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絵の具の彩度を上げる?下げる?|鮮やかな色で水彩画を描く

    
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絵の具の彩度を上げる?下げる?|鮮やかな色で水彩画を描く

こんにちは、NORi です。
今回のテーマは『彩度』です。美しい水彩画を描くためには色の塗り方がとても大切ですが、その前にどのような色を選ぶのか?というところもなかなか悩ましいところではないでしょうか。そんな美しい色の見せ方を考える上で役に立つのが『彩度』という視点です。

そこで今回は、美しい配色のキモとなる『色の彩度』に注目したいと思います。色を決める要素をつかんで透明感あふれる美しい絵が描けますように!

NORi

絵の具の彩度を上げる?下げる?|彩度へのいざない

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色には明るい色や暗い色だけでなく、

日本らしいほんのり和を感じる色など
お国柄の出るような色合い
というものもありますね。
 

このような色の違いを誰かに伝えるとき
私達はどのような表現を使うでしょうか。

「The 抹茶という感じの色~」
「紅茶にミルクを多めに入れたときの
ベージュ?」などなど。。。
 

色というものはとても感覚的なもので
「わかる、わかる」と思っても

全く同じ色を再現するほどの精度で
色を伝えることは難しそうです。
 

絵を描くときも、

「もう少し赤味を足してみようかな」
「少し強すぎたから、
水を足して薄めたほうが良いかな?」
 

といった表現になりますが、

それでもうまい具合に色が作れたら
それはそれで良いわけです。
 

ですが、もし

『美しい色の組み合わせには
彩度がキモだよ』

と言われたらどうでしょう?
 

とたんに、気になりますよね。

ここからはそんな『彩度』の魅力について
まとめてみようと思います。
 

絵の具の彩度を上げる?下げる?|彩度(さいど)とは?




色というのは1色だけでも
濃淡のグラデーションは無数にあり、

さらに2色、3色と
無限に色を組み合わせていくならば
生まれる色の数は無限です。
 

そんな星の数ほどにある色の中で

今、手にしているこの1色は
どんな性質を持った色なのでしょうか。

 

たとえば色鉛筆の中から
赤系統の色を選んで並べてみると、

濁り気のない真っ赤
落ち着いた暗めの赤
少しピンクがかった赤
など

赤系統の色にも複雑なグラデーションが
あることが分かります。
 

これらの色を分類するための1つの指標に
「鮮やかさ」「鮮明さ」があります。

これを
『彩度(Chroma / Saturation)』といいます。
 

赤系統の色鉛筆も、

明るくはっきりと見える鮮やかな赤と
ぼやけたりくすんだりして不鮮明な赤

という『彩度』の高低差で
分類を進めることができます。
 

『彩度』の高い
鮮やかで鮮明な赤というのは、

純粋な赤味だけでできた赤のことです。
 

白味の入ったぼやけた赤
黒味が入った暗くくすんだ赤は、

『彩度』の低い赤ということになります。
 

色を特徴づける要素は『彩度』だけでなく
他にも「明度」や「色相」
というものがあります。



 

絵の具の彩度を上げる?下げる?|彩度が最も高い色は「虹の色」

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色の「鮮やかさ」「鮮明さ」を示す
『彩度』ですが、

最も高い『彩度』を持った色とは
どんな色でしょうか。
 

ここで少し自然界の色に
目を向けてみたいと思います。
 

自然の中には沢山の色が
溢れているように見えますが、

私達が色を感じるためには
無くてはならないものがあります。
 

それは光です。

色というものは、
その光によっても見え方が変わります。

 

明るい光の下で見る色は
鮮やかに見えますし、

暗いところで見る色は
くすんで暗くみえます。
 

自然界に溢れる沢山の色を
最も鮮やかにみせてくれる光があります。
 

それは太陽です。
 

雨上がりの空に
大きな虹が見えることがありますが、

最も明るい太陽光の傍で見る事ができる
あの虹の色が
最も鮮やかな色なのです。
 

この虹の色を『純色』といいます。
 

科学的には
太陽光をプリズムに当てて
分離される色を観察することで

虹色の太陽光スペクトル(純色)を
確認することが出来ます。
 

太陽光スペクトルで確認できるこれらの色は
これ以上『彩度』を上げることは
できないため、
最も彩度の高い色ということになります。
 

絵の具の彩度を上げる?下げる?|彩度の選び方




このように、
色の『彩度』は
視認性にかかわることが分かります。
 

『彩度』の高い色は
はっきりと鮮やかに見えるので、

太陽光が降り注ぐ明るい場所や
注目してもらい部分を表現するのに
適しています。
 

水彩画では
比較的『彩度』の高い色を多く使いますが、

塗り始めは特に『彩度』の高い色を
塗り重ねていくようにします。

 

絵の具では、
『彩度』を下げることはできても
『彩度』を上げることはできないからです。
 

高めの『彩度』の色を使って
全体がひととおり塗り終わったところで

作品を少し遠くに置いて眺めてみます。
 

しばらくそのまま眺めていると

絵の主題となる部分以外で
目立ちすぎているところが見えてきます。
 

絵の画面の中に優先順位を決めて、
まず目を留めてもらいところには
高い『彩度』の色がそのまま残るように

次にその周辺の色の『彩度』を
下げていくようにします。
 

『彩度』を変化させることによって
見る人の視線が
自然と絵の中に入り込んでいくように

心地よい調和のとれた配色が
可能となります。


絵の具の彩度を上げる?下げる?|まとめ

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  • 白味が入ってぼやけたり、黒味が入ってくすむと、色の『彩度』は低くなります。
  • 最も高い彩度を持つ色は、虹の中の『純色』です。
  • 絵の中の色の『彩度』にリズムをつけることで、透明感あふれる美しい色彩に目がいくように配色を整えることができます。


『色彩科学』というのは、自然をひもとく方法であり考え方です。美しい色への興味が深まったとき、今までと少し違う視点で眺めた景色にはきっと新しい感動が生まれるのではないかと思います。その感動こそが、芸術の源泉ではないでしょうか。

NORi




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