《透明水彩とは?》絵の具の特徴・技法の種類・道具選びまで


NORi
こんにちは、NORi です。

今回のテーマは『透明水彩』です。

NORi
透明水彩の魅力はやはり

透明感あふれる色の美しさや
ふんわりとした柔らかい雰囲気

ではないでしょうか。

NORi
そこで今回は、

透明水彩絵の具の魅力や
それを活かした技法など

美しい透明水彩画を描くために
知っておきたい基本的な内容を
ご紹介してみようと思います。

透明水彩の魅力を活かした
透明感あふれる美しい作品が
描けますように。

《透明水彩とは》- 小学校で使った絵の具とは少し違う?


水彩画というと、

小学校の美術の授業で初めて絵を描いた
という記憶をお持ちの方も多いと思います。
 

そんな私達の馴染みの深い
水彩と

透明水彩とは
何が違うのでしょうか。
 

文房具屋さんや画材屋さんに行くと
「透明水彩」というコーナーがあり、

透明水彩のための専用の絵の具
というのがあります。
 

一方で、

学校教材として
馴染みのある水彩絵の具は、

1950年(昭和25年)に
サクラクレパスによって開発された
「半透明」水彩絵の具で、
 

マット水彩絵の具と呼ばれています。
 

■ 開発秘話。

透明水彩絵の具は
塗り方にコツがいるため

はじめて水彩画に触れる子供たちには
少し難しいと考えられたようです。
 

しかし、
不透明水彩で
子供達に水彩画を教えるのも

少し疑問が残ったようです。
 

その結果、
子供達が失敗を恐れずに
水彩画をのびのびと楽しめるように

それぞれの特長を併せ持つ
「半透明」絵の具を開発したそうなのです。
 

素晴らしいですね。
 

このように
水彩画の絵の具には

透明」「不透明」「半透明
の3種類がありますが、
 

透明水彩用の絵の具は
特別に透明度が高い絵の具
になっています。

透明水彩と不透明水彩|塗り方の違いや難しさ〈混ぜるも可〉

それでは、
透明水彩絵の具の
透明度の高さは
一体どこからくるのでしょうか。

 

《透明水彩とは》-「透明」の意味。


透明水彩絵の具の一番の特徴は
透明度の高さです。
 

これは
絵の具の成分と混ぜ具合で決まっています。
 

絵の具はもともと
色の素となる顔料

その顔料を均質にして
紙などに固定させるための糊剤(樹脂や油)

が主な成分となっています。
 

■ 画法は糊剤で決まる。

顔料(色)を固定するための
糊剤の種類によって
画法が変わります。

 

糊剤がならば、油絵、
糊剤がならば、テンペラ画、
糊剤がならば、日本画、

といった具合です。
 

20世紀にはアクリル合成樹脂
糊剤に採用され、

新素材であるアクリル絵の具によって
新しい表現が生み出されています。
 

水彩画の糊剤はというと、

アカシア科の木の樹脂
アラビアゴムです。
 

この植物から得られる樹脂は
簡単に水に溶け、

腐敗も少ないのが特徴です。
 

水彩絵の具を支える
重要な糊剤というわけです。
 

■ 透明水彩の透明感の決め手。

水彩絵の具の中に含まれる
アラビアゴムと顔料の割合によって

絵の具の透明度が決まります。
 

透明水彩」の絵の具には
含まれるアラビアゴムの濃度が高く、

アラビアゴムの濃度が低いと
顔料の粒子の密度が高くなり
不透明」な絵の具になります。
 

実際に、
線を引いた紙の上に
絵の具で色を塗ってみると、

透明水彩絵の具では
下の線が透けて見えますが、

絵の不透明水彩の絵の具では
かなりカバーされて見えなくなります。

 

《透明水彩とは》-「紙」が作品の一部。


透明度の高さ
透明水彩絵の具と呼ばれる所以ですが、

そんな透明水彩絵の具を使って描かれる絵は
どのような絵になるのでしょうか。

 

透明水彩画の特徴は、

絵を描く下地としての紙すら
作品の一部になるほどの

透明感です。
 

このことから、

透明水彩では特に
水彩画用紙の選定は大切です。

 

紙の選定から
作品づくりが始まっています。

水彩画用紙|紙選びポイントと透明水彩のための水張りのコツ

水彩紙の種類|おすすめの紙の条件とは?~有名メーカー比較~

《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

画用紙が白だった場合には、

その白さが透けて見えることで
実際の絵にも
自然と透明感が生まれます。

 

