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鳥の水彩画|定番3色を使わない “すずめ”の描き方・塗り方

    
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鳥の水彩画|定番3色を使わない "すずめ"の描き方・塗り方

こんにちは、NORi です。
今回のテーマは『鳥の描き方』です。わたしは透明水彩で「すずめ」シリーズを制作しています。すずめの色というと、茶色・黒・白の3色が思い浮かぶのではないでしょうか。

ですが、陽射しの中で可愛らしくぴょんぴょんと飛び跳ねるすずめ達の姿を眺めていると、もう少し多様な色彩が含まれているように見えてきました。今回はそんな定番の3色を使わずに「すずめ」を描いた制作記録をご紹介してみようと思います。

NORi

鳥の水彩画の描き方・塗り方|すずめの絵の構図

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構図づくりの様子① by NORi




私がすずめを描こうと思ったきっかけは
我が家の庭に
すずめがやってきたからなのですが、

実は単純に
お庭に鳥達がやってきたら嬉しいな
と思い

ちょっとした遊び心
鳥達のために水場を用意したことが
はじまりでした。
 

その時はまだ絵を描くなどとは
全く考えていなかったのです。
 

苦労の末(?)
やっと我が家の庭にやってきた
すずめ達の姿が

あまりに可愛らしく綺麗で
すっかり感動してしまいました。


そんな庭の様子を描こうと

まずは私が設置した
水場の様子を描きました。

構図づくりの様子② by NORi

 


鳥の水彩画の描き方・塗り方|すずめの下書き&スケッチ

すずめのスケッチ。 by NORi


庭の様子を描いてから
いよいよ
すずめを描きたいと思ったものの

すずめの形が全く取れず
困ってしまいました。
 

そこから
色々な資料を調べて

すずめの形や羽の様子を
観察し始めました。

そしてだんだんと
すずめのスケッチを描くようになり、

沢山描いたスケッチの中から
気に入ったものをいくつか集めて
水彩画にしていくことにしました。

 

鳥の水彩画の描き方・塗り方|すずめの色えらび

試し塗りの様子。 by NORi


下書きもなんとか揃って
いよいよ色塗りです。

ところが
すずめを描くのに何色の絵の具を使うか?
というところで

再び悩むことになりました。
 

すずめというと
茶色と黒と白の3色を思い浮かべますが、

実際に陽射しの中で見た
すずめの羽はもう少し繊細な色が
混ざっているように見えました。

 

陽射しの中で遊ぶ
すずめ達の可愛らしい仕草に加えて

その美しい色を発見したことも
私が水彩画にしたいと思ったきっかけ
だったのです。
 

その美しい色への感動も
大切にして描きたいと思いました。
 

色というのは
様々な色を混ぜていくほどに
暗い色合いへと変化していきます。


特に大きく色相の異なる色を
ある濃度で混ぜれば
すぐに黒に近い色になります。
 

そこで
直接、茶色や黒を塗るよりも

明るく鮮やかな色を
薄く塗り重ねることで

徐々にトーンを暗くしていく方法で
アプローチしてみようと思いました。

 

すずめの茶色や黒に近い色味を
目指しながらも

なるべく濁らずに
深みのある綺麗な発色で表現できたら
と思いました。
 

また、
色選びについては

すずめが主役ではありますが、
周りの景色の色
すずめに塗ることで

光が飛び交うような
明るい陽射しの調和のとれた
色味が表現できるのではないかと
考えました。
 

赤系・青系・黄系の色を
それぞれ薄く溶いて

塗り重ねていくことで
徐々に深みのある暗い色味へと
変化させていく【重色】の方法で
塗ることにしました。
 

次の章では
実際に色を塗り重ねていった際の
色の変化
を見てみようと思います。
 

鳥の水彩画の描き方・塗り方|すずめの色塗り

すずめ制作風景① by NORi


これはひと塗り目を
塗り終えた様子です。
 

ひと塗り目では

たっぷりの水で絵の具を溶いて
ぼかしながら

絵全体に選んだ色を置いていくように
塗りました。

 

絵の上の方に置いてある色見本は
あらかじめ試し塗りをしたものです。

この中から
イメージに近い色を数色選んで

それを基本の色として
塗っていきました。
 

このような
試し塗りや色見本づくりは

透明水彩のように
修正が難しい画材の場合には

制作中の心の支えになる
とても頼もしい資料です。



 

■ ふた塗り目

すずめ制作風景② by NORi


次に
すずめを塗り始めました。
 

すずめの色は

最初は鮮やかな色を
薄く塗りました。

 

羽の模様などが多少感じられるように
絵の具の濃度を調整しながら

細い筆で塗りました。
 



 

■ さん塗り目

すずめ制作風景③ by NORi


完全に乾いてから

さらに
すずめに色を重ねました。

色はひと塗り目と同じ色だけを
使っています。
 

薄く塗り重ねているものの

徐々に色が強まり
色のトーンも少し落ち着いてきたのが
分かります

 

■ 仕上げ

『Harmony』<透明水彩画> by NORi


さらに
完全に乾かしてから

何度か塗り重ねを繰り返し
徐々に立体感を出していきました。
 

後半はすずめだけでなく
全体の陰影なども同時に強めながら
仕上げました。

上の画像が完成した作品です。



鳥の水彩画の描き方・塗り方|まとめ

すずめのスケッチ。 by NORi




  • すずめの自然な仕草を描くために、羽や骨格の構造を調べました。
  • 明るい陽射しの中のすずめを描くために、すずめに特徴的な3色(茶色と黒と白)を直接使わずに明るい色を塗り重ねることで暗い色を表現しました。
  • 透明水彩の絵の具の透明感を活かした『重色』の塗り方で絵全体のトーンを徐々に調整しました。


動いている生き物を描くのはとても難しいですが、愛らしい表情や仕草を見ているとふと物語が頭に浮かんでくるようで、思わず笑顔がこぼれます。

NORi




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