ひまわりの水彩画|黄色もいろいろ?《色選びと制作動画》
こんにちは、NORi です。
今回のテーマは『ひまわり』です。ひまわりを描くには どんな大きさで、どんな色を使って、どんな構図で 描いたらいいでしょうか。
修正が難しい透明水彩では、完成イメージを事前に考える時間が必要かもしれません。今回はそんな前準備から制作までの様子を記録してみました。描きたい『ひまわり』の印象を少しずつ温めて、自分だけの『ひまわり』が描けますように。
NORi
ひまわりの水彩画|想い出の花はありますか?
人それぞれに
好きな花や
想い出がよみがえる花
というのが
あるのではないでしょうか。
それは
本当に大切にしたい花ですね。
そのような花を描くとき、
自分の心の中にある
その花の印象や
自分の心の中にある景色やイメージが
そのまま筆を通して
絵に表れていくものなのでしょう。
ひまわりは
私にとって想い出深い
特別な花です。
ずっと身近に咲いていて
勇気をくれた花でした。
そんな『元気をくれる花』
ひまわりを水彩画で描きました。
【ひまわりの水彩画】ひまわりを描きました。
『ひまわり』(16cm × 23cm) by NORi
ひまわりの花は、
黄色の鮮やかさに加えて
大ぶりな花がとっても印象的ですね。
今回のひまわりの作品では、
次のような雰囲気をイメージしました。
- ミニひまわりの控えめなブーケ
- 明るく賑わいのある元気な色合い
- 賑やか過ぎない落ち着いた構図
明るく元気な中にも
穏やかな時間と
空間を感じることができる
そんな
調和が広がる作品をめざしました。
(動画再生時間:1分47秒)
※音楽が鳴りますので、音量の調整をしてご覧ください。
『 ひまわり 』〈透明水彩〉by NORi
- 紙: ARCHES紙(300g/m2)
ここからは
使った絵の具などを
記録しておこうと思います。
【ひまわりの水彩画】色選び
『ひまわり』の色えらび by NORi
実際に色を塗る前に
まずは ”試し塗り” をして
色を確認しました。
どんな色を使ったら
素敵なひまわりになるだろう?
そんなことを考えながら
色を選びました。
ひまわりの花びらの色も
一番明るいところの黄色と
少し陰になったところの黄色は
だいぶ雰囲気が違います。
今回使う黄色を選ぶために、
黄色系の透明水彩絵の具 7 色
を使って試し塗りをしました。
同じ名前でも
メーカーによって
色味が違うことが分かります。
最初に決めたのは、
基本となる
ひまわりの花びらの色。
↓
HOLBEIN の
Permanent Yellow Light
にしました。
光が当たって一番明るい部分は
↓
Winsor&Newton の
Aureolin
か
Winsor Yellow
あたりでしょうか。
(ほとんど同じ色に見えます)
そして花びらの影の部分は
↓
HOLBEIN の
Quinacridone Gold
にしました。
同様にして葉っぱの色なども
試し塗りをしながら決めました。
花びら以外の部分
(葉っぱ、赤い実、背景)の色については、
最後に絵の具の名前をまとめてあります。
今回のひまわりの絵を
完成させるまでに使った絵具は、
全部で 10 色でした。
絵の具のメーカーは、
ホルベインとウィンザーニュートンを
使っています。
試し塗りをして、
絵の具同士の相性や
混ざり具合などを確かめて、
描きたい絵の表現に合ったものを
毎回選ぶようにしています。
【ひまわりの水彩画】紙選び。
『ひまわり』の紙えらび by NORi
今回のひまわりの絵は、
アルシュ coldpress (300g/m2)という
フランス製の紙を使いました。
大変丈夫で
さまざまな技法にも耐え、
絵の具の発色が本当に綺麗で感動します。
また、紙自体の肌目も美しく、
何も塗らない部分ですら気品を感じます。
コットン100%で、
ゆっくりと水を吸収して豊かな表現を
可能にしてくれます。
さきほどの色選びをした紙も、