あえて色つきの紙を用いて

その紙の色の面白さを活かした絵を
描くこともできます。
 

■ 透明水彩の技法。

また、
水をたっぷり使う水彩の技法は

筆によるタッチだけではなく
水によって絵の具が自然に動く効果が
紙の上で表現できる
という特徴もあります。
 

  • 透明水彩絵の具を薄く溶くことで、何度塗り重ねても透明感を失わずに美しい色の重なりが表現できる
  • 水によって絵の具が広がる効果を使って、ゆっくりと時間をかけた滲み(にじみ)やぼかしといった色の濃淡を表現できる
  • 一度塗った絵の具も、ある程度は水で濃度の再調整ができる

 

このような特徴を活かした表現が
透明水彩ならではの

柔らかな雰囲気を生み出します。
 

《透明水彩とは》- ぼかし・たらし込み・にじみ。


透明水彩は
水をたっぷり使った
絵の具の濃淡の表現や
異なる色の混ざり合いなどを

時間をゆっくりかけて
うまく調整しながら活かせる表現が特徴です。
 

水溶性の絵の具を使った表現として
基本的なものに

「ぼかし」「たらし込み」「滲み(にじみ)」
といった技法があります。
 

これらの技法は
水と絵の具の混ざり合い、

あるいは
絵の具同士の混ざり合い

といった
自然の現象を活かした手法なので
どれも良く似ています。
 

実際には
これらの技術を複合的に活用して
絵を描き進めていくことになります。
 

■ ぼかし


ぼかしは、

絵の具の濃淡を綺麗に出す技法です。
 

紙の上に
水で溶かした絵の具を
ちょんと置いてから、

筆をいったん綺麗に洗い、
 

その筆に綺麗な水だけを少量含ませて

紙の上に置いた絵の具の端っこ(境界)を
水でぼかしながら伸ばし広げます。
 

筆に含まれた水分によって
絵の具をぼかすことができ

色の濃淡による
グラデーションをつくることができます。

これが【ぼかし】の技法です。
 

■ たらし込み


絵の具は水にとけて
広がっていきます。
 

その特徴を使って、

あらかじめ紙に水を張っておいて
そこへ
絵の具のついた筆をつけると

絵の具がぱぁ~っと広がっていく効果を
絵に用いることができます。
 

このように
あらかじめ紙を濡らしておいて

そこに絵の具を垂らし
自然に色が広げる方法を
【たらし込み】といいます。
 

絵の具をたらし込む量とタイミングは
紙の水分量によっても変わるので

紙と絵の具と水分量の組み合わせを
何度か練習をして

最適な条件を探してから実行します。
 

■ 滲み(にじみ)


紙に塗ったばかりの絵の具の上から
水を少し垂らしてみると

水が一気に広がって
絵の具と水が混ざり合い
滲みが生まれます。

 

逆に
紙の上に透明な水を
軽く塗ってから

そこに絵の具を垂らしても
同様に滲みが生まれます。
 

絵の具と水の 2 種類の液体が
突然隣り合って置かれる

という状況を作ることによって、
 

絵の具と水の自然な混ざり合いから
ドラマティックな模様が現れます。

 

「ぼかし」も「たらし込み」も
絵の具と水の混ざり合い
という点で基本的に同じ原理ですが、

水と絵の具の相互作用を
より大胆に生み出す技法が「にじみ」
と言えるかもしれません。
 

水と絵の具の境界では
自然の原理が働いて、
 

水は
絵の具の方へ広がり、

絵の具は
水の方へと広がります。
 

この広がり方は

2 種類の液体の量の違いや
濃度の違いによって変わります。

 

2 種類の液体の成分は
均質な 1 種類の混合物になろうと

自然に
互いに混ざり合います。

 

■ 異なる色でつくる滲み。


水彩の技法としての滲みは
自然の原理を活用して

複数の異なる液体を
意図的に隣り合わせること
で作ります。
 

異なる色の組み合わせや、

濃度にある程度の差がある
同じ色相の組み合わせでも

にじみという表現を作ることができます。
 

水によって絵の具が動く効果を
絵画に固定することができるのは

水溶性の絵の具ならではの表現
といえます。
 

《透明水彩とは》- 絵の具・紙・筆えらび。


すでにお伝えしたように、

透明水彩では
透明度の高い絵の具

紙とのコンビネーション
とても大切です。
 

ここでは、
透明水彩をはじめる第一歩として
おさえておきたい

絵の具・紙・筆えらびのポイント
まとめてみようと思います。
 

■ 絵の具

透明水彩の絵の具には
「透明水彩絵具」というジャンルがあり、

ほとんどの文房具屋さんや画材屋さんに
置いてあります。
 

また、

絵の具には
液体タイプ固形タイプがあります。
 

小学生の美術の授業でもおなじみの
液体タイプ(チューブ式)

