては有効ですが、

半日〜1日置いてから
続きを塗ることは普通のことです。
 

完全に乾くまで
次の色を乗せない
ことで

濁りの無い綺麗な色の重なりが生れます。

これは透明水彩の技法を活かす
基本的なルールと言えます。
 

乾かないうちに色を塗り重ねると

紙の内部に保たれている水分の中で
全ての絵の具が混ざり合うことになり、

実質パレットの上で混色した絵の具を
塗ったようになります。
 

意図しない色の混色
明度・彩度ともに大きく下げることに
繋がり、

明るく軽やかな美しい色彩の
ふんわりとした繊細な重なりを得意とする
透明水彩では

できれば避けたいところです。
 

水をたっぷり使う透明水彩では
保水性の高い
コットン素材の水彩紙を使って

混色が濁らないように
完全に乾かす時間を適切に取りながら
塗り進めることが大切になってきます。

 

【水彩紙の種類】紙の厚みは『 300g/m2以上』


透明水彩らしい
透明感あふれる画風を目指すには

紙の吸水性・保水性が大切
というお話をしてきました。
 

吸水性・保水性の高い素材で

尚且つ
ある程度の厚みのある紙が理想的です。

 

多くのメーカーで
何種類か厚みの異なる紙が
用意されています。

紙の厚みを示すのが
グラム表記です。

 

190g/m2とか
300g/m2
というように

1m2あたりの
紙1枚の重量を単位として
「厚み」を示しています。
 

同じメーカーの紙でも
数値が大きい方が
厚い紙になります。

 

はじめの章でご紹介したような
水彩色鉛筆や
不透明水彩といった技法では
薄手の紙でも良いかもしれませんが、

にじみやぼかしの表現を使う
透明水彩の技法では
水をたっぷり使うので
保水性の高い厚手の紙が必要です。
 

少なくとも300g/m2の厚みは
あると安心です。

透明水彩において
300g/m2以上の紙の厚みが
基本的な基準となるのは

吸水性・保水性の高さ
だけではありません。
 

水に濡れたときの紙の強度
という意味においても

300g/m2以上の厚さの紙を
用意すると安心です。
 

透明水彩では、

  1. 適切な素材と厚みの水彩紙を用意し
  2. さらにその紙を【水張り】して木製パネルに
    固定して
  3. その紙を一度完全に乾かしてから、絵を描く。

というステップを踏むことになります。

小さな作品でも
大きな作品でも

この水張りに耐える強度としても
300g/m2の厚みがあると
安心なのです。
 

【水彩紙の種類】紙の厚みと『水張り』の関係


水張りとは

紙が水を吸って波打つのを
防ぐための技術
です。
 

絵を描く前に

あらかじめ紙に
たっぷりと水を吸収させて
紙を伸ばし切ります。

そして
そのふやけ切った状態の紙を

しっかりとした板に置いて
強力な【水張りテープ】で
固定してしまうのです。
 

そのまま
平らな床の上などに放置して
紙を完全に乾かすのですが、

その間
紙は徐々に乾いてきます。

乾燥しながら
伸び切った紙は徐々に
縮まろうとしますが、

強力な水張りテープがしっかりと
紙を板に固定しているため
紙は縮まることはできません。

 

つまり
紙は伸び切った状態のままで
ぴーんと張った紙の状態で
完全に乾くのです。

ちょうど板に張られた
キャンバスのように

しっかりと板に張られた
水彩紙が用意できるというわけです。
 

しかも、
いくらたっぷり水を使っても
紙がふやけたり
凸凹と波打ったりすることはありません。

これが透明水彩のための
【水張り】という紙の準備方法です。
 

紙が大きくなればなるほど
水張り中の紙の伸縮度合いは高まるので、

その際の伸縮に耐える強度としても
300g/m2の厚みがあると
安心です。

 

