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透明水彩は難しい?|失敗しないための5つのポイントを紹介

    
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透明水彩は難しい?|失敗しないための5つのポイントを紹介

こんにちは、NORi です。
「透明水彩は難しい」という言葉をよく耳にしますが、最初に基本的なポイントを習得しておくことで絵をはじめて間もない段階でも失敗せずに絵を描いていくことは十分に可能です。

今回は『失敗しないための5つのポイント』をお伝えしていこうと思います。

NORi

透明水彩で失敗せずに絵を描く5つのポイント

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失敗しないためのポイントをお伝えする前に、
なぜ「透明水彩は難しい」と言われるのか?
について書いてみようと思います。


透明水彩は
透明水彩専用の絵の具を使います。


透明水彩の透明感あふれる色使いは、
この絵の具の「透明度の高さ」からきています。




透明度の高い絵の具というのは
色を塗り重ねていく過程で
下に塗った色が透けて見えます。

上から絵の具を塗り重ねても
下の色が透けて見えることを積極的に生かし
美しい色の重なりを生み出していけるのが
透明水彩の技法の特徴でもあります。


一方で、
たとえ失敗した部分があっても
色を塗り重ねて覆い隠すこともできません。





このように
失敗しても修正が難しいため
「透明水彩は難しい」とよく言われます。


それではどうしたら失敗せずに
透明水彩で絵を描くことができるでしょうか。




それには
失敗しない塗り方を知るというよりは
透明水彩の特徴を知ることが早道です。


失敗しないように塗らなければ
ならないというのではなく、

透明水彩の特徴を生かす方法を知ることで
そもそも失敗しにくくなります。





透明水彩の基本的な特徴を抑えれば
絵をはじめて間もない段階でも
失敗せずに絵を描いていくことは
十分に可能なのです。


今回は
透明水彩で失敗しないために必要な
5つのポイントをまとめてみたいと思います。



 

①第一に必要なこと

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透明水彩で失敗しないための
第一に必要なことは
「描きたい絵」を決めることです


水彩画教室に通われている方ならば
あこがれの先生の画風や
教室で学べる絵の雰囲気です。




独学の方ならば
本屋さんや個展巡りなどをして

「こんな絵が描きたいな」
と思う画風がわかってくると
その後の学びがスムーズになリます。


なぜならば、
描きたい絵がわかっていると
水彩紙や筆、絵の具選びで
迷いにくくなるからです





画材屋さんに行けば
水彩紙の種類の多さに
きっと驚かれることと思います。

目の前に並んだ
沢山の水彩紙や筆、絵の具の中から

自分に合ったものを選ぶには
どうしたら良いでしょうか。




透明水彩で絵を描くと言っても
選択肢は無数にあります。


選択肢が無数にあるというのは
水彩紙や筆、絵の具など
画材にも沢山の種類があって、

また色の塗り方にも
本当に沢山の方法があるのです。




実際に、
透明水彩で描かれた絵でも
画家さんの個性が十分に発揮されていて
その画風も様々です。


画風(作風)は異なっていても
どの作品も本当に素晴らしいのは、

画家さんが
「自分の描きたい絵」を描くために
沢山の画材から、

自分の表現や技法に合った画材を
選び抜いているからです





自分の描きたいと思う画風があると
画材も選びやすくなります。

例えば、
水をたっぷり使う透明水彩は
本来水に弱い紙にとって
非常に過酷な技法と言えます。


画材屋さんに行けば水彩紙だけでも
沢山の種類が置いてありますが、

水をたっぷり使って描くような技法に
耐えられる水彩紙は限られてきます。




多くの画家さんは
色々な水彩紙や画材を試しながら
自分の目指す画風に合ったものを
選んでいます。


つまり、
自分に合った紙や画材を選ぶことが
できるようになるためには、

自分の描きたい絵の雰囲気を
知っておく必要があるのです。




水彩紙や筆、絵の具というのは、
技法に合わせて選ぶのが良いわけです。



失敗すると修正が難しい透明水彩ならば
なおさら、

「自分が描いてみたい絵」を知っておく
重要性は高まります。




もっと言うと、
自分が描きたい絵を描くために
必要な画材を知ることができれば
一気に道は開けます。



教室に通われている方は
教室で学べる絵を描くために必要な
画材の選び方を教えていただけるので
効率的ですね。


独学の方は本屋さんや教材などから
「好きな画風」と
「それを描くために必要な道具」を
セットで知ることで

透明水彩の第一関門を
クリアすることができます







②描く力を身につける

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一番難しいのが
思い通りに描く技術力を
身につけることです。


