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透明水彩画|初心者さんのための独学で始める厳選道具一式

    
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透明水彩画|初心者さんのための独学で始める厳選道具一式

こんにちは、NORi です。
私は透明水彩についての予備知識もなく、絵を学んだこともありませんでしたが、美しい色に魅せられてその感動だけで絵を描き始めました。

今回は、そんな全くの初心者だった私が準備した最初の水彩道具一式をご紹介してみようと思います。

NORi

目次

■ 【透明水彩画】初心者さんが独学で始める道具一式

want-to-draw

わたしは小学校の美術の授業以来、
絵の具を触ったりすることもなく
全く絵に興味ももたずに過ごしてきました。


それが突然、
大人になってから
透明水彩画を見る機会があり、

そのとんでもない美しさに感動して
突然、絵を描き始めるようになりました。




それから15年以上も
絵を続けることになりましたが、

透明水彩の美しい色を眺めていると
今でも本当に感動します。


まずは、
私が初めて揃えた絵の具から
ご紹介したいと思います。

(今でも使っています。)






透明水彩画材《1》初心者さんの『絵の具』



私が初めて買った絵の具は
  • ホルベイン透明水彩絵の具18色セット
でした。


ホルベインは
1900年(明治33年)に設立の100年以上の
歴史のある日本のメーカーです。

また、
高品質で多くのプロの画家に
愛用されている絵の具です。





透明水彩の描き方などを
詳しく学びたいと思ったときにも、

本屋さんに置かれている
解説書などの多くが
ホルベインの絵の具を使っていますので、


独学で絵をマスターしたい方にとっても
品質的にも
最初の基本の水彩絵の具としても
おすすめです。





また、
ホルベインは日本のメーカーですので
ほとんどの文房具屋さんや画材屋さんに
絵の具の取り扱いがあって、

いつでも購入できるので助かります。


18色セットには
良く使う色がひととおり揃っているので
まずはこのあたりを用意しておけば
色々なモチーフの絵に
挑戦できると思います。





始めたばかりの頃は
これから自分が何を描くかも
想像できませんでしたが、

色々と試しに描いていく中で
大体の色が18色セットに揃っていて
安心して快適に楽しく
絵を描くことができました。


もっと沢山の色の入ったセットも
ありますが、

必要になったらその時に
少しずつ買い足していく
のも
良いのではないかと思います。




慣れてきたら描きたい絵も広がって
使いたい色や『自分のこだわりの色』も
増えてくると思いますので、

自分の成長に合わせて
自分の好きな色を画材屋さんで
見つけてくるというのも楽しいと思います。



買い足すときは
他のメーカーにも挑戦してみるのも
新たな発見があります。




12色セットだと色が少し足りなくて
早い段階で買い足さないといけない
ということがあるかなと思いました。






透明水彩画材《2》初心者さんの『パレット』

愛用パレット by NORi



絵の具を買ったら
一緒にパレットも用意しておくと良いです。


パレットのサイズは、
絵の具が全て収まるサイズの
パレットが良いです。


ホルベインの18色を購入した場合は
仕切りが18色以上あるパレットが
良いですね。




私が最初に購入したのは
  • ホルベインの水彩パレット(アルミ製)
です。

上の写真の右側の黒いタイプです。
(内側は白です)




私は何個かパレットをもっていますが、

掃除のしやすさは
最初に買った
このホルベインの黒いパレットが楽です。



どのパレットも
絵の具を塗るときには
仕切りの中の絵の具を筆につけてから

パレットの広いスペースで
絵の具に水を足して濃度の調整をします。




つまり、
パレットの広いスペースは
色の調整に使うので、

絵の制作が終わったら
(あるいはその日の制作が終わったら)

