透明水彩と不透明水彩|塗り方の違いや難しさ〈混ぜるも可〉


NORi
こんにちは、NORi です。

今回のテーマは
『透明水彩と不透明水彩』です。

NORi
画材屋さんで水彩絵の具を探そうとすると

透明水彩コーナー
不透明水彩コーナー
マット水彩コーナー
という風に

絵の具が分かれて並べられている様子を
目にします。

同じ水彩絵の具でも
色々と種類があってびっくりします。

NORi
今回はそんな
水彩絵の具の種類や特徴の違い

透明水彩と不透明水彩という
2つの技法について
ご紹介しようと思います。

イメージに合った技法で
ワクワク楽しく絵に取り組めますように。

 

【透明水彩・不透明水彩】技法の違い


水彩画には
透明水彩と不透明水彩という
2つの技法があります。

  • 【透明水彩技法】
    透明度の高い絵の具の特性を活かして
    たっぷりの水で絵の具を溶かしながら

    明度の調整をコントロールしたり
    水との親和性を利用したぼかしなどの
    技法を多く使って描く技法です。
     

    この技法にぴったりな絵の具が
    透明水彩絵の具です。

     

    色を重ねると
    下の色が透けて見えるため

    奥行きのある色のハーモニーによって
    ひと塗り、ひと塗りが
    全て作品の仕上がりに影響します。
     

    このため
    透明水彩では紙の吸水性がとても大切です。
    また、
    紙の白さや質感も
    作品の一部として表れます。

    そのため
    白さは塗り残しという方法で
    表現します。

    このように
    透明水彩では紙選びも大切です。

  • 水彩画用紙|紙選びポイントと透明水彩のための水張りのコツ

    水彩紙の種類|おすすめの紙の条件とは?~有名メーカー比較~

    《透明水彩》紙のサイズ一覧(500号まで)・紙の種類と選び方

     

  • 一方、【不透明水彩技法】
    絵の具に白を混ぜて不透明にしたものを使って
    厚く塗り重ねていく技法です。

    透明水彩とは異なり
    不透明水彩は下の色を隠す事ができるため
    何度も塗り直しができ、
    一番上の層にある色が作品となります。
     

    どちらかというと
    油絵に似た技法と言えますね。
     

    白を混ぜて使う
    不透明水彩技法に適した絵の具が
    不透明水彩絵の具です。

    不透明水彩絵の具は
    透明水彩絵の具よりも乾きが早く

    軽快に色を塗り重ねることができるのが
    大きなポイントです。

    透明水彩絵の具に白を混ぜても
    不透明水彩の技法を使うことができます。

透明水彩絵の具と、不透明水彩絵の具の違い

色の粉(顔料)に混ぜる【展色材】の
濃度の違いだけです。

《透明水彩とは?》絵の具の特徴・技法の種類・道具選びまで

水彩絵の具の展色材には
アラビアゴム
という木の樹脂が使われています。

この濃度が高いものを
透明水彩絵の具と呼び、

濃度が低いものを
不透明水彩絵の具(ガッシュ)と呼びます。
 

これらの絵の具の特徴以上に
不透明性を活かした技法として

絵の具に白を混ぜて使う
不透明水彩技法があります。
 

不透明水彩絵の具でも
透明水彩絵の具でも

水を多くして透明水彩技法として
白を混ぜて不透明水彩技法として

それぞれ特徴を活かして
様々な表現が可能です。
 

ただ
水彩ならではの
のびのびとした透明感のある表現
には

透明度の高い透明水彩絵の具で
透明水彩の技法で描くのが

理に適っていると言えます。
 

【透明水彩・不透明水彩】技法の難しさ


水彩に限らず
色々な技法には
それぞれ特徴や利点がありつつも

それぞれの難しさというものがあると
思います。
 

透明水彩は難しい
という言葉を時々耳にします。

ここでは
不透明水彩との比較から

透明水彩の特徴と技法の難しさについて
ご紹介しようと思います。

 