透明水彩は水の働きを生かした
「ぼかし」や「にじみ」といった
偶然性の伴う美しい表現も
魅力の一つですが、

まずは偶然ではなく
思い通りに描ける
基礎的な技術は必要です。





偶然性を生かすのも
基本的な技術力があってこそです。


透明水彩は水を比較的多く使うため
とても流動的な技法ですから、

水の動きを読めるようになることが
思い通りに絵を描くためのポイントです。




また、
絵の具の中には水の溶き具合
(加える水の量)で色そのものが
違って見えるものもあります。


絵の具をどのくらいの水で
溶けばいいのか

経験を積み重ねていくことで
色の濃さを自分好みに調整する技術も
自然についてきます。




透明水彩では、
“絵の具を水で溶いて
パレットに用意した色”


それを筆で
“水彩紙の上に塗った時の色”

その色が
“完全に乾いた後の色”

全て違って見えることも普通です。




こんな状況ですから、
慣れないうちはなかなか
思い通りにいかないかもしれません。




水の量で色が変化したり
乾燥によっても色が変化したり
とにかく変化の多い技法なのです。


こういった変化が
透明水彩では当たり前であることに
だんだんと慣れることで


透明水彩でも失敗しないで
色を塗れるようになります。




例えば、

「このくらいの濃さで
このように塗ってみたら
乾くとこんな風に見えるんだな」


「そしたら次は、
このくらいの濃さで
こんな風に塗れば
乾くとこんな感じになるのかな」


と、少しずつ予測していける
ようになっていきます。




最終的には、

「乾いた時に
このくらいの濃さの色にしたいから

絵の具はこのくらいの水で溶いて
このくらいの濃さに調整して
これくらいの感じで塗っておこうかな」


と判断することができるように
なっていきます。




最初は簡単なモチーフや
色塗りの練習を通して

ワクワクしながら
透明水彩に親しみながら

少しずつ透明水彩に慣れていくことも
透明水彩を学ぶ楽しさです。






③水張りの意味を知る

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透明水彩では絵を描く前に
「水張り」することが良くあります



水をたっぷり使う透明水彩において
吸水性の高い良質な水彩紙を選ぶことは
とても大切ですが、

水彩紙の吸水性の高さは
制作中の紙がのヨレや波打ちを引き起こす
原因にもなります。




紙の繊維は水を含むとゆるくなるため
水をたっぷり使う透明水彩では
制作中に紙がうねってしまって

平らな紙の上で絵を描くということが
出来なくなります。

これは避けることはできません。




そこで「水張り」の登場です。


絵を描く前に
あらかじめ水彩紙に水を十分含ませて
紙を伸ばし切ってから、

強力なテープで画板に固定し
紙を乾かす、ということをします。




水をたっぷり使って絵を描く場合には
この水張りは必ず必要な
大切な準備になってきます。



水張りをして乾かした水彩紙は
伸び切ったままのピーンと張った状態で
画板に固定されていますから、

そのままで絵を描くことで
そこに水をたっぷり含ませた絵の具で
色を塗って絵を描いていっても
紙がよれる心配がありません。




ある程度の厚みのある水彩紙を使って
小さなサイズの絵を描く場合や、

背景まで色を塗らないような場合は、


水彩紙を水張りせずに
マスキングテープなどで画板に
留めるだけで大丈夫なこともあります。




水をたっぷり使う場合や
背景までしっかり色を塗る場合には
事前に水張りしておいた方が安心です。







④事前に完成イメージを作る

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透明水彩は
一度塗った色を
後から覆い隠すことが難しい技法です。


