『絵の具を100色買いました。』は、圧倒的な美しさを誇る透明水彩に特化した学びサイトです。透明感あふれるみずみずしい絵を描くための基本的な知識や色彩科学の視点に基づいた実践的な技術などwatercolorist NORiがご紹介していきます。

もう1つの”人気の水張り”【パネル張り】のやり方手順

    
\ この記事を共有 /
もう1つの"人気の水張り"【パネル張り】のやり方手順

こんにちは、NORi です。
今回はお洒落で人気の高い『パネル張り』の方法をご紹介します。

『パネル張り』というのは、水張りの際に板に水彩紙をかぶせるようにして張り付ける方法です。一般的な『平張り』では、絵が完成したら板から作品を切り離して額装することになりますが、『パネル張り』では完成した絵を板から切り離さずに油彩額などで額装したり、そのまま飾ることもできます。

NORi

【水張り(パネル張り)やり方手順】水張りとは

mizubari-top

水張りの様子 by NORi



『水張り(みずばり)』とは、

これから絵を描くための紙を
事前に水で伸ばして、

伸びた状態のまま
紙を板に固定する方法です。
 

何故そのようなことをするのか
と言うと、

水彩画のように水を使う技法では
特に

制作中に紙が水を吸収して
紙の表面が凸凹になったり
波打ったりするのを防ぐためです。

 

また、
水を使わない鉛筆画やパステル画などでも、
この『水張り』を事前にしておくことで、

完成後に鉛筆の黒鉛やパステルの粉を
定着させるために吹きかける

フィキサチーフの水分から
作品を守ることができます。
 

本格的に作品にするつもりでなければ
わざわざ水張りしなくても良いのか
と聞かれれば、

透明水彩でなければ、
水張りしなくても良いかもしれません。

という条件付きになるかなと思います。
 

それは、
制作中に紙が凸凹になってしまって
制作どころではなくなるほどに、

透明水彩では
大量の水を使うことが多いからです。
 

もちろん相当厚手の水彩紙もありますので、
(600g/m2くらいの厚み等)

そのような場合は
水張りが必要ないでしょう。
 

一度、
自分の持っている水彩紙に
水張りをせずにそのまま制作をしてみて、

紙のうねりが起きるかどうか
をテストしてみるのも、

自分の普段の塗り方(水分量など)と
紙との相性を知ることができるので
今後の参考になりますね。
 

ここからは
実際に水張りする際に必要な道具を
ご紹介したいと思います。
 

【水張り(パネル張り)やり方手順】透明水彩の紙について

mizubari-top

愛用の水彩紙ARCHES by NORi

まず最初に
水張りするための紙についてですが、

透明水彩では必ず
『水彩紙』を選ぶことが大切です。

 

透明水彩の場合
絵の具を塗るというよりは、

薄く色の付いた水溶液を
紙に何度も重ねる

といった言い回しの方が近いくらい
とにかく水をたっぷり使います。
 

そのため吸水性の高い
『水彩紙』という水彩画専用の紙が
用意されているのです。
 

透明水彩において
そのように水をたっぷり使う理由は、

透明水彩という技法の一番の特徴である
絵の具の透明度の高さ

を活かした塗り方をするためです。
 

透明度が高いというのは
『下が透ける』ということです。

この透け感が
透明水彩の大切なポイントになります。
 

透明水彩における一番下とは、
紙です。

一番下にある紙の白さや紙の質感が
そのまま透けて作品の一部となることで、

透明感あふれる明るい色の重なりが
美しく映えるのです。
 

そのために
絵の具の塗り方も

水をたっぷり使って
薄く色を塗り重ねるようにして

繊細な色のハーモニーを生み出していくのが
透明水彩の基本的な塗り方となります。
 

このように
透明水彩は紙にとっては

かなり過酷な条件を強いる技法と言えます。

その分、
使う紙にも注意が必要というわけです。
 

  • 吸水性の高い紙
  • 水張りに耐える強度を持った紙

このような特徴を持ち合わせた
『水彩紙』を選ぶ必要があります。
 

このために、
次のようなポイントを押さえて

紙を選ぶのがおすすめです。

  • コットン素材の紙
  • 300g/m2以上の厚みの紙

ちなみに
フランス製の ARCHES(アルシュ)という紙は
コットン100%で
透明水彩のあらゆる技法に耐える強度を持った
世界最高峰の水彩紙です。

ほとんど失敗しらずの ARCHES の紙は
初心者の方こそおすすめしたい紙です
(ARCHES 300g/m2 cold press)。

 