詳しい水張りの方法は
↓こちらでご紹介しております。

【基本の水張り】簡単な水張りのやり方 ~霧吹き・刷毛不要~

 

【水彩紙の種類】紙の肌目は『Cold Press』


透明水彩では
紙の白さを活かし

薄塗りで
美しい色を重ねていく手法が
基本的な塗り方となります。
 

つまり、
紙の白さだけでなく

紙の肌目がそのまま
作品になります。

 

つるっとした滑らかな肌目であれば
透明感の高い美しい発色が
どこまでも広がり
際立つでしょう。

また美しい自然な肌目が活きた紙では
美しい着物の生地のように

柔らかい紙の表面の凹凸が
絵柄を効果的に引き立て

なんとも濃密で上品な風合いを
醸し出します。
 

大胆な凹凸のある紙は
重厚な存在感を持っていて

水彩画といえども
迫力のあるリアルな物質感を
生み出し

作品自体の存在感も
深まります。
 

このようなニーズに応えて
水彩紙には
紙の表面の仕上げ方に
いくつかバリエーションがあります。

紙の表面の凸凹の風合いを
好みに合わせて
選ぶことができるのです。

 

大きく3種類に分けて考えると
選びやすいかもしれません。

  • Hot Press
  • ※ 日本語表記はメーカーによって異なりますが、細目、極細目となっていることが多いです。

    表面の凸凹はほとんど無く、
    つるりとした紙質になっていて
    色もよく伸びます。
    細密描写の作品などでは
    極細目なども効果的です。
    吸水の具合に特徴があり
    素早い色塗りに向いています。
    水をたっぷり使う表現には
    多少技術が必要な上級者向けの紙
    と言えるかもしれません。

  • Cold Press
  • ※ 英語表記でNotと表記される場合もあります。日本語表記はメーカーによって異なりますが、中目あるいは細目となっていることが多いです。

    自然な紙の凸凹で、
    小さい作品から大きな作品まで
    繊細な表現から迫力のある表現まで
    標準的に使いやすいタイプの紙です。
    吸水スピードも適度に緩やかで
    水をたっぷり使った
    にじみやぼかしの表現も思いのままです。
    透明水彩ならではの美しい重ね塗りや
    グラデーションには特に向いています。
    緻密な表現もできる王道の紙質です。

  • Rough
  • ※ 日本語表記はメーカーによって異なりますが、荒目あるいは極荒目となっていることが多いです。

    表面の凸凹が大きく、
    厚みや立体感のある紙の質感が効果的な
    ダイナミックな作品に効果的です。
    吸水性・保水性が高く
    ふんわりとした美しいにじみと
    綺麗な発色をさらに実感できる紙です。

 

たとえば
風景画を描く際にも

つるっとしたHotPressには
清らかさの溢れる水辺の風景などが
効果的かもしれません。

一方、
ゴツゴツとした岩肌や
生い茂る森林の風景などには

凹凸のはっきりしたRoughの紙なら
リアルで面白い表情が生まれそうですね。
 

また
人物画などには

健康的でつややかな肌を
表現できて
かつ
繊細な色の調整ができる

Cold Pressのナチュラルな肌目が
ぴったりかもしれません。
 

ここではおおまかに
3種類の分類で話をすすめていますが、

実際の紙の肌目は
メーカーによって独自の美しさがあり

紙の表面の仕上がりも
メーカーによって異なります。

 

自分の好みがまだ分からない場合は
まずは各メーカーの
cold pressの肌目から挑戦されると
良いのではないかなと思います。

 

紙の表面の質感は
作品の仕上がりに直結するので

自分の作品のスタイルにあった紙は
どの紙なのか
だんだんと見えてくると良いですね。
 

【水彩紙の種類】紙の表側はどっち?