はじめは使いやすいと思います。
 

透明水彩絵の具のメーカーも
色々ありますが、

初心者の多くは
・ウィンザー&ニュートン
・ホルベイン

の絵の具を使って始められる方が
ほとんどではないかと思います。
 

私の場合、

高い品質で定評のある
日本メーカー「ホルベイン」の
透明水彩絵具18色セット

を、まずは購入して
水彩画をスタートしました。

【ホルベイン透明水彩】色見本30色・色選び ~ARCHES紙採用~

 

同時に、

18 色分の絵の具を収めることができる
パレット
を買って、
 

そこに18色の絵の具を
収まるだけたっぷり出して

ホルベイン専用パレットを作りました。
 

18 色もあると
綺麗な色で
安心して様々な絵が描けます。
 

とてもきれいな発色です。
 

透明水彩の美しさに魅了されて
絵をはじめた私は、

この絵の具の美しさを見て
あらためて感動し

本当に楽しく絵を続けることができました。

【透明水彩絵の具の使い方】色の塗り方・塗る順番・パレット

 

■ 絵の具を買い足す。

後に、
描く絵の幅も広がって、

どうしても
ちょっと違った色を出してみたい!
という気持ちになり、
 

色々なメーカーの色を購入しては

どの色が一番自分に合うかを
調べるようになりました。
 

英国王室御用達の最高級水彩絵具
ウィンザー&ニュートン
(プロフェッショナル・ウォーターカラー)

の絵の具も少しずつ追加購入していきました。
 

ホルベインも
ウィンザー&ニュートンも

ほとんどの日本の文房具屋さんや画材屋さんに
置いてある印象です。
 

絵の具は
1 色ごとバラ売りをしていますので、
 

次の作品のモチーフが決まったら
自分の気持ちにぴったり合う
新しい絵の具を

少しずつ買い足していくのも
絵を描く楽しみの一つだと思います。

 

■ 紙


絵の具の発色は、

紙によって劇的に変わることがりあります。
 

絵の具と紙の相性というものもあり、

絵の具とともに
紙もまた絵の表現に大きく影響します。

 

透明水彩では、

絵の具選びと同じくらい
紙選びは大切です。
 

私はアルシュという
フランス製の水彩紙
を使っていますが、

コットン 100 % だけあって吸水性が抜群で、

マスキング洗い出しといった
技法にも耐える
頑丈で素晴らしい紙です。
 

ただ、
どの紙にも特徴があり、

それがメリットにもデメリットにも
なり得ます。

 

そこでおすすめしたいのは、

自分が描いてみたいと思う絵を描いている
憧れの作家さんがいたら、

その人と同じ道具をそろえることです。
 

これは透明水彩という
デリケートな絵を学ぶときは

大きなメリットになるのではないかと
思います。
 

紙が違ったら
その人と同じ絵は描けないくらい、

紙の選定は、
絵の仕上がりを左右する場合が多いです。
 

また、
水彩画用紙には厚さが選べるものが多く、

水をたっぷり使った透明水彩の美しさを
しっかり表現するには、

300g / m2 の厚みは欲しいところです。

水彩画用紙|紙選びポイントと透明水彩のための水張りのコツ

水彩紙の種類|おすすめの紙の条件とは?~有名メーカー比較~

また、
紙は水にぬれると波打つため、

制作に入る前に
水張りという作業で

あらかじめ紙をしっかり伸ばしておく作業も
必要になります。

【基本の水張り】簡単な水張りのやり方 ~霧吹き・刷毛不要~

 

水張りをしないで使うことができる
ブロックタイプのスケッチブック
というものもあります。

【水彩紙に水張りはいらない?】水張りしない絵のはじめ方

【水張りとは?】透明水彩のための『平張り』と『パネル張り』

 