【水張り(パネル張り)やり方手順】透明水彩の水張り板について

mizubari-top

愛用の水張り板 by NORi

次は、
紙を張り付けるための板です。
 

紙を固定することができれば
板などは何でも良いような
気がしますが、

もう少し『水張り板』にとって
必要な条件を考えてみたいと思います。

  • 重過ぎない
  • 反ったり歪んだりしない厚みと強度
  • 紙を汚すようなアクが出ない

水張り板は、
実際に絵を描く際に

水彩紙の下敷きとしての役割も担います。
 

水分量の多い透明水彩では

水がだらだらと垂れないように
基本的に紙を水平に寝かせて絵を描きます。
 

そして制作の途中で
時々絵をイーゼルや壁などに立て掛けて、

離れたところから眺めてみたり
全体像を確認しては
また制作を続ける、

という感じになるかと思います。
 

結構
絵をあちこち移動したり
動かしたりするんですね。

塗りやすい方向に
絵を回したりしながら絵を描くので、

板自体は軽い方が扱いやすいでしょう。

これが『水張り板』の1番目の条件

  • 重過ぎない

ということです。
 

残りの2つの条件

  • 反ったり歪んだりしない厚みと強度
  • 紙を汚すようなアクが出ない

というのは、

水張り作業に
直接関係するものです。
 

水張りというのは、

水に濡らすことで伸びた紙を
板にしっかり固定した後、

そのまま板ごと
一旦完全に乾燥させるのですが、

乾燥に伴い紙は縮もうとします。
 

このときかなりの強度で
板は紙に引っ張られることになります。

紙のサイズが大きくなるほど
紙の伸縮の割合は大きくなるので、

それに耐えられるような
ある程度しっかりした
厚みと強度のある板が求められます。
 

さらに3つ目の条件は

紙の白さを大切にする
透明水彩の技法にとっては

とても重要になります。
 

例えば
ここまでの2つの条件を満たした板
というのはすでに用意されていて、

画材屋さんで簡単に手に入れることができます。

ベニヤ合板の裏面に角材を組んで補強してある
『木製パネル』と呼ばれている板です。

 

ここで注意しなければならないのが
木の表面からアクが出る場合があることです。

そのアクが
水張りした白い紙に染み出して
水彩紙に茶色いシミが出来たりします。
 

水張りの前に
板の表面から色落ちが起きないように
タワシで綺麗に洗ったり、

長期的に水張り板に
紙を張り付けたままにする場合
(あるいは板ごと作品にする場合など)は、

板のヤニ止めとして
表面処理剤をぬったりするなどの作業が
必要になります。

 

ここでおすすめなのが

アクが出にくい素材で作られた
木製パネルを選ぶことです。

それは
「シナ合板(シナベニヤ)」の木製パネルです。
 

透明水彩は水をたっぷり使うことと
紙自体が作品の一部であること

この2点に注意して
紙も板もできるだけ質の良いものを
選ぶことをおすすめします。
 

今回の『パネル張り』は

水張り板に作品を固定したままで額装したり
額装せずにそのまま飾ったり出来る
素敵な方法なので、

アクの悩みが不要の
シナベニヤの木製パネルを使うと
安心かと思います。
 

【水張り(パネル張り)やり方手順】パネル張り-準備編

mizubari-top

『パネル張り』の準備 by NORi

ここまで
透明水彩のための紙と
透明水彩のための水張り板

の選び方のポイントを
まとめて参りましたが、

ここからは実際に
『パネル張り』するための道具一式を
ご紹介します。
 

実は水張りの道具は
紙を濡らす方法によっても変わってきます。

刷毛を使ったり、
霧吹きを使ったり、

色々と工夫することができます。
 

今回は
刷毛も霧吹きも使わずにできる方法として、

洗面台に水を張って
紙を浸水させる方法をご紹介します。

まずは
水張りに必要な7つ道具をご紹介します。

  1. 水張り板
  2. 水彩紙
  3. ガンタッカー
  4. タイマー
  5. キッチンペーパー
  6. パスタオル
  7. メラミンスポンジ(激落ちくん、等)