綺麗にふき取っておくと
次の時に使いやすい
ということがあります。


そこで、
アルミ製の黒いホルベインの水彩パレットは
ホーロー加工をしてあるようで、

水のついたティッシュなどで軽くこすれば
簡単に絵の具を取り除くことができて
お掃除が楽でとっても便利です。




上のパレットの写真の中央にある
白いパレットはプラスティック製のものです。


プラスチックのパレットには
多少の色つきが残ります。


今ではプラスチックの色残りは
気にならなくなりましたが、

初めて買おうと思った時は
綺麗に使いたい
という想いが強かったので
ホーロー加工のアルミ製のパレットを
買いました。




パレットの準備について

絵の具とパレットを買ってきたら、

早速、
すべての色をパレットに出します。


絵の具のチューブから直接
パレットの仕切りの小さなお皿の中に
1色ずつ入れていきます。




絵の具は溢れない程度に
入るだけたっぷり出してしまって大丈夫です。



これで絵の具の準備は完了です。






優れモノ!ふた付き野外パレット。



さきほどのパレットの写真の
一番左側にある
ピンクのパレットについても
ご紹介しておこうと思います。


これはスケッチ旅行のために
準備したパレットです。





目的地は沖縄で、
沖縄の明るい花や綺麗な海を描くために
画材屋さんで新しく”南国っぽい ”
明るい色の絵の具を選んで
買ってきたのですが、

その絵の具が全て入るパレットとして、
このピンクのパレットを買いました。




私は当初、
スケッチ旅行にはプラスチック製の
軽い小さな平らな板状のパレットを
一枚持って行って、

その場で好きな色の絵の具を出して
描けばいいかなと考えていました。


でも、よく考えてみると、
色を出している途中で雨が降ってきて
移動するかもしれませんし、

慌ててパレットごと
リュックに入れたりするようなことも
あるかもしれません。




帰るときも
パレットを洗い流せる水道が
あるとは限りませんし、

絵の具が溶けている
塗れたままのパレットを
どうやって持って帰ればよいのだろう?
と色々と頭をよぎってきました。


そこで見つけたのが、
ホルベイン画材株式会社が販売している

  • 密閉式水彩パレット
    『Water Color Palette M18』
です。


私は赤(M18R)を選びましたが、
青(M18B)しか無いときもありました。




このパレットは、
18色を納めることができて、

脱着式の透明のトレイが付いています。


これに、南国用の絵の具を
たっぷり詰め込んで行くことにしました。




そのまま持って行くつもりだった
チューブ式の絵の具たちも
全て置いて身軽に出発することができました。


持って行く色を18色に絞って、
身軽にパレット一つに納めました。




実際に野外スケッチで使ってみると
安心感があってとっても便利でした。



念のため、
リュックにしまうときには、
使ったばかりの塗れた絵の具の上に
キッチンペーパーを一枚折って
挟むようにして蓋をしました。




キッチンペーパーで中の水分も
ある程度吸収できますし、

密閉式ですので
外に絵の具が漏れることも
ありませんでした。


本当に素晴らしい!
感動のパレットでした。







透明水彩画材《3》初心者さんの『水彩画用紙』

愛用している水彩紙 by NORi



透明水彩では
絵の具以上に大切なのが
紙選びです。



画材屋さんに行くと
本当に沢山のスケッチブックが
ずらりと並んでいて、

どれを選んだらいいのか
全くわからない
というのが
正直なところではないでしょうか。




プロの画家さんがお勧めしている
紙だけでも種類が沢山ありますから、

本当に悩ましいところです。




私が初めて購入した水彩紙は
  • アルシュ 細目(ARCHES coldpress)
    300g/cm2
というものです。

上の写真のようにサイズも色々があって、
緑の表紙に黒い素敵な柄が美しい
フランス製の水彩紙です。




この写真で紹介しているのは
ブロックタイプと言って、

一枚一枚の水彩紙が重なったまま
しっかり固定されているものになります。


スケッチブックのように
一枚一枚がペラペラとめくれて
どこからでも描けるようなものでは
ありません。




ブロックタイプの紙は、
一番上の紙に描き終わったら
その一番上の紙だけを剥がすことで