このアルシュの紙で
試し塗りをしています。
試し塗りにも『本気の紙』を。
『ひまわり』の最初の色えらび by NORi
これは失敗バージョンです。
これはアルシュではなく、
鉛筆用のスケッチブックを使って
試し塗りをした様子です。
アルシュで試し塗りをしたときと
全く同じ絵の具を使っていますが、
紙が違うだけで
絵の具の粒子の残り方も
色自体の発色もかなり違います。
アルシュを使った『ひまわり』の紙えらび by NORi
色選びは
作品の印象を決める大切な工程ですが、
やはり作品と同じ『 本気の紙 』でないと
綺麗な発色を確かめるのは難しいようです。。。
【ひまわりの水彩画】制作風景。
『ひまわり』の制作風景 by NORi
ここからは
実際に塗り重ねていった様子を
写真で振り返ってみたいと思います。
全体を振り返ってみると、
手順としては 7 Step くらいになるのかな
と思います。
今回の制作は、
最初に花びらの陰影を作る
ところから始めました。
ひまわりの花から伝わる
力強さは、
黄色という色や
全体の印象だけでなく、
一枚一枚の花びらの形や動きからも
伝わってくる気がしました。
■ STEP 1 : 黄色で花びらの影からスタート
『ひまわり』の制作風景① by NORi
今回は花びらの形を
一枚一枚丁寧に塗っていくことにしました。
花びらの色は黄色ですが、
光の当たっている部分は薄い黄色で、
花びらが重なり合って出来る影の部分は
少しくすんだような黄色に見えます。
花びら一枚一枚に
そのような黄色のグラデーションが
絵の具で表現できれば、
花びらの立体感も
自然に出てくるように思いました。
最初は、
面積の小さい影の部分から塗り始めて、
花びら全体へ塗り広げていくことにしました。
塗り広げていく間に
色にも変化をもたせました。
影にはくすんだ黄色を使い、
花びら全体には明るい黄色を使うように
グラデーションを意識して塗りました。
影の部分に使っている
少しくすんだようにみえる黄色も、
透明度の高い絵の具を使っています。
そのため、
何度も色を塗り重ねることで
花びらの薄さや柔らかさの表現が
際立っていくように感じました。
■ STEP 2 : 明るい色で花びらと葉っぱに濃淡
『ひまわり』の制作風景② by NORi
水彩画は、
明るくて軽やかな、ふんわりとした
優しい雰囲気が特徴です。
発色の美しい絵の具をたっぷりの水で溶いて
のびのびと塗っていくことで、
瑞々しさのあふれる絵になります。
ひまわりの花が主役になるように、
周りの葉っぱは
あまりしっかり描きませんでした。
瑞々しい緑になるように
気を付けながら、
水をたっぶり使って、
絵具をぼかす感じで濃淡をつけながら
塗りました。
ひまわりの花びらも
黄色が単調にならないように濃淡をつけて、
水をたっぷり使って瑞々しく
塗るように気をつけました。
光が当たっているところは薄く塗っています。
■ STEP 3 : 赤味をプラス
『ひまわり』の制作風景③ by NORi
黄色のひまわりの周りに
緑の葉っぱが沢山ありますが、
全体の絵の大きさと
ひまわりとのバランスからすると
何かアクセントが欲しいところです。
そこで、
赤味のある小さな実を配置しました。
ひまわりの周りの空間に赤みがあると、
より明るく賑わいのある感じに
なりそうかなと思いました。
アクセントで赤みが入ると
絵にも勢いが出ます。
赤みの色味は、
すこし紫がかった色を選びました。
紫の反対色は黄色なので、
ひまわりの近くに紫があることで、
ひまわりの黄色の鮮やかさが
映える効果が出るといいなと思いました。
■ STEP 4 : 花の中心部分を描く
『ひまわり』の制作風景④ by NORi
花の中心はかなり濃い色になるので、
本当は最後に塗ろうと思っていました。
ですが、
花の周りの色をこれから塗り重ねていく上で、
主役のひまわりの色の強さを
先に決めておいた方が、
絵全体の調和を取りながら