木製パネルと水彩紙のサイズの違いに注意が必要です。
 

① 水張り板の準備

mizubari-top

『パネル張り』の準備 by NORi

今回の『パネル張り』の場合

用意する
木製パネルの大きさは

作品のサイズになります。
 

今回は
M3サイズ(27.3×16.1cm)の作品を
制作しようと思うので、

水張り板には
M3サイズのシナベニヤの木製パネル
を用意しました。
 

② 水彩紙の準備

mizubari-top

愛用の水彩紙 by NORi

今回は失敗知らずの水彩紙
ARCHES 300g/m2 cold press を使います。
 

水彩紙の大きさは
木製パネルより大きいサイズのものを
準備します。

『パネル張り』では
木製パネルを包み込むようにして
水彩紙を木製パネルに張り付けて

木製パネルの裏面で固定します。
 

木製パネルの裏側まで包み込む
紙の分を考慮して

木製パネルよりも大きなサイズで
紙を裁断する必要があります。
 

M3サイズ(27.3×16.1cm)の
木製パネルに巻き付けるには

1辺あたり
4cm あれば十分なので

上下左右の巻き付け分を考慮すると
27.3+4+4=35.3
16.1+4+4=24.1

つまり
35×24cm 程度の水彩紙を用意すれば
十分です。
 

今回は
ARCHES のブロックタイプ
36×26cm の紙を

そのまま裁断せずに
使うことにしました。
 

③ ガンタッカーの準備

mizubari-top

愛用のガンタッカー by NORi

今回の『パネル張り』には

水彩紙を木製パネルに固定するために
ガンタッカーという

大きめのホチキスを使います。
 

少し大きめの画材屋さんであれば
置いてありますし、

無ければ
取り寄せて頂けるものです。
 

ステープルという
ガンタッカー専用の芯も一緒に
購入しておきましょう。
 

④ タイマーの準備

mizubari-top

愛用のタイマー by NORi

タイマーは何でも良いです。
 

洗面台に水を張って
水彩紙に吸水させる時間を
はかるためにタイマーを使います。
 

⑤ キッチンペーパーの準備

mizubari-top

水張り準備の様子 by NORi

キッチンペーパーは

用意した木製パネルの表面を
綺麗にするために使います。
 

キッチンペーパーでなくても
何でも良いです。
 

⑥ メラミンスポンジ(激落ちくん、等)の準備

mizubari-top

洗面台の準備 by NORi

メラミンスポンジというのは、

水だけで汚れが落ちる
洗剤入らずの魔法のスポンジ

という謳い文句のアレです。
 

洗面台を掃除するのに使います。

水彩紙を浸すので
洗面台に洗剤などが残っていると
紙が使えなくなります。

 

洗剤を使わないで
洗面台の掃除ができる

というのが素晴らしい点です。




 

⑦ バスタオルの準備

mizubari-top

水張りの様子 by NORi

水彩紙を木製パネルに固定する際に
下敷きとして使います。

洗面台で吸水させたばかりの
水浸しの水彩紙を乗せて作業をするので

厚手のパスタオルがあると安心です。
 

水彩紙をひっくり返したりするので

水彩紙の表面を痛めないように
柔らかいタオルの上で作業をします。
 

それではいよいよ
『パネル張り』の実践編に
入りたいと思います。
 

【水張り(パネル張り)やり方手順】パネル張り-実践編

mizubari-top

『パネル張り』の様子 by NORi

上の画像は
『パネル張り』の完成形です。

今回は
このように

木製パネルを包み込むように
水彩紙を張り付ける『パネル張り』
の方法をご紹介します。

 

実は
水張りの仕方には

『平張り』と『パネル張り』という
2つの方法があります。

簡単なのは『平張り』です。
 

『平張り』の方が
基本的な水張りの方法といえます。


 

では、
早速『パネル張り』の工程を
見ていきましょう。
 

① 洗面台を良く洗う

mizubari-top

洗面台の準備の様子 by NORi

まずは
洗面台の掃除です。
 

綺麗な水で
水張りをすることは

基本中の基本ですが、

盲点になるのが
使う道具が汚れていたという場合です。

 

洗面台は汚れだけでなく
洗剤もしっかり落とすようにしましょう。

洗剤などが残っていると
紙は使えなくなりますので、

ひととおり良く洗い流します。
 

洗剤を使わずに
メラミンスポンジと水だけで
洗面台を綺麗に掃除します。
 

② 水彩紙の裏側に印をつける

mizubari-top

水彩紙の準備の様子 by NORi

紙の裏側に
あらかじめ目印を付けておくと便利です。

 