油絵などの不透明な絵の具で
絵を描いてこられた方から

「水彩画が一番難しい」

というお話を伺うことがあります。
 

それは透明水彩絵の具の特徴である
透明度の高さ

制作中の軌道修正を難しくしていることと
関係しているようです。
 

不透明な絵の具では
下に塗っている色の影響をあまり受けずに
上から塗り重ねていけるので

途中で軌道修正をすることができます。
 

違う色を何度塗り重ねたとしても

最終的には表面に乗っている絵の具だけが
完成作品としての絵になるからです。
 

また、
そのような塗り方が出来るために

不透明な絵の具を使えば
キャンパスの上に色を塗りながら

徐々に絵を整えていくという方法も
取ることができます。
 

このように
油絵などの不透明な絵の具では

とにかくまずは絵に取り掛かることができる
というのも大きな利点かもしれませんね。
 

透明水彩では
これらのどれも出来ません。

いくら色を重ねても
下の色が透けて見えるため
完全に軌道修正することは難しいのです。
 

そのため
透明水彩では
薄い色で徐々に塗り重ねるのが
失敗しにくい方法でもあります。

薄い色で塗っておけば
すぐにふき取れば比較的簡単に
取り除くことができるからです。
 

それでも
ふき取った部分にシミが残れば
やはり綺麗な紙とは
違う状態になっているので

色を重ねていくことで
そのシミが色の濁りや暗さとなって

制作の後半で目立ってきてしまう
ということもあります。
 

また
混色(あるいは塗り重ね)によって
一度明度が下がると

絵の明るさを取り戻すことは難しいです。

【色彩科学】黒く濁らない混色のコツ。~減法混色と三原色~

そのため
透明水彩では

色を塗る順番や
塗り重ねた後のイメージを

あらかじめ頭の中に描いておく
という
事前準備が必要です。
 

このステップを挟むだけで

透明水彩だからこそできる
美しい表現が

失敗せずに塗れるようになります。

【ひまわりの水彩画】黄色もいろいろ?《色選びと制作動画》

また
透明水彩技法を使う場合は
水を充分に使って描くため
紙がどうしても波打って凸凹してしまいます。

そのために
水張りが必要になります。

【基本の水張り】簡単な水張りのやり方 ~霧吹き・刷毛不要~

【水張り手順】パネル張りの作り方|美しい透明水彩のために

【水張りとは?】透明水彩のための『平張り』と『パネル張り』

【水彩紙に水張りはいらない?】水張りしない絵のはじめ方

不透明水彩技法では
水張りも必要なく
乾きも早いため

思い立ったらすぐに短時間で
描くことができます。
 

また
不透明水彩絵の具は
透明水彩絵の具に比べて粘度が高く

使うたびにチューブから出して
柔らかいままで使います。
 

一度固まると絵の具はもちろん
パレットも使えなくなりますので、

絵を描き終えたら毎回パレットは
綺麗に洗うことが大切です。
 

不透明水彩と透明水彩では
それぞれ利点と難しさがありますが、

表現したいものや制作スタイルなどに
ぴったり合った画材を使って

自分の表現を磨いていけたらいいですね。
 

【透明水彩・不透明水彩】混ぜて使う方法


最初の章で
技法の違いをご紹介しましたが、

透明水彩絵の具では
透明水彩技法はもちろん

白を混ぜる事で
不透明水彩技法で絵を描くこともできます。
 

透明水彩絵の具の中にも
白が混色された不透明性の強い色があります。

それは不透明水彩の技法にも使えます。
 

白が混ざっていることで
カバー力のある絵の具になっていますが、

薄く溶いて塗れば透明感も味わえます。
 

このようにして
透明水彩と不透明水彩の技法を
混ぜて表現することも可能です。

 

先に不透明水彩技法で色を塗ってから
最後に透明水彩技法で色を重ねると

不透明水彩で塗ったベースの色を
しっかり活かしながら

部分的に透明水彩でニュアンスを変えたり
細かい描写を加えたりすることができます。
 

また
不透明水彩絵の具を使っても
透明水彩絵の具を使っても

白を混ぜたり
水を多く使ったりすることで

両方の技法を組み合わせた表現が可能です。
 

修正できるか出来ないかは
制作中のストレスにもなるので、
不透明水彩技法の方が
描きやすい場合もありますね。

 

日本では
学校教育で水彩画を取り入れる際に

透明水彩技法の修正ができない難しさ
を考慮しつつも

水彩画らしい
水による絵の具の濃淡やぼかしなどの技法も
伝えたいという想いから、

マット水彩というものが開発されました。
 

たっぷりの水で絵の具を溶けば
透明水彩技法になり、

水をあまり使わずに絵の具をそのまま使えば
不透明水彩技法にもなるというように

中間の特徴を持つように工夫されたそうです。
 

これによって
子供達が失敗を恐れずに自由なスタイルで
絵を描く事が出来る環境が整ったというのは
素晴らしいですね。

《透明水彩とは?》絵の具の特徴・技法の種類・道具選びまで

 