次の紙に新しく絵を描くことができる
というものです。



紙が全てまとめて硬く固定されているため
画板なしでそのまま
一番上の紙に絵を描くことができます。


ですが、
個人的にはブロックから一枚剥がして
木製パネルの上に水張りをしてから
絵を描くことをおすすめします





水をたっぷり使う透明水彩で
ブロックのまま絵を描いていると、

下の2枚目の紙にまで絵の具が染みてしまう
ということが良くあるからです。





ですので、
好きなサイズのブロックタイプを購入して
一枚一枚水張りをして使っています。






水彩画用紙を選ぶためのポイント


なぜ紙えらびが大切なのかと言えば、

使う水彩紙によって
絵の具の発色が変わるからです。



水彩紙はメーカーや種類によって
紙の水含みの良さや
水を吸収する速度、

紙の表面の肌目の雰囲気や
傷のつきにくさなど、

様々な工夫がされていて
独特の癖を持っています。




自分の目指している画風や技法との相性が
ピッタリ合うものを探すことが必要です。




色々の水彩紙を試しながら
自分が求めていた描き心地の紙に出会った時、

その水彩紙の癖を愛してやまないファンが
自分の好みの紙をリピートして買うのですね。


つまり、
紙によって作品の仕上がりや
制作の仕方などが
変わるということになります。





水をたっぷり使う透明水彩のための
水彩紙選びのポイントは、
  • 絵の具の発色が美しい紙
  • 様々な水彩の技法に挑戦できる丈夫な紙
  • 紙の表面の肌目や紙の色が好みに合う紙
といった感じになるかなと思います。




初めて水彩紙を選ぶときは、
自分が描いてみたいなと思う絵が描ける
水彩画教室に通って


先生が使っている水彩紙を使って
絵を学ぶというのが一番確実な方法です





本屋さんやインターネットなどで
素敵な絵を描く画家さんが使っている
画材を知るものも良いかもしれません。


画材屋さんのスタッフの方に相談して
選ぶのも良いと思います。






透明水彩画材《4》初心者さんの『筆』

コリンスキーの筆でひまわりの絵を描いているところ by NORi



透明水彩で作品の仕上がりに直結する
大切な道具といえば、
  • 絵の具
この3点です。




ここからは
筆の選び方についてご紹介します。


透明水彩でよく勧められる筆として
コリンスキーという
動物の毛でできた筆があります。




コリンスキーの毛は
水の含みが大変よく
また適度なコシがあり
水彩に適していることが分かっています。


ゆっくりと美しく
滑らかに色を塗ることができます。




最初にしっかりした筆を
1本準備しておくと
本当にスムーズに
絵を描くことができるので、

筆も良いものを一本用意してから
透明水彩をスタートするのがお勧めです。


私が初めて買った筆は、
  • ラファエル水彩筆8404シリーズ
    (4号サイズ)
です。


ラファエル社というのはフランスにある
創業1793年の老舗の筆専門メーカーです。

200年以上も
一本一本手作業で作られているそうです。




コリンスキーの毛の持つ良さを
最大限に活かした筆作りで、

中でも8404シリーズは
定番の人気商品となっています。



使い心地の良さは本当に素晴らしいです。




わたしはこの一本を基本として、
必要な時に少しずつ
必要なサイズの筆を追加していきました。



追加するときは、
コリンスキーにこだわらず
色々な筆を試してみました。




大きなサイズの絵を描くようになってからは
刷毛を使ってみたり、

細かい線をしっかり描きたいときには
面相筆を使ったり、

マスキング液を使って
白抜きに挑戦したときには
ナイロン製のコシの強い筆を買いました。




描きたい絵があるからこそ
それに合わせて道具や技術の幅も
広がっていくので、

ぜひ自分のペースで楽しみながら
道具を増やしていって頂ければと思います!






■ 【透明水彩画】初心者さんが独学で始める【その他の道具たち】

want-to-draw


ここまでメインの王道の道具を
ご紹介して参りましたが、

ここからは
実際に絵を描いていく上で
必要になる

その他の道具についても
ご紹介していきたいと思います。




透明水彩画材《5》初心者さんの『水入れ』



わたしは小学校の時に使ったのと同じ
黄色い丸い形の水入れを買いました。



なんだか懐かしくなって
それを選びました(^ ^)