ちなみに
ARCHES という水彩紙は
裏面も表と同様に使えます。

これから描こうと思っている
絵の雰囲気に合わせて

好きな方の肌目を活かすと良いです。
 

今回は
『布』を使ったモチーフを
描こうと思っています。

柔らかいふんわりとした
布目のような風合いを
活かしたいので、

凹凸の目立つ ARCHES の表側の
肌目をそのまま使うことにしました。
 

ブロックタイプの一番上の紙を
1枚だけ外して

裏面に鉛筆で◯印を付けました。

ARCHES 以外の紙でも
たいていの紙は
凹凸の目立つ方が表側です。

 

③ 洗面台に水を張って水彩紙を浸す

mizubari-top

水張りの様子 by NORi

洗面台に水を張って
水彩紙を浸します。

水彩紙には撥水性がありますので
紙は沈みませんが、

浮かんでいるだけで大丈夫です。
 

水と接している下側から
ちゃんと水を吸収して

紙の中に水が浸透していきます。
 

タイマーを15分にセットして
このまま15分放置します。
 

④ 紙をそっとひっくり返す

mizubari-top

水張りの様子 by NORi

タイマーが鳴ったら
水彩紙をそっとひっくり返します。

水に浸かっていなかった上の面を
ひっくり返して吸水させていきます。
 

このまま再び
タイマーを15分にセットして
このまま15分放置します。
 

ここで
木製パネルなどの準備を始めます。

mizubari-top
洗面台の近くの平らな所(あるいは床)に
パスタオルを折って敷きます。
 

その上に木製パネルを置いて、
キッチンペーパー
ガンタッカーも準備します。
 

用意した木製パネルは

表面を濡れたキッチンペーパーで
綺麗に吹きます。
mizubari-top
シナベニヤの木製パネルの場合は
特にアクや茶色い色は
出ないと思います。
 

⑤ ガンタッカーで水彩紙を固定する

mizubari-top

水張りの様子 by NORi

タイマーが鳴ったら

水彩紙の裏面の目印を確認して

水彩紙の表面が上になるように
ゆっくり慌てずに水彩紙をそっと
木製パネルの上に乗せます。
 

水彩紙と木製パネルを一緒に
ひっくり返して

紙の中央あたりに
木製パネルがきていることを
確認します。
mizubari-top
木製パネルに沿って
水彩紙に軽く折り目をつけるようにして

木製パネルに
水彩紙を巻きつけて

ガンタッカーを使って
木製パネルの裏面で水彩紙を固定します。
mizubari-top
あまり紙の端っこにならないように
少し余白をとりながら固定すると
安心かなと思います。
 

最初に固定しやすい辺を
1か所留めたら

その対面を
同じように
1か所留める

という風にすると
紙がヨレずにバランス良く
綺麗に留めることができます。
mizubari-top
角の折り目は後回しにして

ひととおり四辺を
ガンタッカーで水彩紙を
板に固定してしまいます。
mizubari-top
側面の折り目を綺麗に見せるのは
少し工夫がいるかもしれませんが、

慌てなくて大丈夫です。

すでに四辺全体を
しっかり固定してあれば

変に紙が縮むことはありません。

ゆっくり仕上げて大丈夫です。
mizubari-top
 

⑥ 平らなところで一晩放置する

mizubari-top

乾かしている様子 by NORi

紙の表面が上になるようにして
そのまま平らなところで一晩放置します。

直射日光に当たらないような所で
一度完全に乾かします。
 

自然乾燥の間に
徐々に水彩紙は縮もうとしますが、

板にしっかり固定されていますから
さらにぴーんと張った状態で
乾きます。
 

塗れている状態の水彩紙を
木製パネルに張ろうとすると

折り目が多少膨らみをもっていますが、

乾燥とともに
引っ張られるようにしてぴっちりと
綺麗に木製パネルに馴染んでいきます。
 

また
直射日光に当てたり
ドライヤーで急激に乾かしたりするのは
避けた方がいいです。

紙が部分的に乾燥したりすると
紙のヨレや
破れを引き起こす場合があります。
 

紙全体が均等に
ゆっくりと乾いていくのが理想です。

また
ドライヤーの熱で
木製パネルが熱くなって

板の歪みを引き起こす事があります。

水彩紙の下敷きである
木製パネルが歪んでしまったら
元も子もないですね。
 

完全に乾いて

紙の表面がぴーんと張ったように
木製パネルに綺麗に馴染んでいれば

水張り成功です。

この状態が、
いわば透明水彩のための
キャンバスの出来上がりです。

 