実は水彩紙には
表面と裏面があります。
 

スケッチブックなどでは
表面が上になるように
綴じられていますが、

1枚1枚をばら売りしている
シート状の紙などでは

時々
表と裏が分からなくなりますので
購入時に表面を確認しておくと
良いと思います。

 

たいていの場合
紙の肌目(凸凹の風合い)が
しっかり見えるほうが表側で、

裏側は凸凹が控えめになっています。
 

高級水彩紙をシートで購入すると
紙の表面がわかるように

紙の端っこにウォーターマークと呼ばれる
『透かし文字』
で紙の名前が入っている
ことが多いです。
 

また、
裏面も表面と同じように使えるか
ということも
聞いておくと良いと思います。

しっかりした紙ですと
表面だけでなく
裏面も使うことができます。

 

たとえば
ARCHES(アルシュ)という
フランス製の高級水彩紙がありますが、

この紙はとても丈夫で

裏面も表面と同じように
にじみやぼかしなどあらゆる技法を
使うことができます。
 

ARCHESのCold Pressを購入した場合
裏面は多少凹凸が少なく滑らかです。

肌目の効果を押さえたい細かい絵や
小さな作品などには

むしろ裏面を使う場合もあります。
 

好みに応じて
積極的に裏面を使うことができるので
2倍楽しめる紙と言えます。

両面の肌目で絵を描いてみて
紙の風合いがどのように
絵の仕上がりに影響するのか
試してみると
絵の表現も広がるかもしれません。

 

ちなみに、
ARCHESのHot Pressの表面は
Cold Pressの裏面よりももっと
つるっとしています。

色塗りの扱いは
Hot Pressの方が難しいかと思いますので、

凹凸の少ない紙がいい場合は
Cold Pressを購入して
試しに裏面を使うほうが
うまく塗れるかもしれません。

 

【水彩紙の種類】紙のタイプは『ブロックタイプ』から


絵を描きたいと思ったら
まずは普通のスケッチブック
を思いつくのではないでしょうか。

サイズ的にも
使いやすさという点でも
手軽な大きさのスケッチブックは
とても便利なアイテムですね。
 

そんなスケッチブックでも
実際には
様々なサイズが用意されています。

ですが
1mを超えるような
大きな絵
を描きたいと思うと
スケッチブックでは無理になりますね。

そんなときは
もっと大きな紙を別のスタイルで
用意することができます。
 

スケッチブックは
紙の上部や左側など
一辺だけが閉じられたタイプですが、

大きなシート状の紙が
1枚1枚バラで用意されている
ものもあれば

カットする前の紙をロール状に巻いて
売っているものもあるのです。

 

ここでは
様々な紙のタイプについて
ご紹介しようと思います。

水彩紙のタイプとしては
以下の4つくらいを知っておくと
便利かなと思います。

  • スケッチブック
  • ブロックタイプ
  • シート
  • ロール紙

水をたっぷり使う透明水彩では
かなり厚手の紙が必要になります。

どのタイプの紙を選んだとしても
紙の厚さは 300g/m2以上
のものを選んでおくと安心です。

 

■ スケッチブック

スケッチブックは
紙の上部や左側など
一辺だけが閉じられたタイプです。
 

ハガキサイズのような小さなものから
50cm程度の大きなサイズのものまで
サイズの種類は豊富ですが、

透明水彩に使える水彩紙となると
なるべく厚手のものがおすすめです。

 

色の試し塗りや
にじみやぼかしの表現を
練習したいときに

傍らにスケッチブックがあると
気軽に試すことができて便利です。
 

作品制作直前の下絵や

本番の紙に塗る
直前の試し塗りには

本番と同じ種類の紙
を使う
と安心です。

そのような場合には
より快適に塗れる
ブロックタイプ
がおすすめです。
 

■ ブロックタイプ

ブロックタイプは
水彩紙10枚(あるいは20枚)ほどが
重なったノート状のまま
四方側面を糊付けされたものです。

紙が重なったまま固定されているので
ブロック自体がそのまま
固い画板のような役割も担っていて

そのまま絵を描くことができます。
 

厳密な【水張り】をしないでも良い
気軽な練習などにはもちろん

下絵や試し塗りにも
【水張り】せずにすぐにそのまま
かなり本格的に色塗りができるので
大変便利です。

 