水入れを選ぶポイントとしては、
3つ以上の仕切りがあるものがおすすめです。


  • 筆を洗う水
  • 絵の具を溶く水
  • 綺麗な水
この3つの使い分けができると
筆の汚れを上手に取り除きつつ、

絵を描く際には
綺麗な水を使うといった環境を
維持しやすいかなと思います。






透明水彩画材《6》初心者さんの『スポイト』

愛用しているスポイト by NORi



スポイトがあると大変便利です。


パレットの上で
絵の具を水で溶く際に

適量の水を
すぐに追加することができて、

スピーディーに色を作ることができます。




スポイトがなかった時は、

綺麗な筆に水を含ませて
絵の具に足していましたが、


何種類かの色を
パレットで同時に作っていくような時に
筆をいちいち綺麗に洗って
新しく筆に水を含ませて・・・

といった作業に
時間も手間もかかっていました。




スポイトが一つあれば
筆を使うことなく
綺麗な水を絵の具に足すことができ、

さらに、
スポイトを押す力加減で
水を足す量も調整できるので、


色づくりが
ものすごく楽になりました。







透明水彩画材《7》初心者さんの『タオル』



私は絵を描く際に
水入れの下にタオルを敷いたり、

洗った筆の水分を取り除くために
タオルを使っています。




色を塗っている途中で
絵の具がかすれてきたりすると、

筆に絵の具を足して
描き進めるといったことをします。


その時に、
筆に含まれた水分量を調整するために
タオルにちょっと筆を当てて
余分な絵の具を取り除いています。




このように、
筆の水気を取ったり
筆の水分調整をしたりするために

タオルなど
水を吸収してくれるものを
用意する必要があります。





タオルでなくても、

キッチンペーパーやティッシュを
丸ごと一本のロールをそのまま使う
という方法もあります。


水入れのすぐ横にロールごと一つ置いて、

タオルがわりに筆をチョンチョンと付けると
しっかり水気をとってくれるので、

この方法も良いかもしれませんね。






透明水彩画材《8》初心者さんの『キッチンペーパー』



上のタオルの代用ではなく、

絵を描く際の便利グッズとしての
キッチンペーパーの使い方があるので
ご紹介します





絵を描いている途中に、

少し絵の具を塗り過ぎてしまったり
すぐに絵の具を取り除きたいといった場合に、

キッチンペーパで軽く抑えることで
すぐに色を吸い取ることができます。




水をたっぷり使って薄い色を塗り重ねる
透明水彩のスタイルでは、

水彩紙の上に絵の具を塗った直後であれば
まだ絵の具は紙に吸収されていないことも多く、

ほぼ完全に絵の具を取り除くことができる
場合も多いです。




濃い色だとちょっと難しい場合もありますが、
それでもすぐに簡単に絵の具を吸ってくれる
便利グッズなので、

用意しておくと
慌てずに対処することができて
画面を綺麗にキープすることができます。





私はいつも絵を描く前に
あらかじめキッチンペーパーを一枚ずつ
四つ折りにして4枚ほど用意して
そばに置いておくようにしています。






透明水彩画材《9》初心者さんの『ドライヤー』



【ドライヤー】は
絵を乾かすために時々使います。


水をたっぷり使う透明水彩は
待ち時間との闘いです。




色を綺麗に塗り重ねたい場合、

完全に乾かさないうちに
色を重ねてしまうと
紙の上で色が濁ってしまうため

一晩置いて完全に乾かしてから
続きを制作する

ということは良くあることです。




ただ、
『小さな面積の部分だけ
先に乾かしてしまいたい・・・』

『半分くらい乾いてきたけど
まだちょっと乾きが甘いかな・・・』

という時などに、


ドライヤーの助けを借りると
乾燥時間を短縮して
制作を続けることが出来ます。




普段使っているドライヤーで大丈夫ですが、
絵の乾き具合をこまめに見ながら
弱めに遠くから優しく乾かしていくと
良いかなと思います。







■ 【透明水彩画】初心者さんが独学で始める紙の準備



準備が整ったところで早速、
水彩紙に何か色を塗っていきたいところですが、

その前にいくつか
おすすめの準備があります。


それは、
水彩紙を一枚
木製パネルなどに固定してから描く