■ 筆


透明水彩を描く道具として、

基本的には
まずは「筆」を選ぶことになると思います。
 

スポンジを使ったり、
時には塩を使ったり、

表現の幅を広げてくれる道具は
色々ありますが、
 

ここでは筆について
取り上げてみたいと思います。
 

透明水彩は水をたっぷり使い
のびのびとした表現が特徴なので、

水の含みのよい
天然の毛を使った筆を用意することが
基本となります。
 

コリンスキー(イタチ)の筆は
水の含みが大変よく

弾力のある塗り心地が
水彩画にはぴったりで

大変おすすめです。
 

■ 揃える筆の本数。


筆の太さは
自分の描きやすいものを中心に

細かい部分を描く
細い筆から

ゆったりと広い面を塗れる太い筆まで

何本かバリエーションを持たせて
選んでおくとよいと思います。
 

大きな絵になると、

広い空間を一気に塗るときは
太い刷毛を使ったりするのも便利です。

 

はじめて購入される方は
(マネできる先生がいない場合)

使いやすそうな筆を
2 本選んでみることをお勧めします。

  • 基本となる筆(6 ~ 12号あたり)
  • 細目の筆(0 ~ 2号あたり)

実際に絵を描きながら
筆の使い心地を試してみます。

 
そして、
違う筆が良いなと感じたら、
あるいは必要になった時に筆を探しては
試していく、

という感じが良いのではないかなと思います。
 

自分の技術力の成長によって
筆の選び方は変わります。

《透明水彩》絵の具・紙・筆のおすすめ|3つの独学スタイル

 

《透明水彩とは》- 塗る順番と待ち時間。


「にじみ」や「ぼかし」といった
水溶性の絵の具ならではの技法は

水彩画らしい表現を生み出してくれます。
 

このような
ひとつひとつの技法を活かしながら

透明感あふれる絵に仕上げるには
どうしたらよいのでしょうか。

 

そこには
塗る順番や待ち時間を
うまく取り入れていくことが大切です。

 

■ 塗る順番

まずは、

絵をどのような順番で塗るか?
という視点が大切です。

 

先に「にじみ」や「ぼかし」を
完成させておく場合もあれば、

最後に「にじみ」や「ぼかし」で
絵の全体をまとめたい場合もあります。
 

一度塗った絵の具も
やはり水に溶けるため、

色がにごりやすく、

色を重ねる場合は
塗る順番がとても大切です。
 

しかし、
最初から薄めに塗っておけば、

ティッシュで吸い取ることも
洗い出しで修正することも
できます。

 

基本的には

  • 面積の広い部分から細部へ塗る
  • 明るく鮮やかな色から薄く塗る

というのが失敗しにくい順番ですが、

自分なりの表現を
自由に追求するのも楽しい事です。

【ひまわりの水彩画】黄色もいろいろ?《色選びと制作動画》

 

立体感をとらえるために
早い段階で
暗い色で影をつける場合もあります。
 

また、
あえて最初に
いきなり濃い色で

ひと塗りで背景を完成させてしまう
といった方法もあります。
 

色々な描き方に挑戦すると、

塗り方とともに塗る順番によっても
作品の仕上がりが変わることに
新たな発見があります。

【透明水彩の塗り方動画】絵の具の塗り方・技法・スケッチ

 

■ 塗るタイミングと待ち時間

塗り方の順番はいろいろありますが、

色を重ねるタイミングも大切です。
 

混色でどんどん
絵を展開していく

ダイナミックな塗り方の場合には、

絵の具の水分量や
紙の濡れ具合などを
把握しながら進めます。
 

水の量をどれくらい筆に含めればよいか
といったことが経験的にわかってくると

テンポよく
塗り重ねられるようになっていきます。
 

一方で、
時間をかけてゆっくりと
美しい色を薄く丁寧に塗り重ねていく

重色の技法によって生まれる
豊かな色彩もまた
透明水彩の魅力の一つです。

NORiの水彩画|透明水彩で描く美しい葉っぱの世界と観察スケッチ

 

■ 重色と乾かす時間。


重色の技法では
待ち時間が特に大切です。

 

何度も塗り重ねる重色では、

色が濁らないようにすることが
重要です。
 

紙が濡れているうちに
色々な色を塗り重ねると

先に塗った色が溶け出して
何度も紙の上で混ざり合うことで
色が濁ってきてしまいます。
 

ひと塗りごとに
完全に乾かすことが大切です。
 

この時間が待てずに
ついつい塗り重ねてしまい
色が濁る
というのを避けるために

色々なところを同時に塗り進める
方法がおすすめです。

 