制作直前の下絵や
本番の紙の横に置く試し塗り用の紙
としても重宝します。
 

一番上の紙に絵を描き、

絵が完成した後で
完全に乾かしてから

側面の糊をカットするようにして
ブロックから
1枚だけ外すことが出来ます。
 

0号(長辺17.9cm)〜SM(22.7×15.85cm)
サイズのような比較的小さなものから

メーカーによっては
10号(長辺53cm)サイズくらい
までのものが揃っています。
 

水をたっぷり使う透明水彩では
ブロックタイプでも
紙が波打つことがあります
ので、

ブロックタイプの紙を
本番用として使う場合には
きちんと【水張り】してから
制作することをおすすめします。

ブロックのまま使うのではなく
制作前に一番上の紙を一枚剥がして

その紙を木製パネルに
きちんと【水張り】してから
制作に入ると安心です。
 

■ シート

だいたい10号(長辺53cm)以上の
大きめの絵を描く場合には
シートやロール紙を購入する必要が
あります。

 

シートは
水彩紙を一枚ずつ
バラ売りしたものです。

1枚1枚カットされている水彩紙シートを
何枚かセットで買うこともできます。
 

ただ
ペラペラの1枚の紙なので

作品用に使う場合は
事前に木製パネルに固定する
【水張り】は必須になります。

600g/m2~700g/m2
といった特に厚手のシートの場合は

ほとんどボードのような
しっかりした水彩紙なので
水張りせずに使えます。
 

■ ロール紙

あらかじめ紙のサイズでカットしていない
ロール紙
というものもあります。

小さな作品であれば
ブロックタイプを使うことができますし、

中くらいの作品であれば
1枚ずつ個別にカットされたシートタイプで
大きめの紙を購入することができます。

 

シートタイプでは足りないような
大きな作品を描く場合には
ロール紙を購入して
自分で好きなサイズに
裁断することができます。

ロール紙はカットされていない紙を
そのまま購入することになるので
シートで購入するよりも
お得になります。
 

シート状の紙で
中くらいの絵を描きなれてくると

絵画展への出品や
個展などを開きたいと
思われる方も多いと思います。
 

これから
沢山の作品を描いていく
ご予定の方は

思い切ってロール紙を購入して
自分で好きなサイズの紙に
カットするのも経済的かもしれません。
 

【水彩紙の種類】紙のサイズは『SM』あたりから

紙のサイズについても
なかなか悩ましいところです。

とは言っても
ハガキサイズの小さな水彩紙では
透明水彩ならではの
水をたっぷり使った表現は
少し難しいかなと思います。
 

絵を学び始めるのに
ちょうどよいサイズというと

『SMサイズ(22.7×15.8cm)』
~『F4サイズ(33.4×24.3cm)』あたり

いかがでしょうか。

 
慣れてきたら
だんだん大きな絵にも
挑戦すると良いと思います。
 

絵画展への出品作品などでは
指定のサイズがあったりしますが、

出品する際には
出来る限り大きな作品で挑戦すると

絵にも迫力が出て
自分の力試しになります。
 

水彩で良く使われる『F,P,M,S』といった
サイズ表記については

↓こちらで詳しくご紹介しております。

《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

 

【水彩紙の種類】透明水彩に適した紙選びのおすすめポイントまとめ

制作風景 by NORi

ここまで
水彩紙の種類や特徴を
ご紹介してきました。

透明感あふれる
みずみずしい表現を得意とする
透明水彩は

水をたっぷり使う特別な技法です。
 

そんな透明水彩の技法に適した
紙選びのポイントを
まとめてみようと思います。

ここまで挙げてきました
紙のチェック項目は以下のとおりです。

  • 紙の色
  • 紙の素材
  • 紙の厚み
  • 紙の肌目
  • 紙のタイプ
  • 紙のサイズ


 