【透明水彩・不透明水彩】お勧めの塗り方


不透明水彩技法
白を使うことがポイントとなります。

明るい部分を表現するときは
絵の具に白を多く混ぜて使います。
 

白を多く混ぜることで
絵の具の明度を高くすることができます。

一番明度の高い色は単色の白です。

【色彩科学】有彩色とは|色の種類と三属性-色相・明度・彩度

不透明水彩では黒を混ぜて魅力的な色を
作ることができます。

こんな美しい色ができるのかと
感動するような混色マジックが起こります。
 

また
不透明水彩技法はカバー力があるので

塗る順番を気にすることなく
直感力やひらめき、感動といった感性を
大胆なタッチですぐに描き留めることが出来ます。

少しずつ上から修正を繰り返すように
色を厚く塗り重ねていくことで
臨場感のある表現に向いているので

写生など野外のスケッチにも適しています。
 

ムラができにくく
柔らかいマットな色調を表現することができ

たっぷりの絵の具でしっかり色付けする
デザイン画やイラストなどにも合っています。

 

カバー力があるといっても
水彩絵の具なので水には溶けます。

上から塗り重ねる場合には
やはり慎重に重ねる必要があります。
 

一方、
透明水彩技法では
絵の具の透明度を下げないように白は使わずに
紙の白さを活かして塗り残す方法をとります。

水をたっぶり使って絵の具を溶くことで
絵の具の濃淡を調整することができ
紙の白さを活かした明るい表現が可能です。
 

不透明水彩技法では白で明度を調整しましたが、
透明水彩技法では水で明度を調整します。
 

また塗る順番にも注意が必要です。

透明水彩は
不透明水彩のように修正が簡単にできる技法
ではないので

完成図を最初にイメージしながら
あらかじめ色の混ざり合う様子や
塗り重ねるタイミングと順番を考えて塗っていく
という

不透明水彩とは逆の順番で塗ることになります。
 

また
透明水彩絵の具はさらりとしていて
水によって濃淡の調整がしやすく

繊細な表現から大胆なタッチまで
表現の幅が広いのも特徴です。
 

透明水彩では
ぼかしやにじみなどの

水による絵の具の広がり具合
を利用した塗り方が基本となります。

 

水遊びのような練習をするのが
おすすめです。

真っ白な水彩紙いっぱいに自由な気持ちで
絵の具と水の相性を試し塗りするのです。
 

絵の具の濃度や水の量、
塗る順番などを変えながら試し塗りをすることで

だんだんと透明水彩技法のコツが見えてきます。

【透明水彩の塗り方動画】絵の具の塗り方・技法・スケッチ

最初は簡単な本を参考にしながら
絵を描いていくことで
自然と技法も身についていくと思います。
 

透明水彩画に挑戦するには
好きな画風の先生のお教室に通うのが
一番上達が早いかもしれません。

【絵を習うには?】水彩絵画教室を選ぶための5つのポイント

 

【透明水彩・不透明水彩】透明水彩は画材選びがポイント

透明水彩画の制作風景 by NORi

透明水彩絵の具を使った
透明水彩技法には

不透明水彩では決して表現できない

水で溶くことで生まれる
のびのびとしたタッチや
にじみやぼかしの色の濃淡で魅せる美しさ、

様々な色がふんわりと混ざり合う
優しい色彩の魅力があふれています。
 

水をたっぷり使って
薄く溶いた絵の具の濃淡や
淡いグラデーションなど

繊細な表現を得意とする透明水彩技法ですが、

それを可能にするのは
絵の具と水の性質と良く合った画材選びです。

 

透明水彩では特に
使う画材の質が大切になります。

 

透明水彩は修正しにくく
水でコントロールする技法なので

できるだけ水との相性が良く
快適にスムーズに塗れる道具(画材)を
揃えることが大切なポイントになります。
 

特に大切なのが

  • 絵の具


です。

それぞれ選ぶポイントは

  • ある程度の厚みがあり、水を良く含むコットン100%の丈夫な水彩紙
  • 水に良く溶けて発色の美しい絵の具
  • 水の含みが良く弾力のある筆

となります。

おすすめの画材は
↓こちらでもご紹介しております。

《透明水彩》初心者さんのための独学ではじめる厳選道具一式

《透明水彩》絵の具・紙・筆のおすすめ|3つの独学スタイル

【透明水彩絵の具の使い方】色の塗り方・塗る順番・パレット

 

【透明水彩・不透明水彩】まとめ

  • 不透明水彩技法は絵の具に白を混ぜたカバー力のある技法で、感動をすぐに描きとめながら作品を作り出していくことが出来ます。
  • 透明水彩技法は紙の白さまで作品の一部になる『透ける』技法で、淡く繊細な色の表現が可能です。修正が難しく、事前に完成イメージを作ります。
  • 透明水彩は水との相性の良い画材を揃えてから始めるのがポイントです。

 

NORi
作品の雰囲気がガラリと変わる
透明水彩と不透明水彩ですが、

どちらにも独特の魅力があり
別の難しさがあります。
 

魅力を感じる作品の
技法を学ぶことも

上達の近道かもしれません。