ほかのところを塗っているうちに
さっき塗ったところが乾いて、

乾いたところから
また塗り進めることで、

また、さらに塗ったところが乾き、
・・・
という循環がうまくつくれて

待ち時間を持ちながらも
塗る作業がはかどります。
 

透明水彩は
塗り重ねによって濁った色を
修正すること
は難しいので、

美しい色をキープしながら
色を重ねるためにも

しっかり乾燥させることが大切です。
 

《透明水彩とは》- 明度・色相・彩度。


少ない色数でも
色の濃淡を巧みに使い、

しっかりと立体感が感じられる水彩画
あります。
 

本当に素晴らしいなぁと
見惚れてしまいます。
 

リンゴやブドウといった
フルーツも

瑞々しい色調だけでなく
ぷりっとした丸みのある立体感があると

より一層そのフルーツを
美味しそうに見せてくれます。
 

また、
海辺の景色などを描いた作品でも

美しくひろがる
透明感のある青い色だけでなく、
 

遠くにうっすらと見える山並みや
近くの砂浜を散策する人の影など

遠近感のある景色全体の様子が
薄く塗られた絵の具だけで表現できることに
本当に感嘆してしまいます。
 

そのような立体感や遠近感といった
絵の描写を色だけで表現するには

どうしたらよいのでしょうか。
 

その一つのヒントが
色彩原理を学ぶことです。
 

ここでは、
彩度と明度について
取り上げてみたいと思います。
 

■ 明度:Value(ヴァリュー)


一つの色で
濃淡のグラデーションを作ってみると、

それだけで立体感のようなものを
感じとることができます。
 

例えば、
蝶々結びした真っ赤なりぼんを描くとき

りぼんは真っ赤ですから
真っ赤の絵の具で塗れば
赤いりぼんが描けますが、
 

りぼんを良く見ると、

りぼん全体に光のグラデーションが
あることがわかります。
 

光が当たった
りぼんの明るい部分を意識して、

綺麗な真っ赤の絵の具 1 色で
濃淡のグラデーションを作るだけでも

りぼんの立体感
表現することができます。
 

このときに塗った色の濃度の違いは
明度の違いと対応しています。
 

りぼんの明るい場所には
絵の具を薄く塗ったように、

濃度の薄い色は
明度が高い(高明度)といいます。
 

濃度の濃い色は低明度といいます。

【水彩画のための影の塗り方】陰影の付け方とグリザイユ技法

 

■ 最高明度は白。

最高の明度は白です。
 

一番明るいところは
白く見えます。
 

これを水彩に応用すると、

りぼんに光の当たっている場所は
赤い絵の具を薄く水で溶いて
薄く塗るということになります。
 

りぼんの丸みを生み出す
光のグラデーションに対応するように

絵の具の濃淡を生かして塗ることで、
 

光のあたっているりぼんの丸みを
表現できます。
 

色の濃淡でつくった
グラデーションは

りぼんの立体感に
そのまま対応します。
 

■ 彩度:Chroma(クロマ)


よりリアルなりぼんを描くには、

一色の明度の違いだけでは
うまく表現できない場合があります。
 

もう少し
りぼんを観察してみます。
 

りぼんの結び目近くの色をみると、

結び目の近くでは
りぼんに影ができ、暗くなっています。
 

紫がかった暗い赤になり、

完全に影となっている部分は
赤いはずのりぼんも
ほとんど真っ黒にみえます。
 

このような色の変化は
絵の具を一色だけ使った
濃淡の表現では再現できません。
 

鮮やかな赤いりぼんと同じ
真っ赤な絵の具を
どんなに重ねても
黒くはならないからです。

 

■ 一色からは生まれない色をつくる。

暗い結び目ちかくの
りぼんの色を表現するには、

紫がかった暗い赤や
ほとんど黒に近い赤色が必要です。
 

どうすればよいのでしょうか。
 

赤く塗った、りぼんの上から
青や紫の絵の具を薄く塗り重ねる(重色
という方法があります。
 

さらに青を重ねれば
もっと青みの強い赤紫の陰が作れます。
 

他には
パレットであらかじめ
赤に青を混ぜて(混色

紫がかった赤色を作ってから
陰を塗る方法もあります。

【色彩科学】黒く濁らない混色のコツ。~減法混色と三原色~

また、
ぴったりの色の絵の具が
画材屋さんで見つかるかもしれません。
 

自分でパレットで混色して作るよりも

その色の絵の具を買った方が
発色が綺麗な場合もあります。

 