このうち後半の3つ

  • 紙の肌目
  • 紙のタイプ
  • 紙のサイズ


については

制作のスタイルや好みによって
変わるところです。

まずは
前半の3つ

  • 紙の色
  • 紙の素材
  • 紙の厚み


について

透明水彩に適した
失敗しにくい王道の水彩紙の
種類と特徴をまとめたいと思います。

  • 紙の色は【白】あるいはナチュラルホワイト
  • 紙の素材は【コットン】
  • 紙の厚みは【300g/cm2以上】

これが透明水彩らしい
みずみずしい絵を描くための
基本的な水彩紙の条件
と言えるかと思います。
 

次に
制作スタイルや好みによって変わる

  • 紙の肌目
  • 紙のタイプ
  • 紙のサイズ


についてですが、

はじめて透明水彩に挑戦する際の
おすすめとしましては

  • 紙の肌目は【cold pressed(中目)】
  • 紙のタイプは【ブロックタイプ】
  • 紙のサイズは【SM(227×158mm)程度】

からスタートされてみては
いかがでしょうか。
 

【水彩紙の種類】塗ってみなければ分からないこと


ここまで

  • 紙の色
  • 紙の素材
  • 紙の厚み
  • 紙の肌目
  • 紙のタイプ
  • 紙のサイズ


についてまとめて参りましたが、

これらの条件は
あらかじめ
きちんと明記されているので

だいたいは事前に知る事ができる
紙選びの基本的な情報
となります。
 

紙そのものの概ねの評価として
ある程度は絞って考えることができる
部分です。

ですが
実際に使わなければ分からないことも
沢山あります。

それは
『自分の持っている道具との相性』や

『自分の技術(水分量)でどのような
にじみやぼかしが作れるのか』

『自分の好みに合っているかどうか』
といったような繊細な部分ですね。
 

ここからが
ますます絵の楽しいところ
ではないでしょうか。

大まかな基本情報を見て
紙を選んだあと、

実際に塗ってみるという部分は
是非じっくりと向き合いながら
楽しみたいところです。

 

特に、

  • 発色の良さ
  • ぼかしや色の濃淡の具合の良さ
  • 重ね塗りのタイミング
  • 技法に負けない表面の強さ


などの技術面に関わる部分については

絵の具・紙・筆など
自分の持っている道具の相性
なども関係してくるため

簡単には評価できないところ
でもあります。
 

このようなこともあって

有名メーカーの水彩紙を使って
実際に試し塗りをしてみました。

 

【水彩紙の種類】人気の水彩紙メーカー5選《色塗りテスト結果》


ここまで
紙の特徴や紙選びのポイントを
まとめて参りましたが、

これらを考慮してもなお
豊富な選択肢の前で紙を選ぶ
というのは
なかなか悩ましいところです。

 

それだけ
紙が絵に及ぼす影響が大きく

水彩の繊細で豊かな表現力が
紙によって変わってくる
ということでもあります。
 

絵の技法と紙の反応との相性
絵の具の違いと紙の発色との相性
など多様な組み合わせがあり

絵の雰囲気が紙によって決まる
紙によって描ける絵が変わる
という可能性を考えれば

水彩画における
紙の種類の豊富さはうなずけます。
 

そんな中で
多くの方々に支持されている
王道的な紙が存在します。

たとえば
以下の5つの紙は
多くの画材店で見かける
有名な水彩紙です。
(アルファベット順)

  • ARCHES(アルシュ)
  • Lamp Light(ランプライト)
  • The Langton(ラングトン)
  • WATER FORD(ウォーターフォード)
  • WHITE WATSON(ホワイトワトソン)

 