というものです。




いきなり水張りは大変だと思うので、
最初は
マスキングテープを使って
紙を固定するのが簡単な方法です。



わたしが水彩画用紙で絵を描き始めた時は
少し固めのダンボールに
水彩紙をマスキングテープで固定してから
紙を描いていました。




最初は
濃いめの色で数回塗り重ねる程度で
完成するような簡単な絵を描いていましたので、

この方法で十分でした。


ですが、
だんだんと絵の具の使い方にも慣れてきて
水を使う量が増えていくと、

水彩紙のうねりが気になり始めました。




水を多く使って色を塗った部分の紙が
凸凹して、

ちょうど紙が凹んだ部分に
絵の具が溜まってしまったり、


紙のうねりが強くて
マスキングテープがダンボールから
剥がれてしまうようになりました。




こうなってくると
マスキングで絵を描くスタイルでは
難しくなってきます。


私はこのタイミングで
本格的な透明水彩の作品に取り組むべく、

水張りをしてから絵を描くようになりました。





透明水彩の水の量に慣れてきて
マスキングでは紙を抑えるのが
不十分になったかなと感じてから
水張りに挑戦するのも
良いのではないかなと思います。


ここでは
マスキングテープと水張りテープの両方を
ご紹介しようと思います。






透明水彩画材《10》初心者さんの『マスキングテープ』

愛用のマスキングテープ制作風景 by NORi



絵画用のマスキングテープといえば
上の写真のものが有名です。

  • 日東電工のマスキングテープ
です。


あらかじめ色を塗りたくない部分の
マスキング用として
あらかじめ貼っておいたり、

紙を画板などに固定するだけでなく
様々な用途の仮止め用としても使えます。


手でかんたんに切ることができ、
ノリの粘着残りも少ないので
安心して使うことができます。






透明水彩画材《11》初心者さんの『水張りテープ』

普段つかっている水張りテープ by NORi



マスキングテープで紙を固定するだけでは
水彩紙の凹凸が目立ってきてしまう・・・

そんな段階に入ってきたら
水張りの準備が必要です。




水張りに必要なものは
以下の2点です。
  • 水張りテープ
  • 木製パネル


ここであらためて、
「水張りの必要性」について
確認しておきたいと思います。




透明水彩は、
透明感あふれるふんわりとした表現が
一つの特徴になりますが、

そのためには何度も色を塗り重ねたり
ぼかしやにじみといった
水をたっぷり使った技術を多く使います。




そのたっぷりの水で溶いた絵の具を
紙の上に塗ると・・・

紙は波打ってしまいます。


たとえ
硬く固定されているブロックタイプの紙でも
たっぷりの水を使う透明水彩では

やはり紙が波打ってしまうことも多いです。




そこで必要なのが
紙をしっかり固定する水張りという方法です。


水張りには
軽くて丈夫な『木製パネル』と

塗れた紙を木製パネルに
しっかりと固定する『水張りテープ』が
必要です。




上の写真に載っているのは、
  • ミューズの水張りテープ
色が何種類かあります。


緑色が茶色がおすすめです。

白は若干、
テープが薄く
粘着力が弱いように感じました。




また、
水張りテープの取り扱いには
注意が必要で、

売られている際に入れられている
ビニール袋を密封した状態で
保管します。

使った後は
またビニール袋に戻します。





水張りテープについている糊が
湿気を吸って溶け出して
固まってしまうからです。


間違ってテープに水がついてしまったり
湿気にさらしておくだけでも
テープに塗られている強力な糊が
溶け出して、

テープを剥がして使うことが
できなくなることがあるので
しっかり密封して保管する必要があります。






透明水彩画材《12》初心者さんの『木製パネル』

普段つかっている木製パネル by NORi



上の写真でご紹介している
2種類の木製パネルは、

色が少し違います。


左の濃い色のものが
ラワン材の合板でできた
木製パネルです。




このワラン材の表面には
時々「アク」や「木ヤニ」などが
浮く事があるため、

水張りをする前に
板を一度タワシなどで擦るようにして
洗っておきます。