このように
色を混ぜ合わせて
新しい色を生み出すことで

赤みがかった紫や
青みがかった紫といったように

色の数は
無限に広がります。
 

■ 色相と彩度


色の混ざりあいで生まれる
新しい色の変化は、

色相と彩度
という表現で分類できます。
 

さきほどの 1 色の濃淡で表した
明るさの度合い(明度)とは違って、

同じ赤みのある色でも
異なる赤色(色相)
があるというわけです。
 

赤と青の混ぜる比率を変えることで
色相の異なる鮮やかな色が
沢山生まれます。

 

今度はそこに

色相の大きく異なる
黄色を加えると

さらに複雑な色が生まれます。
 

混ぜ合わせる色相の種類が
多くなると

色がくすんでいきます。
 

それぞれの固有の色相によって
最高に鮮やか(高彩度)な色
というのがあります。

 

一方で、
どの色相も色々な色と混ざり合うことで
彩度は落ちていき、

無彩色(彩度0)になります。
 

二色を混ぜただけならば
やや彩度が高い状態ですが、

沢山の色相を混ぜたくすんだ色は
低彩度といいます。

【色彩科学】彩度とは|鮮やかな色が美しい水彩画を描くキモ

 

■ 色の色彩原理を使って、立体感のある絵を描く

それぞれの色が持っている

明度・色相・彩度という
色の分類法が分かると、
 

色を整理しながら
使うことができるようになります。
 

蝶々結びをした
鮮やかな真っ赤なりぼんを描くには、

鮮やかな真っ赤(高彩度)な絵の具を使って
水の量をコントロールしながら

赤色の濃淡(明度の変化)によって
立体的なグラデーションを
生み出すことができます。
 

さらに、
陰の部分については

赤い絵の具に青みを加えるなどして
徐々に赤色の鮮やかさ(彩度)
落とすことで、
 

鮮やかなりぼんの色から
暗い部分の色へのグラデーションを
つくることができ、

さらに光を感じる
立体感のある描写が可能になります。

【色彩科学】有彩色とは|色の種類と三属性-色相・明度・彩度

 

■ 実物から学ぶ。


このような
りぼん自体の描写とあわせて、

りぼんの背景にも
明暗や色相、彩度の変化を使うことで

さらに
絵全体の遠近感をだすことができます。
 

実際には、
環境によって色の見え方は変わります。
 

今回の『りぼん』のように
描こうと思うモチーフがあるときに

その固有の環境の中で
どのような色に見えるのか
 

明度・色相・彩度という
色の分類法の視点で

目の前の対象を観察するのは
絵を描くうえで大変勉強になります。

【果物の水彩画】真っ赤な柘榴(ザクロ)と色彩科学のお話

 

《透明水彩とは》-『見て』学ぶ。


ここまで
文章でいろいろと書いてきましたが、

やはり、
実際に見てみたい

と思われるのではないでしょうか。
 

絵の具を溶く水の量
絵の具の濃さ

筆に含ませる絵の具の量
塗り重ねるタイミング
 

言葉で説明されても
なかなか分からないものばかりです。

 

基本的には
基礎を教えてくれる学校や教室で学ぶことが
早道だと思いますが、

最近は綺麗な写真が沢山載った解説書が多いので、
基礎的な技術は本を読んで習得することも
できそうです。
 

おすすめは、

最初から、
自分の好きなスタイル、
自分がこのような絵を描きたいと
思う絵を描く先生につくこと
です。
 

惚れ込んだ先生に
絵を学べると上達が早いと思います。
 

目の前で見て学ぶことで、

言葉での説明もよりスムーズ
伝わってきます。
 

まさに、
百聞は一見に如かず
といった感じですね。

描きたい絵がない?楽しさ再発見!《透明水彩との出会い》

 

何か新しいことを学ぶというのは
勇気がいることですし、

上手くいかないこともあります。
 

そんなとき、

目の前で
心から素晴らしいという絵を
教えてもらえているということ自体が
 

それだけでも感動的な体験で、

その場にいることが
本当に喜びであり、

楽しみとなると思うのです。
 

《透明水彩とは?》- まとめ。

  • 透明水彩は透明度の高い絵の具の特徴を活かして、水をたっぷり使ってのびのびとした優しい色合いで絵が描ける技法です。
  • 絵の具、それから紙と筆、この 3 点は良いものを選ぶことが大切です。
  • お手本となる素晴らしい絵を描く先生から基礎を直接学ぶことが上達の早道です。
NORi
透明水彩の特徴を活かした

水をたっぶり使った
透明感あふれる美しい絵には

本当に言葉を超える感動があります。