塗れるのではと思い直しました。
先に周りの色を強くしすぎてしまうと、
主役のひまわりの色を
後から調整するのが大変
になってしまうこともあります。
ひまわりを良く観察してみると、
ひまわりの中心部分の構造は
とても規則的に並んでいるように見えます。
その様子が伝わるように、
筆で描くように色をのせていますが、
不自然にならないように
適度に水でにじませました。
花の中心が決まると、
やはり花の生命力がグッと立ち現れて
くるように感じられました。
■ STEP 5 : 赤・緑・黄色でさらに塗り重ね
『ひまわり』の制作風景⑤ by NORi
ひまわりの周りにある葉っぱについては
ここまでふんわりとぼかしながら
色を全体につけてきましたが、
ひまわりの花びらのしっかりとした描写
とバランスをとるために、
所々にアイビー系の葉っぱを描いて
アクセントをつけています。
葉っぱの緑色にも青みを加えて
色の変化をつけています。
右端に細い線で
形の違う葉っぱを描いたりして、
色の濃淡だけでなく
色や形の変化なども意識しました。
一枚の絵の中で多様な表情があることで、
ひまわりの存在感も深まるように感じました。
■ STEP 6 : 花びらの様子を描き込む
『ひまわり』の制作風景⑥ by NORi
step1で花びらの影をつけて
花びら一枚一枚の形を出しましたが、
もう少し細かいところを
表現したいと思いました。
ひまわりの花びらには
放射状に筋がついています。
これが中心から
外に向かって伸びる線となって、
ひまわりの雰囲気を特徴づけている部分
でもあるかなと思いました。
全体の色がだいぶ濃くなったので、
少し強めに花びらの様子を
描き込んでみました。
ひまわりの中でも
中心となるひまわりを意識して塗っています。
外側のひまわりは
少し力を抜いてラフに塗っています。
■ STEP 7 : 背景に色をうっすらかけて完成
『ひまわり』の制作風景⑦ by NORi
背景は白のままでもいいかな
と思っていましたが、
中心となるひまわりを囲むように
ふんわりと色があると
全体の調和がとれるかなと思い、
思い切って色をつけることにしました。
背景の白さが少し明る過ぎるような
気がしますので、
それを少し抑える程度に
本当に薄く、少しだけ色をかけました。
絵全体が落ち着くように、
葉っぱとは違った少し透明度を下げた
優しい緑色を選びました。
ところどころに明るい黄色もにじませて、
暗くなりすぎないようにして
完成です。
【ひまわりの水彩画】画材一覧。
今回使用した紙と絵の具は以下の通りです。
■ 紙
- アルシュ cold press (300g/m2 coldpress)
■ 絵の具
- 花びら(黄色系)
・Permanent Yellow Light(HOLBEIN)
・Quinacridone Gold(HOLBEIN)
・Aureolin(Winsor&Newton) - 葉っぱ(緑色系)
・Sap Green(HOLBEIN)
・Antwep Blue(Winsor&Newton) - 赤い実(赤色系)
・Lilac(HOLBEIN)
・Permanent Magenta(HOLBEIN)
・Permanent Alizarin Crimson(HOLBEIN) - 背景
・Cobalt Green(HOLBEIN)
・Aureolin(Winsor&Newton)
ひまわりの水彩画|まとめ
『 ひまわり 』の制作の様子〈透明水彩〉by NORi
- 自分の視点や印象が筆を通して表れる、そんな気がします。
- 綺麗な色選びは、紙選びから始まっています。
- 花びらの様子を丁寧に描くと、花全体から動きが生まれるように感じました。
お花屋さんで一際目を引く『ひまわり』。ひまわりが放つ力強さとふんわりと包み込まれるような美しさには、本当に感動します。ひまわりは本当に魅力的な花ですね。
NORi
『 ひまわり 』〈透明水彩〉by NORi