木製パネルを洗い終わったら、
キッチンペーパーなどで軽く表面を拭き
色移りが無いか確認しておくと安心です。




水張りの際に木製パネルの上に
濡れた水彩紙を置きますが、

木製パネルから滲み出た茶色の「アク」が
紙に移ってしまうことがあるのです。


その「アク」が紙の表側にも
滲んできてしまって、

本来の水彩紙の白さを
描く前から損ねてしまうこともあります。




一方、 上の写真の右は
シナベニヤ材の合板でできた
木製パネルです。


こちらはあまり「アク」など
気になったことはありませんが、

念のため
濡れたキッチンペーパーなどで
軽く表面を拭き取っておくと
安心かと思います。






■ 【透明水彩画】初心者さんが独学で始める【スケッチ用品】

クルミのデッサン by NORi




ここまでは、
実際に水彩紙に絵の具で塗る

という制作段階において
必要なものをお伝えしてきました。


ここからは
その前に、何を描こう?というところです。




そこで、
まずは【スケッチブック】に
下書きを色々と描いてみることを
おすすめします。


水彩紙の上に
直接下書きをするのは

透明水彩ではかなり上級者の技かな
と思います。



なぜならば、
透明水彩絵の具は透明度が高いので

絵の具を塗ったとしても
下書きの線は最後まで残り
透けて見えてしまうからです。




あえて鉛筆の線を活かすにしても
せいぜい数本の
うすい線を引いた下書きでなければ

下書きの線が目立ってしまって
透明水彩絵の具の色が
負けてしまいます。


また、
鉛筆の線の上から絵の具を塗ると
絵の具の水分で
鉛筆の黒鉛の粉が溶け出して


せっかくの透明度の高い絵の具が
グレーに濁ってしまう事もあります。




水彩紙に直接
鉛筆で下書きをする場合は、


あらかじめ鉛筆の線の上から
【練り消しゴム】で
余計な黒鉛を取ってから色を塗る、
といった一工夫が

必要になってくると思います。


慣れるまでは
まずはスケッチブックで下書きをして、

その下書きを基に
綺麗な線だけを水彩紙に転写する
という方法の方が、

失敗しにくく
作品も綺麗に仕上がりますので
おすすめです。




透明水彩画材《13》初心者さんの『スケッチブック』

愛用しているスケッチブック by NORi



私が愛用しているスケッチブックは
上の写真の
  • maruman ARTIST DRAWING
です。


紙質も素晴らしく
とても描きやすいです。




デッサンなどを練習したい方にも
ぴったりです。


しっかりしたハードカバーで
持ちあるくのにも便利ですし、

ひも付きで可愛いです。




紙の肌目も美しく、
鉛筆でちょっと描くだけで
とても素敵に見えます。


わたしはこのスケッチブックを
鉛筆画や色鉛筆などを使った
絵日記帳としても使っていました。



描きやすくてとてもお勧めです。




透明水彩画材《14》初心者さんの『鉛筆』

愛用している鉛筆と試し書きの様子 by NORi



スケッチブックと一緒に揃えたいのが
【鉛筆】です。


私が愛用している鉛筆は
  • 三菱鉛筆ハイユニ
です。


上の写真のように
鉛筆の濃さによって

10B ~ 10H まで、
全部で22本あります。




鉛筆の硬さ(濃さ)の表記法は、
軟らかい(濃い)ほうから順番に

10B、9B、8B、7B、6B、5B、
4B、3B、2B、B、HB、F、H、
2H、3H、4H、5H、6H、7H、
8H、9H、10Hです。


この鉛筆を使って
素描画や水彩画の下絵を
描いています。




Bは軟らかくて線が太くて
黒色が強調されやすく、

Hは硬くて細く
シャープな線になります。


使う鉛筆によって
筆跡も変わってきます。





まずは
2B、B、HB、Fあたりを1、2本、


陰影を強調したいときのために
少し濃い4Bが1本あれば
便利かもしれません。



デッサンに力を入れて
少し勉強してみたいなと思ったら

さらに増やして
揃えてみるといいですね。




鉛筆の選択肢の幅の広さによって
好みの濃さを選ぶことができて、

描く楽しさが
大きく広がるのはもちろん、

デッサンのクオリティも
全く違うものになります。


鉛筆の世界も
本当に素晴らしいです!