何の考えもなしに
適当に色を重ねていくと
すぐに絵が濃く暗くなってしまいます。




これでは
なかなか自分が思った通りに描くことは
できません。


失敗せずに自分が思った通りに
絵を描くためには、

これから塗るひと塗りひと塗りは
本当に自分が思った通りの表現が
できるのか
事前に確認しておく必要があります。





つまり、
“試し塗り”が非常に有効です


「本当にこの色の絵の具を使って
これから使う水彩紙に塗って
乾いた時に思い通りの色になるのか?」


「その色と次の色のコンビネーションは
思い通りの色を生み出すか?」
といったことを


本番と同じ紙を使って
試し塗りで確認しておくのです。





実際には美しい色の試し塗りは
とても楽しい時間です。


ゆっくり時間をかけて
完成イメージに合う色を選んで
試し塗りをしておくと、

本番では迷わずに安心して
色を塗ることができます。




また、
こうした試し塗りをした後の紙は
何色の絵の具を使ったかなど
メモをつけて大切に残しておくと

次に同じような色を使いたい時に
とても参考になります。




わたしも色の変化に慣れないうちは
しょっちゅう色の試し塗りをして、

濃く塗った時の色と
薄く塗った時の色の違いなどを
事前に確認していました。


新しい絵に取り組むたびに
最適な色を探そうと
試し塗りをしていたので、

気がつくと、
このサイトのタイトルにあるように
絵の具を100色以上買っていました。




今でも
新しい作品を描く前には
これまでの試し塗りチャートを参考に
自分の目指す色を選んでいます。


そして、
色の発色やグラデーションの様子、
使う色のコンビネーションなどを
事前に試し塗りして確認してから
絵を描きはじめています。




このように、
本番の作品に取り掛かる前に
「色選び」という時間を
ゆっくり取ることで

色の美しさを再確認しつつ
確信を持って安心して絵を描いていく
ことができます




 


⑤完成までの全工程を知る

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すでに書いてきたように
透明水彩の基本を抑えれば

はじめて間もない方でも
失敗せずに絵を描いていくことは
可能です。


絵をはじめる最初の段階で
透明水彩の基本的なことに
ひととおり慣れることができれば、

普通の人よりはるかに早いスピードで
クオリティの高い水彩画を
描けるようになります





透明水彩の学び方として
非常に有効なのが、

自分の描いてみたい透明水彩の絵が
どのように描かれているのか
完成するまでの全ての工程を
知ることです。


そして実際に
本格的な作品を自分で仕上げてみる
という経験をすることです。





本当に描きたい絵に取り組むというのは、
とても大切なことです。


自分が本当に描きたい憧れるような絵が
描けるようになる学びは、

目標がはっきりしているので
ブレることなくまっすぐ技術の向上に
集中することができます。




途中で練習を挟むこともあるでしょう。


たとえ時間がかかったとしても、

作品が完成した暁には
努力の結果がしっかりと実を結ぶ点も
積み重ねていく価値のある
満足度の高い学び方だと思います。




初心者の方でも
簡単な練習用の試作品などで
基本的な塗り方や
水の動きに慣れてきたら


早い段階で本格的な作品づくりに
挑戦されると良いと思います。


水彩画教室に通っているならば
「次は少し本格的な作品に挑戦したい」
と先生に相談して、
ご指導をお願いできると良いですね。




それが叶わない場合は、
オンライン教室や通信講座などで
「自分が描きたい絵」を本格的に学べる
環境を積極的に探して
プラスしてみるのもおすすめです。


「自分が描いてみたい
本格的な作品に取り組む」
という学びは、

時間はかかりますが
確実にスキルアップにつながります







失敗しない透明水彩|まとめ

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『 ブーゲンビリア 』〈透明水彩〉by NORi


  • 透明水彩は、自分の描きたい画風に合わせて必要な道具を揃えると良いです。
  • 透明水彩では「水張り」や「色の試し塗り」をしたり、事前の準備をしっかりしておくことで、失敗せずに絵を描くコツが身につきます。
  • 自分の描きたいと思う絵の、完成するまでの全工程を知ることがとても効果的な学びになります。


透明水彩の圧倒的な美しさを自分の作品で表現できたら本当に嬉しいですね。「自分が描いてみたいと思う作品」にコツコツ取り組むことで、自然と技術力が上がり、少しずつ失敗せずに描いていけるようになっていきます!

NORi





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