上記の有名どころ水彩紙を使って
次のような5つの技法を試してみました。

  1. にじみ
  2. ぼかし
  3. 重ね塗り
  4. マスキング
  5. 洗い出し

 

上記の技法は
透明水彩で良く使う表現かと思います。
 

上記の技法の全てにおいて
良好な感触を得た水彩紙は

上記の5種類の水彩紙のうち
2種類でした。

一番美しく塗れた紙から順に
透明水彩にぴったりな水彩紙を
ご紹介してみようと思います。
 

【水彩紙の種類】透明水彩におすすめの紙 [断トツ No.1] ARCHES(アルシュ)


水をたっぷり使う透明水彩は
水彩紙にとって一番基準の厳しい
技法ではないかと思います。

そんな中で
断トツで美しく塗ることができた水彩紙は
ARCHES(アルシュ)でした。

 
今回の

  1. にじみ
  2. ぼかし
  3. 重ね塗り
  4. マスキング
  5. 洗い出し

全ての技法において
思ったとおりの美しい表現ができた
パーフェクトな紙でした。

 

紙の撥水性は強めで
ゆっくりと吸水していくので

色塗りも時間をかけて
ゆったり進めることができます。

 

水をたっぷり使う
透明水彩にはぴったりの水彩紙で

にじみやぼかしはもちろん
重ね塗りも美しく仕上がります。

あらゆる技法に耐える丈夫な紙で、
自由な表現がどんどん広がる
やはり素晴らしい紙です。
 

ARCHES Cold Press 300g/m2
失敗しにくい紙です。

初心者の方こそ
おすすめしたい紙です。
 

ARCHESは世界一の水彩紙
と言われている
フランス製の最高級水彩紙です。

500年以上も世界中のアーティストに
愛されてきた歴史のある紙です。

コットン100%で吸水性・保水性・
鮮やかな発色・耐久性、
すべての点において
世界最高品質と言えます。

 

【水彩紙の種類】透明水彩におすすめの紙 [No.2] WATER FORD(ウォーターフォード)


ARCHESと比べると撥水性は控えめで
色の定着は早めです。

軽やかに色が伸びて
スピード感のある色塗りも楽にできます。

 

水をたっぷり使う透明水彩の
にじみやぼかし、重ね塗りには
多少技術が必要ですが
美しく仕上がります。

マスキングや洗い出しのような
技法にも耐えます。
 

色の定着は若干弱く
重ね塗りや色の上にマスキングを重ねる
ような場合には

色落ちを考慮する工夫が
必要となりそうです。
 

WATER FORDは透明水彩の本場
イギリスを代表する高級水彩紙です。

コットン100%で
吸水性・保水性・鮮やかな発色も
良好です。

 

【水彩紙の種類】まとめ

  • 透明水彩の圧倒的な透明感とふんわりとした滲みや美しい色のグラデーションを活かした水彩画を描くためには、保水性が高く、厚みのある丈夫な水彩紙を選ぶことが大切です。
  • 透明水彩の技法を活かせる水彩紙は、白~ナチュラルホワイトの色で、表面の仕上げは cold press300g/m2以上の厚みコットン100%(あるいは高配合)の紙がおすすめです。
  • 有名どころの水彩紙5種(アルシュ・ランプライト・ラングトン・ウォーターフォード・ホワイトワトソン)を使って、透明水彩の5種類の技法を試したところ、アルシュの紙が圧倒的なクオリティで仕上がりました。工夫をすればウォーターフォードも美しい仕上がりが目指せます。

 

NORi
透明水彩は
水彩紙にとって一番厳しい技法
と言えるのではないでしょうか。

今回は
実際に絵の具を塗ってみたときの
実際の手応えや自分の好み
といったものが

おぼろげにも確認できたことは
大きな学びとなりました。

【透明水彩の塗り方動画】絵の具の塗り方・技法・スケッチ

【絵を習うには?】水彩絵画教室を選ぶための5つのポイント