上の写真は
三菱鉛筆ハイユニの
10B ~ 10H までの鉛筆の、

描き心地と硬さ・濃さを
試したノートです。



この表を作ったお蔭で、
イメージに近い色の濃さ
(線の細さ)の鉛筆を

比較的すぐに
選べるようになりました。




このような基礎的な部分を
ひととおり試してみることは、

遠回りのように見えて
実は圧倒的なショートカットに
なるのかもしれないと
感激したのを覚えています。




透明水彩画材《15》初心者さんの『練り消しゴム』

愛用の練り消しゴム by NORi



練り消しゴムは
普通の消しゴムに比べて柔らかく、

鉛筆の線を消す際には
鉛筆の線をこすらずに

線の上から
軽く押しつけるようにすると

span style=”color: #800000;”>紙の表面を傷めずに
鉛筆の線を少しずつ
取り除くことができる

というものです。




鉛筆でも絵の具でも
紙の上に絵を描く際には、

紙の表面の状態を
なるべく傷めないことが
とても大切です。


作品の仕上がりの美しさを
最後までキープするためには、

紙の表面に
ダメージを与えないように
常に気をつけないといけません。




また、
練り消しゴムは柔らかいので

形を自由に変えることができるのも
大きな利点です。



鉛筆で描きすぎたところや
少しだけ鉛筆を落として
光を表現したいとき、

また、
消す場所が小さかったり
細かったりしても


練り消しゴムで
形を作ってピンポイントで
鉛筆を取り除くことができるので、

消すためだけでなく 制作に生かすための道具としても
欠かせません。






パンジーのスケッチ動画 by Nori

『 パンジー 』〈スケッチ〉by NORi


※音楽が鳴ります。音量にご注意下さい。
(動画再生時間:1分48秒)