【水張り(パネル張り)やり方手順】水張りしたまま絵を描く

mizubari-top

制作の様子 by NORi

完全に紙が乾いて
水彩紙が木製パネルに綺麗に
密着していたら水張りは完成です。
 

このままの状態で
板に張り付けられた水彩紙に

絵を描いていきます。
 

水張りしてある水彩紙は
充分に伸び切った状態で
板に固定されているため

水をたっぷり使う透明水彩の
ぼかしやにじみといった技法で絵を描いても
凸凹波打つことはありません。
 

安心して絵の具を置くことができます。

絵の制作が終わったら

水張りしてある水彩紙を板から剥がす場合と
水彩紙を板から剥がさずに
そのまま飾る場合があります。
 

制作後に
水彩紙を板から剥がす場合は

『平張り』という方法で
水張りをする方が剥がしやすいです。

平張りは木製パネルの上に
パネルよりも小さいサイズの水彩紙を
水張りする方法です。

作品用の水彩紙のサイズよりも
少し大きめの木製パネルに水張りする
とも言い換えることができます。
 

そのまま紙の上から
水張りテープを貼って

板に固定すれば良いので
今回の『パネル張り』よりも
簡単かもしれません。

そのかわり
今回の『パネル張り』の方は

水張りテープを使わずに
ガンタッカーを使って板に固定するため

水張りテープを使わない手軽さ
があるかもしれません。
 
しかし
何と言っても『パネル張り』の利点は

水張り板から紙を剥がさなくても良い
ということではないでしょうか。
mizubari-top

『パネル張り』の作品例 by NORi

今回のように
木製パネルの裏側で紙と板を固定すれば

絵の側面を見せても綺麗です。
 

そのまま飾ることもできます。もちろん作品としてきちんと飾る場合には
額装することが前提ですが、

その際もBoxフレームと言って
木製パネルの側面を見せて額装する
スタイルも人気です。
mizubari-top

BOXフレームの額装例 by NORi

また
油絵では

木製パネルに張り付けた
キャンバスごと額にはめ込むことが
できるようになっているので、

木製パネルのサイズに合わせた
油彩画用の額に作品をはめれば

水彩の額には無いような
重厚な額装に挑戦することもできます。

 

水張りしたまま額装できるということは

飾ってある部屋の湿気などで
紙がヨレる心配がないため

とても安心感があります。
 

一方
『平張り』の場合は

額装の直前に
水張り板から作品を剥がして
額装することになります。

水張り板から外したあとは
紙はとても無防備になりますから

作品に手を加えるのは
板から外す前に
全て済ませることが大切です。

 

鉛筆画やパステル画などで
最後の仕上げに

鉛筆の黒鉛やパステルの粉を
定着させるためにフィキサチーフを
吹き付けることがありますが

その水分でも紙は波打ってしまいます。

そのような仕上げの工程は全て
水張り板から剥がす前に施しましょう。
 

このように『パネル水張り』は
『平張り』とはまた違う
絵の楽しみ方があります。

水張りする際には
『平水張り』にするか
『パネル水張り』にするか

作品のイメージや仕上げの額装なども
あらかじめ考慮して選ぶと良いですね。



【水張り(パネル張り)やり方手順】まとめ

want-to-draw

  • 水張りとは、制作中の紙の波打ちを防ぐために、絵を描く前にあらかじめ紙を水に濡らして伸ばした状態で板に固定する方法です。
  • 水をたっぷり使う透明水彩の場合、300g/m2以上の厚みのある水彩紙を使って、シナベニヤの木製パネルに水張りすると安心です。
  • 『パネル張り』はいつまでも紙がヨレることなく美しい仕上がりのまま額装できる利点があります。


私は作品に合わせて「平張り」にするか「パネル張り」にするか選んでいますが、パネル張りの美しさとそのまま額装できる点は作品のクオリティと保存状態を良好に保つ意味でもとても魅力を感じます。

NORi




🔻関連記事

Copyright©絵の具を100色買いました。,2024All Rights Reserved.