透明水彩画材《16》初心者さんの『トレーシングペーパー』

普段使っているトレーシングペーパー by NORi



スケッチブックに色々と絵を描いてみて
水彩画にしてみたいなと思ったら、

そこではじめて
水彩用に下絵を写していきます。


もちろん、
何かの本を参考にして
描きたい絵の下絵を用意しても
良いですね。




下絵を写すには
トレーシングペーパーを使います。


【トレーシングペーパー】は
スケッチブックよりも
少し大きめのものを買っておくと良いです





トレーシングペーパーは
透過性のある紙で、

下絵の上に置くと
下絵が綺麗に透過して見えます。


その状態で
トレーシングペーパーの上から
下絵の線をなぞるようにして

下絵を写し取ります。




この時、
下絵の線の中から

出来るだけ一本線で
最低限の線だけを写し取るのが
ポイントです。






スケッチブックの絵を水彩用の下絵にする

スケッチブックに描いた『ザクロ』のデッサン by NORi



ここからは
スケッチブックに描いた下書きの絵を
実際に水彩用の下絵にするまでの流れを

もう少し具体的に
ご紹介してみようと思います。





まずは、
スケッチブックに描いた下書きの絵の上に
【トレーシングペーパー】を1枚置いてから、

スケッチブックと
【トレーシングペーパー】がずれないように
テープで抑えて固定します。


それから
【トレーシングペーパー】の上から
綺麗な1本線で
絵の輪郭や細かい部分を丁寧に
鉛筆でなぞっていきます。




この線が
水彩紙に転写する下絵になります。



間違ったら消しゴムで消して
綺麗な1本線で描くようにして
絵の輪郭や細かい部分を丁寧に
なぞっていきます。


完成したら
【トレーシングペーパー】を少しめくって
スケッチブックの下書きから浮かせてみて、

【トレーシングペーパー】に
描き忘れている部分がないか確認します。




綺麗に書き写せていたら
【トレーシングペーパー】を
スケッチブックから外して

綺麗な下絵の完成です。






透明水彩画材《17》初心者さんの『カーボン紙』

トレーシングペーパーに写しているところ。 by NORi



トレーシングペーパーに
下絵を写すことができたら、

今度はそれを
水彩紙に書き写していきます。




下絵を水彩紙に写す前に
水彩紙を画板などに固定しておきます。


いずれは
木製パネルにしっかり
水張りする必要が出てくるかと
思いますが、

綺麗な仕上がりを追求する
というよりは
「まずは水彩画を始めたい!」
という場合は、




水張りにこだわらず
マスキング・テープで
簡単に固定するか、

あるいは
ブロックタイプのままで
まずは実際にやってみるのも
良いかもしれません。


水彩紙の準備が整ったら
いよいよ
水彩紙に下絵を写していきます。




転写する方法は色々ありますが
一つの参考として、

【カーボン紙】を使った転写方法を
簡単にご紹介してみようと思います。





【カーボン紙】の色は
水彩紙に残りますので、

なるべく筆圧を弱目にして
薄く転写するのがポイントです。


特に黒のカーボン紙だと
黒い線が最後まで残って
少し気になるかもしれません。




カーボン紙は黒だけでなく
青や赤もありますので、

絵の雰囲気に合わせて
色を選んでおくと
目立たなくて良いです。


風景画や建物などの場合は、
黒のカーボン紙で線を描く方が
画面が引き締まる場合もありますが、


赤い花の絵を描きたい場合や
フルーツなどは
赤のカーボン紙の方が
馴染みやすいかもしれません。




また、
ハーブのような
植物を描きたい場合は

ブルーのカーボン紙を使うと
葉っぱの緑などと相性も良く
お勧めです。






水彩紙へ下絵を写す



ここからは
【トレーシングペーパー】に
書き写した下絵を

【カーボン紙】を使って
水彩紙に転写する具体的な方法
ご紹介します。


使うのは
  • トレーシングペーパー(下絵)
  • カーボン紙
  • 鉛筆 or シャープペン(HBあたり)
  • 消しゴム(普通のものでOK)
  • マスキングテープ or セロハンテープ
  • 水張りを済ませた水彩紙
  • 0.5mm以下の細い赤ペン
です。




スケッチブックの下書きを
書き写した【トレーシングペーパー】を
綺麗な水彩紙の上に置きます。


【トレーシングペーパー】に写した
下書きの絵柄が

水彩紙の上でちょうどよく配置されるように
【トレーシングペーパー】の位置を
検討します。




【トレーシングペーパー】の位置が
決まったら、

マスキングテープなどで
【トレーシングペーパー】を
木製パネルの上で固定します。


この時、
できれば水彩紙の上に
テープを留めないほうが良いです。




テープは木製パネルのどこかに
留めるようにして

【トレーシングペーパー】を固定します。


次に、
水彩紙と【トレーシングペーパー】の間に
【カーボン紙】を1枚敷きます。

(カーボンが下側にくるようにします)




その状態で
【トレーシングペーパー】の上から
まずは目立たない端っこのところから

細い赤ペンで
【トレーシングペーパー】の下絵を
1cmほどなぞります。


【トレーシングペーパー】と
【カーボン紙】をめくって

今、水彩紙の上についた
カーボン紙の線を確認します。




カーボン紙の線は
ぎりぎり下絵が分かるくらいの薄さが
理想です。


線が目立ち過ぎないように
細いペンで軽くなぞるのが良いです。




カーボン紙の線が濃いようでしたら
赤ペンでなぞる力加減を弱めて

目立たないところで
何度か線の濃さを確認します。


あまり薄すぎると
これまた下絵の意味がありません。




力加減が分かったら
そのまま全体をなぞります。


なぞり忘れがないように
赤いペンを使っています。



【トレーシングペーパー】の下絵を
全てなぞって
水彩紙に転写できたら完成です。




ここからの実際の色塗りの様子は
こちらでご紹介しています。


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ザクロの水彩画|果物の描き方と補色 〜色彩科学のお話〜





■ 【透明水彩画】初心者さんが独学で始める道具一式|《まとめ》

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  • 透明水彩の特徴にあった絵の具・紙・筆えらびが大切です。
  • 定番商品や人気商品はやはりそれなりの理由があります。
  • 下書きはスケッチブックに描いてから、最低限の線だけを水彩紙に写す方が綺麗に仕上がります。


今回は、まったくの初心者だった私が最初に揃えた透明水彩の基本的な道具一式をご紹介しました。最初にきちんとした道具をひととおり揃えておくと、安心して楽しく水彩画をスタートできるかと思います!

NORi


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